調査リリースの書き方│事例、目的、やり方を解説!
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はじめに
今や企業にとっては欠かせない広報戦略の一つである「調査リリース」。メディアや消費者に対して信頼できる情報を配信することで、企業の信頼度を高めることが期待できます。
ここでは、アンケート調査を活用したプレスリリース(調査リリース)の作成方法やコツを知りたい人に向けて、調査リリースを作成する際の基本的な手順やポイント、メリットなどを、分かりやすく解説していきます。
この記事を読んで分かること、できるようになること
・調査リリースの基礎や、メリットを理解できる。
・読者に響く調査リリースの制作フローを知り、実践に活かせる。
・調査リリースの事例やよくある質問が掲載された資料を無料でダウンロードできる。
調査リリースとは
調査リリースとは、企業が自社の商品やサービス、またはそれらと関連するテーマについて、独自の方法でリサーチ(調査)・分析を行い、その調査結果(社会的意義のある情報)を、プレスリリースとして世の中に広く発信することです。企業認知度やブランディングを高める「広報戦略」の1つです。
自社の商品やサービスだけに限らず、自社が所属・関連する業界について調査をおこなうこともあります。
調査リリースの傾向
調査リリースは「読者の関心事」「トレンド」について発信することが大切です。「世間で関心のあること」+「消費者の関心事」を意識し、読者の関心・興味を持つリリースを制作しましょう。
近年では社会情勢を反映し、コロナ禍による仕事の意識変化や消費の変化、AI関連をテーマにした調査リリースを目にする機会が増えています。
調査リリースの4つのメリット
調査リリースをおこなうことで企業にとって生まれるメリットは主に4つあります。
認知度の向上
調査リリースを配信すると、興味を持った大手メディアから取材依頼を受けることもあります。
大手メディアに記事として取り上げられSNSで拡散されれば、企業の商品やサービスを間接的に宣伝することが可能となります。
企業ブランドの信頼度の向上
定期的な調査リリースの情報発信は、企業ブランドの信頼度向上に繋がります。
「この企業の調査は面白い情報を常に発信している」と注目され、調査データをきっかけに企業に相談が持ち込まれることもあります。
営業資料としての活用
調査リリースで制作したデータは、市場で求められているニーズを視覚化します。
視覚化されたデータを元に既存の商品・新商品・サービスのプレゼン資料として活用が可能です。
情報発信の機会につながる
プレスリリースは新商品や新サービスだけでなく、データの提示を通して消費者や企業に対し情報を発信する機会になります。
情報発信の機会が増えることで、企業の露出度も高まり、信頼度やブランドへの信頼感につながります。
調査リリース制作の手順
大きく分けて、「準備→実践(ライティング)→配信」の3ステップに分けられます。1つずつ解説していきます。
1.準備
まず、有益なデータに必要な調査票を制作します。
①調査目的・ゴール設定
「なぜ調査をする必要があるのか」「調査リリースの読み手にどのようなアクションを取って欲しいのか」という、調査の目的とゴールを明確にします。
②調査方法の検討
調査に最適な方法を「Web調査」or「紙調査」から選択します。
調査内容 |
おすすめユーザー |
Web調査 |
スマホ、ネット操作に慣れているユーザーが対象 |
紙調査 |
ネットリテラシーの低い高齢者 |
③調査票の制作
アンケートフォームに回答する調査票を制作します。
アンケート回答者に負担のかからない設問を意識して作りましょう。
>>【お役立ち情報】アンケートの調査票ってどうやって作るの?「アンケートの作り方」について詳しく見る
2.実践(ライティング)
次に、回答者にアンケートを依頼(調査の実施)し、集計・分析、ライティングへと進みます。
①調査の実施
調査時、回答者に対して以下の情報を伝えましょう。
・調査目的(※)
・回答時間、回答期限
・所要時間
※「調査目的」については、ウェブで実施する場合は載せないケースがほとんどです。
※回答数や状況に応じて、調査期間の延長を検討します。
②集計・分析
アンケートの結果に応じて、集計作業をおこないます。集計結果を調査する方法は大きく分けて2つあります。
●単人計算でデータを分析する「単純集計」。
例)かに料理は好きですか?の質問に対し、「好き」「嫌い」「どちらでもない」のいずれかの数字を表示する場合。
● 設問と設問をかけ合わせて分析する「クロス集計」。
例)かに料理は好きですか?の質問と、出身地の回答をかけ合わせて分析をする場合。
