アンケート調査の分析方法|集計から代表的な分析手法まで徹底解説

アンケート調査で重要なのは、集計したデータをもとに適切な分析方法で読み解き、「次に何をすべきか」を判断できる状態まで落とし込むことです。

しかし実務では、「どの分析手法を使えばよいかわからない」「自由記述をどう整理して扱うべきかわからない」と悩むケースも少なくありません。

そこで本記事では、アンケート調査の分析方法に特化し、「集計」の基本から「代表的な分析手法(定量・定性)」、「自由記述の整理方法」までを体系的に解説します。

分析の質を高めるポイントを押さえ、調査結果をビジネスの意思決定につなげる力を身につけましょう。

アンケート調査における分析の進め方

アンケート調査の分析は、以下の6つのステップで進めるのが基本です。

目的の設定からデータの整備、手法の選択まで、順序立てて進めることが大切です。ここでは、実務でそのまま使える分析の進め方を6つのステップで解説します。

1.分析の目的と仮説を明確にする
2.
定量分析と定性分析の違いを理解する
3.
回答データをクリーニングして整える
4.集計で全体像を把握する
5.目的に合った分析手法を選んで実施する
6.分析結果を解釈して結論を導く

│1.分析の目的と仮説を明確にする

アンケート調査でもっとも重要なのは、「何のために分析するのか」という目的をはっきりとさせることです。

集計は、“回答データを整理・可視化して現状を把握する”ための作業ですが、分析は、“その数字の裏にある意味を読み解き、ビジネス上の意思決定につなげる”ために行います。

目的が曖昧なまま進めると、データは揃っていても「結局、何を判断すればよいのか」がわからなくなりがちです。

まずは市場の全体像を把握したいのか、満足度を改善するポイントを探したいのか、ゴールを言語化しましょう。目的が定まれば、どの切り口でデータを読み解くべきかという分析の仮説も自然と絞られてきます。

仮説の立て方は以下の記事で詳しく解説しています。
🔗仮説の立て方|事例から学ぶ「仮説構築力」の身に付け方!

│2.定量分析と定性分析の違いを理解する

アンケート分析は、数値データを扱う「定量分析」と、言葉のデータを扱う「定性分析」の2つに大きく分けられます。

選択式設問から得られる定量データ(満足度や選択率など)は、傾向を数値として客観的に把握するための定量分析に活用します。

一方、自由記述から得られる定性データは、顧客の感情や背景を読み解く定性分析に用います。

この2つを組み合わせ、数値で全体の傾向を把握しながら、言葉から顧客の本音や背景を読み解くことで、説得力のある結論につながります。

│3.回答データをクリーニングして整える

分析の精度を左右するのが、データクリーニングです。そのため、分析を始める前には、データの質を確保するためのデータクリーニングの作業が欠かせません。

不正確なデータが混在すると、どれだけ丁寧に分析しても誤った判断を招く恐れがあります。

具体的には、以下のようなデータは除外しましょう。

  • 同一人物による複数回の回答
  • 「あああ」のような無意味な文字列
  • 設問数に照らして明らかに短すぎる回答時間のデータ

また、集計ルールを正しく適用することも重要です。ひとつだけ選ぶ「単一回答」は合計が100%になるよう計算しますが、複数選べる「複数回答」の場合は、単純な合計ではなく「回答者全体のうち何人がそれを選んだか」といった割合まで算出する必要があります。

こうした細かな整理を丁寧に行うことで、信頼できる分析結果が得られます。

│4.集計で全体像を把握する

まずは「単純集計」で全体像を把握しましょう。分析は、いきなり細かい数字を見るのではなく、全体から細部へと進めていくことが鉄則です。

単純集計とは、性別や年代などの属性でわける前に、全回答者のデータをそのまま合算する基本的な集計方法です。各設問の平均値や選択肢ごとの割合を確認することで、「そもそも満足している人は多いのか」といった全体の大きな傾向を掴めます

また、実務において信頼できる結果を得るためには、サンプルサイズ(回答者数)も重要です。一般的な市場調査では、結果のズレを5%以内に抑えるための目安として、400件程度の回答が必要とされています。

