簡単に分かる「ネットリサーチ」の基礎│やり方・活用のポイント!
目次[非表示]
はじめに|ネットリサーチとは
「ネットリサーチ」とは、インターネットを利用した様々な調査のことで、「インターネットリサーチ」「Web調査」「Webアンケート」とも呼ばれています。
最大の特徴は、郵送調査や街頭調査などの従来型調査と比べて回答を集めるスピードが早くかつ低コストで実施できることです。また、回答者(モニター)は事前にプロフィール情報を登録していることが多く、年代、性別、職種、家族構成など、細かい条件まで調査対象者を絞り込むことができます。
ここではネットリサーチの基礎知識や活用事例、手法などについて解説していきます。
ネットリサーチの特徴
ネットリサーチの特徴を知るために、まずはネットリサーチの「メリット」と「デメリット」について説明します。どちらも熟知しておくことで、ネットリサーチをスムーズにおこなうことができます。
ネットリサーチのメリット
安い!(低コストで始めることができる)
従来のリサーチ方法に比べ、比較的低コストで実施できることは、最大の魅力です。予算の問題で、実施したくてもできなかった企業も少なからずいましたが、低コストで実施できることで、利用する企業が年々拡大しています。
早い!
回収数が少ない場合は、1日~数日でアンケート回収が可能です。理由は下記のとおりです。
・回答者の都合の良いタイミングで入力・送信が可能
・回答自体が電子データとなっているため、入力作業が不要
・結果をリアルタイムで集計することも可能
素早くサンプルを回収できる!
小規模なら一瞬でサンプルが回収できることも!回収に時間がかからないので、プロジェクトなどのスケジュール計画が組み立てやすい点も、大きな魅力です。
>>【関連記事】サンプル数の決め方|アンケートで信頼できる回答数とは?
膨大な量のサンプルも回収できる!
利用するネットリサーチ会社にもよりますが、アンケートの回答者となる会員組織は数百万人規模で存在しています。
その方たちに対して、100人、1,000人、10,000人など、小規模から大規模まで幅広く、サンプル数を集めることが可能です。
アンケート回答者に、回答負荷がかかりにくい!
回答者に対して、画像や動画などをWEB上で簡単に見せることができるため、回答負荷もなく、アンケートを実施することができます。
アンケート回答者から、写真を回収することもできる!
ネットリサーチなら、選択肢から選んだり文章で回答してもらうだけではなく、写真を回収することも可能です。
回収目的としては、冷蔵庫の中身やスマホのホーム画面、商品の収納場所、家の家具など様々です。(ただし、回収するにあたり調査対象者の負荷が上がる分、回収期間が長く必要になることがあります。)
ネットリサーチのデメリット
回答者はインターネットユーザーに偏る
大前提として、アンケート回答者は、「インターネットユーザー(インターネットを利用している人)」のみに限定されます。
現在のインターネット普及率はとても高いですが、高齢者など、中にはインターネットの利用率が低い世代もあるため、対象とする世代によっては不向きの調査ともいえます。
回答者が操作ミスをする可能性がある
回答する際に誤って操作してしまうことで、本来したかった回答ではない不適切な回答をしてしまう可能性がないとは言えません。また、重複して回答してしまう可能性もあります。
記述式の回答が多いなど、回答者が負担を感じてしまう質問が多いと、回答率が低くなってしまい回答数が集まらず、正確な回答が得られないという場合もあります。
回答の信頼性が低い場合がある
アンケートに回答することで得られる「報酬」を目当てにしたモニターの場合、回答自体の質が低かったり、同一人物が複数回にわたって答えてしまう、といった可能性が、0ではありません。
また、匿名性のアンケートの場合、本来の対象者ではない方が回答している可能性もあります。
実施する目的
ネットリサーチを活用するために、大前提として、ネットリサーチの「目的」をしっかりと定めておく必要があります。
目的には、「実態把握」と「仮説検証」の大きく2つがあります。
