ネットリサーチをおこなうにあたり、まずは下記の点について、しっかりと決めておきましょう。
・調査の課題は何なのか
・対象は誰なのか
・仮説(調査結果の予測)をたてる
・結果の活用方法や利用目的をたてる
アンケートの実施自体が目的とならないよう注意しましょう。
調査票は、後の集計・分析作業のことを頭に置いて作成していきます。知りたい情報が抜けないよう、質問項目が適切かどうかをしっかりと精査しましょう。
設問を作る際の注意点はいくつかありますが、中でも「回答者負荷」については、最大限の配慮が必要です。
例えば、
・設問文が分かりやすいか(専門用語を使っていないか)
・全体の設問数は適切か
・動画などを提示する際は秒数は適切か
などの点になります。
回答者負荷は、回答精度に影響するので、「あれも聞きたい!これも聞きたい!」と欲張りすぎないよう、注意を払いましょう。
作成したら、周りの人に協力を仰ぎ、第三者の目で不自然な箇所が無いかどうかをチェックしてもらい、完成させます。
アンケート画面の作成方法としては、簡単な操作と低コストが魅力の「セルフ型アンケートツール」の利用がおすすめです。
高度な分岐設定や、回答しやすいレイアウト構成、アンケートの信頼性にもつながるビジュアル面も、画面の指示に従って進めるだけで、完璧な仕上がりになります。
また、「Webでのアンケート」は「紙の調査票」に比べてアンケートの作成から結果回収までがとてもスピーディーになり、時短化になることもメリットです。
画面が完成したら、いよいよアンケートの配信です。アンケートに回答してもらうためには、アンケート画面へアクセスしてもらう必要があるので、『アンケート用の公開URL』を発行し、メールで送信したり、WebサイトやSNSにリンクを張る方法が一般的です。
スマートフォンで読み込むだけですぐにアンケートに回答できる「QRコード」も人気です。
ツールによっては、アンケート開始後にリアルタイムでデータが見られるものもあります。一般的に、50サンプル程度の回収ができてしまえば、開始後1時間以内に傾向を把握することができます。
Webアンケートは回収時間が早く、数分から数時間以内で回収が完了することもあります。
回収したアンケートは、そのまま活用できるわけではありません。必ず「集計」という作業が必要になります。ネットリサーチにおいては、この「集計」はとても重要な鍵を握る作業の1つです。
主な集計方法として、全体像を把握するための「単純集計(GT集計)」と、単純集計の結果を他の設問と掛け合わせてより絞り込んで把握できる「クロス集計」の2種類があります。
Webアンケートをツールを活用して実施した場合、回答結果のデータがWeb上に自動で溜まっていくため、手の掛かる集計作業がなくなります。
なお、データは必ずグラフ化しましょう。視覚的に一番分かりやすく、一目で結果を把握することができます。
まずは結果の全体像を把握します。ざっくりした集計結果から大まかな傾向をつかんで、そこから順に細かい点にだんだん絞って見ていきます。
アンケート調査の最大の目的はである課題を発見して改善することに結びつくよう、時間をかけておこないましょう。
ここまでネットリサーチの流れをご紹介してきました。次からは、具体的なネットリサーチの事例をご紹介します。
※いずれもセルフ型アンケートツール『Freeasy』を利用してアンケートを実施しました。
今年は、私たちの購買行動に様々な影響から大きく変化がある一年となった。そこで私たちの生活や購買行動に焦点を当て、酒税法の税率改正に伴う購買行動の変化や、コロナウイルス感染拡大の影響による自炊、食品備蓄の状況の変化を調査した。
調査対象:20~60代男女 合計1,000名
調査期間:2020年12月1日
●酒税法の税率改正によって、「ビール」の値段が下がり、購入頻度が増えた人が2割近くい・た。
●自炊に関しては、昨年(コロナ禍前)と比べて自炊の頻度が増えたと回答した人は約3割であり、その中でさらに食費が増えた人は約6割と、全体の約2割の人が自炊が増えたことで食費も増えた。
●食品の備蓄についてみてみると、日頃から食品を備蓄している人は78.1%と8割近い結果だった。また、備蓄している人の約3割の人が新型コロナウイルス感染症の拡大後に備蓄を増やしたことが明らかとなった。
●自炊が増え、食費が増えたと回答した人の約9割の理由が「食材を購入する量が増えたため」だったことから、食品を備蓄する人が増えたことで食費が増えたことも理由の一つとして考えられる。
2019年発表の「ジェンダー・ギャップ指数」(各国の男女格差を示している指標)では、日本の順位は153か国中121位で、過去最低かつ、G7の中でも最下位だった。
しかし、世界から遅れつつありながらも、男女平等は徐々に進んでおり、2019年に内閣府が行った調査によると、「子どもができても女性は仕事を続けるべき」と考える人が60%を超える一方、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」と考える人は過去最低の35%まで減少している。
そこで今回は「働く女性」の意識に焦点を当て、現在の働き方や、性別役割分業観、就業意識などについて調査した。
調査対象:20~50代女性、会社員 合計1,000名
調査期間:2020年10月22日 ~ 2020年10月26日
●昇進・昇格をしたいと思っている人は20代が最も多く、年齢が上がるにつれて消極的であるが、現在の役職を聞いた設問を見てみると、年代が上がるにつれて、役職を持っている人が若干ではあるが多くなっていることから、現在のキャリアに満足しており、これ以上の昇進・昇格を望まない人がいることも理由の一つとして考えられる。
●若年層には、隠れ専業主婦願望を持っている人が多くいる。
●反対に年齢が上がるにつれて、理想の働き方として結婚や出産の有無にかかわらず、仕事を続けたいと答える人が多く、性別役割分業についても、賛成と答えた人が多かったのは20代であり、年代が上がるにつれて、少なくなった。
●男女が共に仕事と家庭の両立をしていくために、重要だと思うことについては『男性が家事や育児を行うことに対する職場や周囲の理解や協力があること』、男女ともに社会のあらゆる分野にバランスよく積極的に参加するために必要なものについては、『男女ともにお互いをパートナーとして理解し、協力すること』が最も多かった。
●女性だけではなく、男性に焦点を当てた、男女ともに働きやすい社会を目指していくことが必要と考える人が多いことが明らかとなった。