この全体把握ができていない状態で分析手法に進むと、一部の数値や印象に引きずられ、見当違いな施策判断につながりやすいため注意が必要です。

│5.目的に合った分析手法を選んで実施する

重要なのは、解決したい課題から逆算して分析手法を選ぶことです。

全体の傾向を掴んだ後は、目的に応じた手法で分析を進めていきます。

たとえば「価格の安さ」と「総合満足度」の連動性を確かめたいなら「相関分析」が適しています。どの要因がリピート購入と関係しているかを把握する手がかりになります。

また、似た傾向の回答者をグループ分けする「クラスター分析」は、各層の特徴を把握し、グループごとに最適な施策を検討したいときに役立ちます。

このように、課題から逆算して手法を選ぶことで、分析結果をそのまま施策に活かしやすくなります。

│6.分析結果を解釈して結論を導く

分析のゴールは、数字の裏にある意味を読み解き、その結果を「行動につながる結論」として言語化することです。

「30代女性の満足度が10%低下した」という事実を述べるだけでは不十分で、「なぜそうなったのか」という解釈まで加える必要があります。

たとえば、直近でUIのリニューアルを行ったアプリに対するアンケートで、自由記述の35%が「操作の複雑さ」に言及していれば、「リニューアルが使い勝手に影響した可能性がある」という仮説が立ちます。

また、レポートを作成する際は、以下の4つの要素に分けて伝えると効果的です。

  • ①事実
  • ②解釈
  • ③原因の仮説
  • ④推奨施策

読み手が「何を・なぜ・どう対処すべきか」を一目で把握でき、意思決定や承認をしやすくなります。

分析の前提として押さえておきたい、データの集計・整理の方法

アンケート分析の精度は、前提となるデータの集計・整理の質に大きく左右されます。

適切に集計されたデータがあってこそ、分析結果の信頼性が担保されます。ここでは、分析を行う前に押さえておきたい基本的な集計・整理の方法を解説します。

  • 単純集計
  • クロス集計
  • 自由記述回答の整理・分類

│単純集計:全体の回答傾向を把握する

単純集計は、アンケートの各質問に対して「何人がどの選択肢を選んだか」を合算し、実数や構成比を算出するもっとも基本的な手法です。GT(Grand Total)集計とも呼ばれ、全体の概況を素早く把握するのに適しています。

たとえば「満足している人が全体の7割」といったボリューム感を掴むことが可能です。

通常、分析はまずこの単純集計から始まりますが、これだけでは「誰が」「なぜ」その回答をしたのかまでは読み取れません。クロス集計や各種分析へと進むための出発点として位置づけましょう。

│クロス集計:属性ごとの回答傾向の差を確かめる

クロス集計は、2つ以上の質問項目を掛け合わせて、回答者の属性ごとの違いを比較できる集計方法です。一般的には「性別」「年代」「居住地」などの属性情報と、具体的な回答項目を掛け合わせます。

これにより「全体の満足度は高いが、20代女性に限っては満足度が低い」といった、単純集計では見えてこないターゲットごとの傾向の差を浮き彫りにできます。

特定の層に向けた施策を検討するビジネスシーンでは、多用される重要な集計方法です。

「性別×満足度」「年代×利用頻度」といったシンプルな掛け合わせから試してみると、単純集計では見えなかった傾向の差が浮かび上がってきます。

クロス集計については、概要・やり方・注意点を、以下の記事で詳しく解説しています。
🔗クロス集計とは?集計表の作り方と活用事例

│自由記述回答の整理・分類

自由記述回答は、数値データでは捉えきれない回答者の本音や潜在的な不満、具体的な改善要望を把握できる、重要な情報源です。

数値だけでは読み取れない「感情や文脈」を補完できるため、定量的な分析結果に説得力のある根拠を加えたい際に不可欠です。

整理・分類の主な方法としては、主に以下の2つがあります。

▼自由記述データの主な分析手法

手法名

特徴

適しているケース

アフターコーディング

回答内容をカテゴリーごとに整理し、数値データとして扱う

回答数が少〜中規模で、文脈まで丁寧に読み取りたい場合

テキストマイニング

単語の出現頻度や関係性を分析し、傾向を可視化する

数百〜数千件以上の大量データを効率的に分析したい場合

目的やデータ量に応じてこれらの手法を使い分けることで、定量データだけでは見えないインサイトを効果的に抽出できます。

自由記述回答については、以下の記事で詳しく解説しています。
🔗アンケートの自由記述回答とは(活用・集計・分析例)

アンケート調査における主な定量分析方法

アンケート調査の定量分析では、数値データをもとに回答傾向や項目同士の関係性を客観的に捉えます。重要なのは、目的に合った分析手法を選ぶことです。

ここでは、主な定量分析方法を6つ紹介します。すべての手法を使う必要はなく、調査の目的や課題に応じて「どこまで深掘りするか」を判断することがポイントです。

  • 時系列分析:施策前後や時期ごとの変化を追う
  • 相関分析:2つのデータの関連性を探す
  • クラスター分析:似た傾向を持つ回答者をグループ化する
  • 決定木分析:結果に至る条件の組み合わせを確認する
  • 主成分分析:多数の評価項目を少数の指標にまとめる
  • アソシエーション分析:同時に起きやすい行動の組み合わせを見つける