実態把握とは
実態把握とは、その名のとおり、生活者の実態を把握するための調査です。
例えば、「この商品は、どのくらいの方に知られているんだろう?」「このサービスを利用したことがある人は、どのくらいいるのだろう?」といったような疑問を解決するのが、実態把握の目的となります。
仮説検証とは
仮説検証とは、マーケターなどが立てた仮説が正しいのかどうかを確認する調査です。
例えば、「このサービスを利用している人は、60%が満足している」「この商品を知るきっかけとしては、CMに次いでSNSが多い」といった仮説が正しいかどうかを検証する調査が、仮説検証の目的となります。
2つの目的を組み合わせる方法
実態把握と仮説検証の2つの調査目的を組み合わせることもできます。まず実態把握の調査を行い、その調査結果から仮説を立て、その仮説を再度調査で検証するこという方法はよくあります。
例えば、「この商品の購入者は、SNSの利用者が多いので(実態把握にて)、SNSと連動した施策に大部分が興味を示す(仮説検証にて)」という仮説があるとします。
この場合、実態把握で『SNS利用』の質問を確認し、仮説検証で『SNSの施策の受容性を確認する』という方法になります。
ここで役立つのがネットリサーチです。ネットリサーチは、低コストで調査が実施できるため、1回分の実施費用で、目的を分けた2回分の調査実施を行うことが可能となるのです。
活用事例
ネットリサーチが活用される場面は、具体的に次の通りです。
■消費者の意識調査
調査内容
商品やサービスへの「関心度」や「購入意思」を、事前に立てた『仮説』をもとに検証していきます。
このような方におすすめ
商品開発担当者、マーケティング担当者
具体的な活用例
・消費者が求めているデザインや機能を調査して、商品開発の参考にしたい!
・自社ブランドのイメージや認知度を知りたい!
>>【関連記事】ブランド認知度調査とブランドイメージ調査のポイントを解説
■デザインのABテスト
調査内容
複数のデザイン案やコンセプト案を提示して、それぞれの「イメージ」や「受容性」をアンケート調査します。
回答結果を参考に、より消費者が好む「コンセプト」や「クリエイティブ」を判断することが可能です。
このような方におすすめ
広告代理店、デザイナー
具体的な活用例
・キャッチコピーやパッケージデザインの受容性を調べたい!
・広告を出稿する前後で、認知度の変化を調べたい!
■顧客満足度調査
調査内容
購入された商品や利用されたサービスに対して、「お客様の評価」を調査します。
回答結果から、現時点でのお客様の満足度を知ることができ、さらなる満足度の向上のために必要な課題の洗い出しと、その対策を立てることが可能です。
このような方におすすめ
営業担当者、販売員
具体的な活用例
・プレゼンの企画書の裏付け、質を上げるための調査データが必要!
・特定のサービス利用者の満足度を調べたい!
・お店の接客の実態を把握したい!
>>【関連記事】顧客満足度調査(CS調査)の目的、方法、アンケートの作り方
■プレスリリースの資料
調査内容
自社のブログ記事やプレスリリースなどに、ネットリサーチで実施したアンケート調査の結果を載せることができます。
掲載内容に説得力をもたせることができるので、より質の高いコンテンツを発信することが可能です。
このような方におすすめ
広報担当者、PR担当者
具体的な活用例
・オウンドメディアの記事作成のネタが欲しい!
・プレスリリースの裏付けとなる調査データが欲しい!
>>【関連記事】調査リリースの書き方│プレスリリースの価値を高めるための極意!
■学術調査(アカデミック調査)の資料
調査内容
社会調査の中でも、特に高い信頼性が求められる分野のため、アンケート調査は必須です。
多忙なスケジュールの中でこなすには、ネットリサーチがとても適しているでしょう。中でも「セルフ型」のネットリサーチは、時間に縛られることもなく、いろんな面で自由度が高いため、おすすめです。
このような方におすすめ
大学教授、教員、講師、学院生
具体的な活用例
・時間がない中で、裏付けデータをとりたい!
・卒論や修論に使えるデータをとりたい!
