
従業員満足度調査(ES調査)のやり方|調査票の設計・作成ガイド(無料ダウンロードあり)
はじめに
「従業員満足度調査」は、会社の成長に欠かせない要素の1つと言われています。ここでは、基本的な情報を含め、具体的なやり方について、分かりやすく解説していきます。
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従業員満足度調査(ES調査)を実施する目的と効果
■従業員満足度調査とは
従業員満足度調査とは、会社・職場などの雇用主体に対し、そこで働く従業員の満足度を把握するための調査です。Employee Satisfactionの略で、ES調査とも呼ばれることがあります。
近年、さらに従業員満足度調査(ES調査)が重要視される要因として、ワークライフバランスによる働き方の変化、働き方改革による新しい環境の整備など、働き手の意識にも大きな変化が見られることにあります。このことから、多くの企業で取り入れられている調査となります。
■従業員満足度調査の目的
従業員満足度調査(ES調査)の目的としては、「従業員の満足度」から、今後の様々な展開における“課題(現状の課題・今後の課題)”を抽出することが大きな目的となります。
この目的の背景は、以下の点で構成されています。
・労働環境・意識の把握(職場の生産性・経営側意識との乖離・CI関連)
・顕在化していない課題の把握(潜在化している課題)
・離職率をおさえること(採用コスト・育成コスト)
■従業員満足度調査(ES調査)から得られること
従業員満足度(ES調査)から得られる基本要素を整理すると、下記のようになります。(職場環境はそれぞれ異なるため、調査設計によっては、下記以外にも得られる効果はあります)
・従業員の満足度(全体構造と部門、役職、その他属性)
・従業員のモチベーション(源泉となる要因)
・従業員の不満足要因
・従業員の意見・要望
・職場環境の評価(取り組み評価など)
従業員満足度調査(ES調査)の実施手順
手順は大きく分けて4つとなります。
①目的・仮説の整理
②調査設計・実施体制の整理
③調査実施(事前・事中・事後)
④集計・分析・アウトプット
この手順ごとに重要と考えるポイントを解説していきます。
また、はじめて従業員満足度調査(ES調査)を実施する場合、イメージがわかないこともあるかと思いますが、効率の良い調査を実施するために、疑問点・不安点があれば専門家などに確認することをお勧め致します。
①目的と仮説の整理
従業員満足度調査(ES調査)の目的で記載されている内容をさらに細部まで整理する必要があります。
まず、なぜ従業員満足度調査(ES調査)を計画しようとしたのか、大前提となる目的を中心とした、目的詳細を明確にする必要があります。
例えば・・・
・管理職者の離職率が高まり、さらに売上低下した為、部署・チームなどの課題を把握したい。
・会社の展望と社会環境に合わせたコーポレート・アイデンティティの改定へ向け、従業員意識を把握し会社全体をONE TEAM(ワンチーム)にしたい。
・「働き方改革などの施策は機能しているのか」を把握し、さらに生産性を高める体制を作っていきたい。
目的詳細は、多くの仮説要素で構成されています。
さらに、目的詳細に関連する仮説も明確にすることが重要です。(目的・仮説は、業種・業態によって、目的も様々となるため、実施主体で把握している仮説をいくつかの視点で整理する必要があります)
【仮説整理の参考例】
・事業の現状と今後の展望
→ 従業員との関係性
・総合的な満足度評価と要因の柱
→満足要因(他:他社よりも優れているであろう点など)
→不満足要因(他:他社よりも劣っているであろう点など)
その他の視点要素としては、経営・マネージメント面、職場環境面、評価・処遇面、仕事内容などが活用されます。
これらの要素が整理できてないと、効果的な従業員満足度調査(ES調査)を実施する可能性が低くなります。さらに、これらが整理できることにより、方向性が定まり、この後の従業員満足度調査(ES調査)実施・分析の効率も格段にアップします。
②調査設計・実施体制の整理
従業員満足度調査(ES調査)の調査設計を整理するにあたり、調査手法・実施時期・調査対象セグメントを整理する必要があります。
まず、調査設計を進める際に、決めなくてはいけないものとして、調査手法があります。この手法ですが、大きく分けて2つの手法があります。
・アンケート形式による実施
・インタビュー形式による実施
アンケート形式の記述方式として、インターネット活用したWEBアンケートと紙アンケートが主流となっています。(アプリなどもWEBに含む)
インタビュー形式は、個別インタビューと集団インタビュー(チーム内インタビュー)などがありますが、主流は個別インタビューとなります。
調査の目的を達成するために、これらの手法を選定し実行することが大切です。
応用となりますが、手法を組み合わせて行う、ハイブリッド形式も、実施されることがあります。
手法が決定したら、調査項目の大枠を考える必要があります。こちらは目的を達成するための重要なポイントとなるため、基本的な項目以外に十分検討が必要です。
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実行時期としては、繁忙期をさけ、従業員の方が参加しやすいタイミングを検討する必要があります。職務中に実施することを指示したとしても、繁忙期の場合、”目先の不満”や”体制に批判“が集中することが懸念されます。この点を配慮した期間を設ける必要があります。