それぞれの手法について、特徴と活用シーンを見ていきましょう。

│時系列分析:施策前後や時期ごとの変化を追う

時系列分析とは、同じ質問内容のアンケートを一定期間ごとに実施し、回答の変化を時間軸に沿って追跡する手法です。

「昨年と比較して満足度は上がったか」「キャンペーン前後でブランド認知度はどう変化したか」といった、施策の効果測定やトレンド把握に重宝されます。

この分析で重要なのは、データの変動を正しく読み解くことです。

たとえば、飲料の売上が夏に伸びるのは季節性による影響が大きく、商品力の向上とは切り離して考える必要があります。また、テレビ番組への露出といった一時的な要因で数字が向上することもあります。

前年同月との比較を行ったり、突発的なトピックを注釈として記録したりすることで、こうしたノイズに左右されず、長期的な衰退や成長の兆しを早期に察知できます。

時系列分析の【完全ガイド】は、以下の記事でご確認いただけます。
🔗時系列分析とは|変動、予測モデル、手法、事例を解説!

│相関分析:2つのデータの関連性を探す

相関分析は、2つのデータ間に「一方が増えれば、もう一方も増える(または減る)」といった関係があるかどうかを数値で把握する手法です。

その強さは「相関係数」という数値で表され、

  • 1に近いほど両者が同じ方向に動く関係が強い
  • -1に近いほど逆方向に動く関係が強い
  • 0に近い場合は、ほぼ関連がない

と判断されます。

たとえば、「Webサイトの閲覧時間」と「購入金額」の相関係数が1に近ければ、サイト滞在を伸ばす施策が売上向上に貢献する可能性が高いと推測できます。

ただし、「相関がある=因果関係がある」とは限りません。あくまで「連動している」という事実を確認し、真の原因を探るためのきっかけとして活用しましょう。

相関分析の【完全ガイド】は、以下の記事でご確認いただけます。
🔗
相関分析をわかりやすく解説!基本、エクセルのやり方、事例

│クラスター分析:似た傾向を持つ回答者をグループ化する

クラスター分析は、似たような回答傾向を持つ回答者同士を抽出し、いくつかのグループ(クラスター)に分類して、特徴ごとに整理する手法です。

性別や年齢といった属性に限らず、価値観や行動パターンにもとづいた分類が可能です。

たとえば、「価格重視層」「機能こだわり層」「ブランド志向層」といったセグメントにわけることで、それぞれの集団に最適化したマーケティングメッセージを届けられます。

属性だけでは見えてこない顧客像を見極めたい場面で有効な手法です。

クラスター分析の【完全ガイド】は、以下の記事でご確認いただけます。
🔗クラスター分析をわかりやすく解説!やり方と事例

│決定木分析:結果に至る条件の組み合わせを確認する

決定木分析は、ある結果に至った要因を、樹形図のような枝わかれ構造で可視化する手法です。

たとえば、「30代以上」かつ「週1回以上来店」かつ「クーポン利用」といった、購買に至るための「条件の組み合わせ」を直感的に把握できるのが最大の特徴です。

統計の専門知識がなくても「どの条件の組み合わせが目的の結果につながるか」を視覚的に確認できるため、営業戦略の策定やWebサイトでの導線設計など、そのまま施策の判断基準として活用しやすい手法として重宝されています。

決定木分析の【完全ガイド】は、以下の記事でご確認いただけます。
🔗決定木分析とは?マーケティングにおける活用方法を解説!

│主成分分析:多数の評価項目を少数の指標にまとめる

主成分分析は、アンケートの多数の質問項目を、少数の新しい指標(主成分)にまとめ直す手法です。

複数の評価項目に共通する傾向を整理できるため、商品やサービスの強み・弱みを俯瞰して把握したいときに有効です。

たとえば、味・価格・接客・立地など多岐にわたる評価データを「満足感」と「利便性」という2つの軸に集約することで、複数のサービスや商品をひとつのグラフ上に並べて比較でき、自社と競合の位置関係を一目で把握できるようになります。

「質問項目が多すぎて全体像が掴めない」と感じるときに、データを整理する手段として活用できます。

│アソシエーション分析:同時に起きやすい行動の組み合わせを見つける

アソシエーション分析は、回答や行動のあいだにある「一緒に起きやすい関係」を特定する手法です。

「紙おむつを買う人はビールも買いやすい」という小売業界の有名な事例のように、一見すると関連がなさそうな行動同士が高い確率でセットで起きていることを明らかにします。