>>【関連記事】なぜ今、学術調査でセルフ型アンケートツールが選ばれているのか!?
■従業員満足度調査(ES調査)
調査内容
従業員の実態を把握することで「働き方改革」をするための課題が見つかり、それを改善していくことで、従業員のモチベーションが上がります。結果、会社の成長に繋がっていきます。
従来の「担当者と従業員が対面する形式」ではなく、ネット上の「非対面形式」のほうが、回答者のあらゆる負担(時間の束縛や、非接触での回答方法等)を軽減できるというメリットがあります。
このような方におすすめ
総務担当者、人事担当者、経営者
具体的な活用例
・社内の人間関係や、会社への不満を調査し、職場環境の改善に役立てたい!
・経営陣には見えていない会社の課題を知り、会社の成長に役立てたい!
>>【関連記事】従業員満足度調査(ES調査)とは│目的、項目、やり方を解説
ネットリサーチのやり方
ネットリサーチの実施手順
ネットリサーチを実施する際の一連の流れは下記の通りです。大きく分けると6つのステップに分かれています。
1.課題の整理、調査企画
>>【関連記事】 ネットリサーチを成功させる5つの準備【商品・サービス調査】
2.調査票の作成
>>【関連記事】アンケートの作り方|4つのコツと質問例(テンプレート)を大公開
3.調査画面(アンケート画面)の作成
4.調査の実施、回収
5.集計、グラフ化
>>【関連記事】アンケート集計と分析の基本|Excelを活用したまとめ方を解説
6.分析、報告書(レポート)の作成
>>【関連記事】調査報告書(アンケート報告書)の書き方・まとめ方を解説!
各ステップの詳しい解説は、『はじめてのネットリサーチマニュアル』にて解説していますので、そちらをご覧ください。
アンケートツールの活用
実施手順が6ステップもあると、手間も時間もかかりそうな印象を受けますが、ここで知っておきたいのが「アンケートに特化したツール」の存在です。取り入れることで、懸念していた問題がほぼ解決します。
各社から様々なツールが出ているので、自分のスタイルに合ったものを選び、積極的に活用されることをおすすめします。
>>【関連記事】低コスト&自由なアンケートを実現! 『セルフ型(DIY型)アンケートツールを選ぶコツ』
>>【関連記事】従業員満足度調査におすすめ!『アンケート作成ツール(ASP)の活用方法』
無料ダウンロード『ネットリサーチの基本マニュアル 』
本記事で解説した内容や、ネットリサーチの種類、設問の種類と注意点、効果的なマーケティングリサーチをまとめた資料「ネットリサーチの基本マニュアル」は、下記よりダウンロードすることができます(無料)。
役立つ「調査票のテンプレート」と「自主調査レポート」
ネットリサーチの実施手順「2.調査票の作成」について、参考になる「調査票のテンプレート(無料)」をご用意しています。
調査票の作り方にはコツがありますが、習得するためには自身が活用したい場面と同じ調査票のサンプルを見て、真似をしてみることがおすすめです。
別記事「アンケートの作り方|4つのコツと質問例(テンプレート)を大公開」にて、「ブランド認知、イメージ」「商品コンセプト、価格」などの6パターンの調査票例をダウンロードすることができますので、合わせてご活用ください。
また、ネットリサーチ実施手順「6.分析、報告書(レポート)の作成」の参考となる、「自主調査レポート」も公開しています。報告書のイメージを掴むことができますので、こちらもご活用ください。
ダウンロードできる主な自主調査レポートは以下の通りです。
・職場におけるコミュニケーションに関する調査 ・グミ(お菓子)に関する調査 |
※セルフ型アンケートツール「Freeasy(フリージー)」を利用しておこなったアンケートになります。
※随時更新されるため一例となります。
※無料ダウンロード後、ご覧いただくことができます。
おわりに
ネットリサーチの基本的な情報について具体的に解説してきましたが、いかがでしたか?コツをうまく掴んで自社に合った方法を選択&効率的に活用し、今後ますます拡大していくと言われているネットリサーチ市場の波に乗っていきましょう。