分析では、クロス集計をおこなう場合が多くなります。調査とマッチする集計方法を選択しましょう。
③ライティング
調査データをもとに、調査リリースを制作します。「調査概要」「調査背景」「目的」の3つを意識しながら、読者に響く内容を制作します(詳しくは、後述の『読者に響く調査リリースにするコツ!ライティングで注意をすべきこと』を参照)。
④グラフの作成
グラフの作成もとても重要です。「グラフタイトル」「N数」「見た目」を意識して作りましょう。
グラフの例「円グラフで回答者をカテゴライズ」したパターン
こちらのグラフのポイントは、質問と回答者を明確にし視覚的に分かりやすくなることです。
グラフの例 「棒グラフでさまざまな業種を紹介 」したパターン
こちらのグラフのポイントは、ユーザーの職種を棒グラフでカテゴライズしたことです。
3.配信
グラフも完成し、リリースが完成したら、誤字脱字や情報に誤りが無いか、必ずチェックをおこないましょう。そしていよいよ配信に進みます。
主な調査リリースの配信先と選び方
調査リリースをたくさんのメディアや影響力のある大手メディアに取り上げてもらうためには、プレスリリース配信サービスの利用がおすすめです。
コストはかかりますが、複数の新聞やTV、WEBメディア等に、メールや電話、FAXなどの様々な方法で配信することができ、大手メディアに取り上げられた際の宣伝効果はとても大きいです。
下記にプレスリリース配信サービスをいくつかご紹介します。掲載しているメディア数、料金、サポート体制等を比較し、自社にベストなものを選びましょう。
サービス名 |
詳細 |
PR TIMES |
国内シェアNo.1を誇る、プレスリリース配信サービスです。 |
valuepress |
業界最多社数が選んだ、プレスリリース配信サービスです。 |
アットプレス |
記事掲載数が国内No.1、日本で一番記事や取材につながることを謳っている、プレスリリース配信サービスです。 |
共同通信PRワイヤー |
取り上げる側である「メディアの視点」をもとに構築した、共同通信グループのプレスリリース配信サービスです。 |
ドリームニュース |
業界No.1の圧倒的低価格を謳っている、プレスリリース配信サービスです。 |
配信のタイミング
一般的に、火曜日・水曜日・木曜日、時間帯は10時~15時の配信がおすすめと言われています。
メディア担当者は、暦通りに休むことが多いため、土曜日・日曜日・祝日の配信は適していません。
また、週始めの「月曜日、特に午前中」と週終わり「金曜日の特に午後」は避けましょう。メディア担当者に届く情報が多かったり、業務もかさむため、調査リリースに目を通す時間がなく、せっかくのリリースを読んでもらえない可能性が高くなります。
こういった忙しい曜日や時間帯を避けて配信するよう注意しましょう。
読者に響く調査リリースにするコツ!ライティングで注意すべきこと
手順の「2.実践(ライティング)」にて、調査リリースを執筆する際には、次の5つのポイントを意識したライティングを心がけましょう。
5W2Hを活用し、調査をした目的を明確にする
プレスリリースでは、冒頭のリード文で簡潔に要点をまとめ伝えることが重要です。
調査目的について、5W2Hを活用しながら分かりやすく伝えましょう。
偏りのない調査をアピール
調査件数のサンプルが50件などの少ない場合は、偏った結果になってしまうこともあります。
偏りの無い調査であることをアピールするため、回答数が豊富であることをアピールしましょう。
記入すべき項目
「集計対象」「年齢」「集計数・集計期間」「調査方法」 >>関連用語を解説:サンプル数ってどのくらい必要?「サンプル数」について詳しく見る
「客観的な資料」として活用出来るような情報を発信する
「なぜこの調査をおこなったのか」という調査意義を明記し、客観的な資料であることを強調しましょう。現在の情勢や、現代の社会的背景を反映している調査は、多くの読み手に読まれる可能性があります。
専門用語を用いる場合は簡潔に説明をして補足する
読み手の中には、同じ業界以外の方もいます。業界以外の方が読んでも調査リリースの内容を理解出来るよう、専門用語を用いる際には簡潔な説明を添えて情報を補足するよう心がけましょう。
文章の最後に有識者コメントを挿入する
プレスリリースの最後に、サービスに精通している担当者や社長などのコメントを反映しましょう。コメントを反映することで、メディアが問い合わせをした際に対応者を誰にすべきか検討しやすくなります。
調査リリースに活用できるアンケートツール例
調査リリースに活用できる主なアンケートツールです。目的に合ったツールを選びましょう。
サービス名 |
特徴 |