アンケートにおいては「このサービスに満足している人ほど、特定の機能に不満を抱きやすい」といった、直感に反する傾向を発見するのに役立ちます。

セット販売の企画や、解約リスクの高いユーザーの予兆検知など、データにもとづいた意外な打ち手を検討する際のヒントが得られます。

アソシエーション分析の【完全ガイド】は、以下の記事でご確認いただけます。
🔗アソシエーション分析とは?用語・エクセルのやり方を解説

アンケート調査における主な定性分析方法

アンケート調査では、数値だけでは捉えきれない顧客の本音や感情を読み解くために、定性分析が欠かせません。

定量分析で全体の傾向を把握し、定性分析で「なぜそうなったのか」を深掘りすることで、より実践的なインサイトにつながります。

目立つ意見だけを拾い上げてしまうと偏った判断を招くため、注意が必要です。

まずは、以下の2つの代表的な手法の違いを正しく理解しましょう。

  • アフターコーディング:自由記述の回答を数値化する
  • ​テキストマイニング:大量の自由記述から傾向を見つける

│アフターコーディング:自由記述の回答を数値化する

アフターコーディングとは、自由記述の回答をカテゴリー化し、定量データとして扱えるようにする手法です。

自由記述形式で回答された文章を読み込み、意味の似た回答同士をグルーピングして、それぞれにコードを割り当てます。

これにより、本来は計算できない定性的な「言葉」を、定量的な「数値」として扱えるようになります

たとえば、「価格が高い」と「コスパが悪い」という回答を価格への不満というひとつのカテゴリーに統合するとします。こうすることで、全体の何%がその意見を持っているかを算出したり、年代別に不満率をクロス集計したりすることが可能になります。

機械的な処理では見落とされがちな感情や文脈も拾い上げられる点が強みで、とくに回答数が数十〜数百件程度であれば、人の目で文脈を読み取れるアフターコーディングは有効です。

│​テキストマイニング:大量の自由記述から傾向を見つける

テキストマイニングとは、自然言語処理を用いて大量の文章データを分析し、出現頻度や単語同士の関係を可視化する手法です。

人手では処理しきれない大規模データを効率的に分析したい場合に適しています。

代表的な可視化形式である「ワードクラウド」を使えば、頻出する単語ほど大きく表示されるため、大量の自由記述の中から「何が話題の中心か」を直感的に把握できます。

また、どの言葉とどの言葉がセットで使われやすいかを探ることで、回答者の意図や文脈を読み解くヒントが得られます。

たとえば数千件の口コミから、「意外」という言葉が「使いやすい」と一緒に多用されていることがわかれば、作り手も気づかなかった活用シーンを発見できるかもしれません。

人手では数日かかる読み込み作業も瞬時に処理できるため、主観を排除して客観的に全体像を捉えられる点がメリットです。

アンケート調査における分析の質を高めるコツ

アンケート分析を実務に活かすには、集計や手法を正しく使うだけでなく、データの取り扱い方や、どのように読み解くかという視点が重要です。同じデータでも、解釈の仕方を誤ると見当違いな施策につながる可能性があります。

以下4つのポイントを意識し、分析結果の信頼性と実用性を高めましょう。

  • 十分なサンプル数を確保する
  • 仮説に沿って集計軸を設定する
  • 平均値だけでなく分布や偏りまで確認する
  • 相関関係と因果関係を区別して解釈する

│有効回答の基準と十分なサンプル数を確保する

サンプル数が足りない状態でも数値は算出できますが、その結果を根拠として施策判断や社内説明に使えるかどうかは別問題です。

分析結果の信頼性を担保するためには、十分なサンプル数の確保と適切な有効回答の精査が不可欠です。

まず、統計的に意味のある結果を得るために、十分なサンプル数を確保しましょう。サンプル数が少なすぎると、個別の極端な意見に全体の結果が左右されてしまい、誤った判断を導くリスクが高まります。

そのうえで、全項目に同じ回答をしているものや、設問数に照らして明らかに短すぎる回答時間のデータなど、信頼性の低いデータを無効回答として除外する基準を設けましょう。

調査目的に対して、信頼できるデータが十分に揃っているかを確認することが、精度の高い分析の基礎となります。

サンプル数やアンケートの回収数については、以下の記事で詳しく解説しています。
🔗サンプルサイズとは?基本と計算方法を簡単解説!
🔗アンケートの回収数はどれくらい必要か?目的別にわかる最適なサンプル数の考え方