調査対象については、基本的に全従業員が望ましいのですが、場合によっては、該当部署/入社年数などピンポイントで実施することも有効です。(絞り込む場合は、全従業員に聞けないデメリットを確認し、再度目的と照らし合わせると良いでしょう)
もうひとつ重要なのはセグメントを検討しておくことです。調査対象となる方のセグメントは、目的を達成するための重要ポイントです。
例えば、
このように、どのようなセグメントで実施していくか明確にすることで、回答分析がより良いものになります。
その他にも、無記名のアンケート実施でも記名相応の分析ができることになります。
実施体制については、どの部署が担当するか等、様々な役割を明確にすることで、従業員満足度調査(ES調査)を効率よく勧められます。
この情報から事業者内で実施できるかどうかの判断をします。
・目的、調査設計、実施体制の構築
・実施手法に合わせた準備(調査票、インタビューフロー、各種アサイン)
・実施前のアナウンス
・実施中の窓口
・実施後のフォロー
・データ集計(入力・書き起こしなど)
・分析、レポート
・フィードバック
基本的なものをあげただけでも、このようになります。
これらのステップごとに管理が必要であることを念頭に置いて、計画を進める必要があります。
③調査実施(事前・事中・事後)
従業員満足度調査(ES調査)を実施するために、事前・事中・事後で必要となる基本的ポイントをまとめました。
【事前】
・調査票を作成し、関係部署内での承認を得る
・調査を行う目的と必要性をアナウンス※
→可能であれば経営側が発信の主体となる方が良い
→その上で、回答方法・実施期間・当部署なども明記する
・各部署の管理者への同意確認(従業員への直接確認ができれば方法は問わず)
※無記名の場合は、ここで明確に伝えてもOK
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【事中】
・中間~後半の時点での回答状況のチェック
・従業員からの問い合わせ対応
・必要に応じて、各部署(各チーム)との連携
【事後】
・調査終了のアナウンス(経営サイドと担当部署)
・回答者数の速報フィードバック(各部署管理者へ)
・レポートフィードバックの想定を案内
調査会社などの第三者機関に依頼する場合は、内容が異なる場合がございますので、ご注意ください。
・全てを調査会社に依頼する場合
・調査表作成、実施、集計、レポートなど部分的に依頼する場合
④集計・分析・アウトプット
集計作業を進めるにあたり、紙アンケートの場合は、データ化(入力作業)が必要です。また、入力したデータを集計可能なフォーマット(ローデータ)にする必要があります。
これは、データに規則性を持たせることにより主計という手段が取れるようにするためです。文字でも集計できるツールもありますが、基本的には項目を数字に置き換えたり、複数回答を「0,1」に置き換えたりなども含まれます。
集計には、単純集計( GT集計=grand total、)とクロス集計の大きく2つの方法があります。
・単純集計
集計の中では一番基本となるもので、設問ごとのトータルを示す集計
・クロス集計
設問と設問をかけ合わせたり、設問と役職・部署などをかけ合せたり、回答結果をより細分化して(絞り込んで)把握することができる集計
集計結果をもとに分析を行うのですが、分析をするためによく利用される解析手法もご紹介します。
・相関関係から回答傾向を推測するための分析(因子分析など)
・ポートフォリオ分析(重要指標と満足指標の2軸マップ)
集計結果や解析を行った結果を分析する際は、調査目的を達成するための分析をまず念頭に置いてアウトプット(レポーティング)していきましょう。顕在する課題、潜在する課題の発見など、様々な角度からデータを分析することが重要です。
データ上での結果を担当部署(担当者内)で共有・意見交換した方が、効率の良いアウトプット(レポーティング)作業となります。
集計結果から、新たな実態を発見した場合も、まずは目的に沿ってフィードバックできるようなアウトプット(レポーティング)をしていきましょう。
フィードバックについては、結果だけでなく課題抽出と改善示唆も含めた形でまとめられればベストです。まとめた結果は、まず経営サイドから改善示唆部分を中心に施策などが検討されるかと思いますので、それらを含めて、関係部署・チームで施策を協議する必要があります。(従業員全体の理解を得られる施策内容へ)
その後、最終フィードバックレポートという形になります。
従業員へのフィードバックについては、サマリー形式で行うこともありますので、その点も検討の上、最終フィードバックを行ってください。
ここまでで、従業員満足度調査(ES調査)の手順の説明は終わります。
基本指標は、定点で観測できるデータとなりますので、今後も有効に活用してください。
さらに、目的によっては、顧客満足度調査(CS調査)と平行に行い、比較分析する手法もあります。
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おわりに
ここまで従業員満足度調査のやり方について説明してきました。総務や人事担当の方、経営者の方は絶対におさえておきたい知識となります。ぜひ活用してください。