おすすめのユーザー(例) |
---|---|---|
Freeasy |
初期費用、登録費用、ランニングコストが必要ないアンケートツール。 |
調査リリースを制作したことがない初心者の方 |
Google フォーム |
無料で活用できるアンケートフォーム。選択式、プルダウン式などさまざまな形式のコンテンツ制作が可能。
無料で使えるものの、回答者を自分で集める必要がある。
|
2〜3分で回答出来る、簡易的なアンケートサービスを利用したい方 |
Questant |
パソコンやスマホから、簡単にアンケートが作成できる、デザイン性に優れたアンケートツール。 無料で活用出来るツールであるが、モニターを集めるサービスは別途利用する必要がある。 モニター利用の場合は年間50,000円〜のため、コストが高い傾向も。 |
コストをかけて、アンケートデザインから集客までを一括して依頼したい方 |
調査リリースの事例
実際に調査リリースを作成するときは、他社事例を参考にしてみましょう。
下記は、アイブリッジ株式会社が展開するセルフ型アンケートツール“Freeasy(フリージー)”で約1,300万人のモニター会員を活用しておこなった調査のリリースです。
是非参考にしてください。
●【職場におけるコミュニケーションに関する調査】残業実施企業は1割減、AI研修は判断保留派が5割強と最多数(2024年3月26日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000056.000064613.html
●【VRに関する調査】VR継続利用意向は約9割と圧倒的な高さ、今後の普及拡大のトリガーは“ビジネス用途”の革新的機器か?!(2024年1月29日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000052.000064613.html
●【マーケティングトレンドに関する調査】2023年の振り返りと2024年の展望!マーケティングマネージャーの見解は?!(2023年11月28日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000044.000064613.html
●マーケティングマネージャーの認知度は9割!【ChatGPTの利用実態調査】(2023年8月31日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000026.000064613.html
●【グミ(お菓子)に関する調査】 8割強が食べたことあり!好きなところは「食感の良さ」(2023年6月26日)
https://www.value-press.com/pressrelease/320017
調査リリースの制作におけるよくある質問(Q&A)
Q:調査リリースの作成において、意識すべき点は何でしょうか。
「調査目的」「調査方法」「読み手にどのような情報を知ってもらいたいか」を意識して発信しましょう。調査だけで満足しないよう、目的を明確にして調査を進めてください。
調査はしっかりおこなったものの、どのデータを掲載すべきかわからないという場合は、調査リリースの目的・設定が不明瞭な可能性があります。調査目的を再度設定し、社会的に掲載する意義のある目的設定を心がけましょう。
Q:調査リリースに必要なサンプル数はどのぐらいでしょうか。
ケースによって異なりますが、少ないと有益なデータとして発信出来ない可能性もあります。
最低でも500〜1,000サンプルは用意するように心がけましょう。
>>【参考】「サンプル数」について詳しく解説
Q:自己流で調査をしても、問題ないでしょうか。
自己流で調査をおこなうと、場合によっては偏りのあるデータ結果となり、企業の信頼度を失う恐れがあります。
偏りが生まれないよう、サンプル数を増やす、ターゲット属性の幅を増やす、集計ツールの活用をする、などの客観的なデータとして提示出来る工夫を心がけましょう。
無料ダウンロード『プレスリリースの価値を高めるための「調査リリース」の作り方 完全ガイド』
こちらで解説した内容をまとめた資料『プレスリリースの価値を高めるための「調査リリース」の作り方 完全ガイド』は、下記よりダウンロードすることができます(無料)。
おわりに
ここまで、調査リリースの制作について、基本的な手順とポイントについて解説してきました。
一連の流れを知ると、手間がかかる印象を受ける方も多いと思いますが、便利なアンケートツールや集計ツールを使用する等して、効率よく進めることも可能です。
企業にとっては、通常のプレスリリースよりもさらに意義のある広報戦略となりますので、積極的にトライしていきましょう!