│仮説に沿って集計軸を設定する

質の高い分析を行うには、闇雲に集計するのではなく、あらかじめ立てた仮説にもとづいて集計の切り口(集計軸)を決めることが大切です。集計軸の設定が、分析で「何を読み取れるか」を左右するからです。

たとえば「若年層ほどアプリの利用率が高いはずだ」という仮説があれば、年代別に集計することで初めてその差を確認できます。

集計軸が定まっていないと、膨大なデータの中で何を読み取るべきか分からなくなり、表面的な結果しか得られません。「誰のどのような行動の差を明らかにしたいのか」を明確にしてから集計に入ることで、施策に直結するインサイトを発見しやすくなります。

│平均値だけでなく分布や偏りまで確認する

平均値は、アンケート結果を手早く把握するための便利な指標ですが、それだけで全体を判断してしまうのは危険です。

たとえば満足度が5点満点中「3点」だったとしても、全員が3点をつけている場合と、1点と5点に極端にわかれている場合とでは、改善の方向性が大きく異なります。平均値だけを根拠に改善策を決めてしまうと、本来優先すべき不満層を見落とすリスクがあります。

平均値はデータを要約する上で役立ちますが、回答のバラつきや、特定の層に偏った不満が隠れている可能性までは把握できません。そのため、必ず中央値(データを並べたときの真ん中の値)や最頻値(最も多く選ばれた値)を確認し、どの評価が多いのかを併せて見ることが重要です。

さらに、度数分布表やヒストグラムで回答の分布を可視化して、「不満が一部の層に集中しているのか」「評価が二極化しているのか」など、数字の裏にあるユーザーの実態を多角的に把握しましょう。

平均値については、以下の記事で詳しく解説しています。
🔗平均値とは?特徴、求め方、中央値や最頻値との違いを解説!

│相関関係と因果関係を区別して解釈する

「相関関係」と「因果関係」は別物であり、混同すると効果のない施策にコストを投じてしまうリスクがあります。「Aが増えるとBも増える」という相関関係が見つかっても、必ずしも「Aが原因でBが起きた」とは限りません

たとえば、「朝食を食べる子どもほど成績がいい」というデータがあっても、朝食が直接学力を上げているのではなく、「規則正しい生活習慣」という第3の要因が両方に影響している可能性があります。

相関が見つかった際は、背景に別の要因が潜んでいないかを慎重に検討したうえで、施策の根拠として活用するようにしましょう。

アンケート分析に使うツールの種類

アンケート分析では、データ量や分析の目的に応じてツールを使い分けることが重要です。

ここでは、アンケート分析に使われる代表的なツールを3つに分類して紹介します。

  • Excel・Googleスプレッドシート:手軽に始めたい場合に最適
  • SPSS・Rなどの統計解析ソフト:高度な分析を行いたい場合
  • セルフ型アンケートツール:効率化とスピードを重視する場合

なお、必ずしも高機能なツールを使えば分析の質が高まるわけではありません。

それぞれのツールには特徴があるため、自社の調査規模や分析目的に応じて最適なツールを選択することが重要です。

│Excel・Googleスプレッドシート

ExcelGoogleスプレッドシートは、もっとも汎用性が高く手軽に導入できるツールです。

スプレッドシートであればリアルタイムでの共同編集が可能で、チーム間でのデータ共有にも適しています。専門的な統計知識がなくても直感的に操作できる点は、大きなメリットでしょう。

一方で、数万件を超える大規模なローデータの処理や、重回帰分析以上の高度な多変量解析を連続して行う場合には、処理速度や機能面で限界を感じることもあります。

追加コストをかけずに、社内にあるツールで手軽に分析を始めたい場合に向いており、サンプル数が数百〜数千件程度で、クロス集計やグラフ化を軸にした基本的な分析で事足りるプロジェクトであれば、十分に対応可能です。

しかし、自由記述が大量に含まれる調査や、多変量解析を本格的に行う場合には、専用ツールの利用を検討したほうがよいケースもあります。

Excelの分析方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
🔗Excelでできる!アンケート集計・分析の基本と実践テクニック

│SPSS・Rなどの統計解析ソフト

より高度な信頼性と複雑な解析が求められる場面では、「SPSS」や「R」といった統計解析専用ソフトが力を発揮します。

「SPSS」はマウス操作を中心とした直感的なUIで、高度な多変量解析を実行できるため、企業のマーケティング部門でも広く利用されています。

一方、「R」はプログラミング言語を用いるオープンソースのソフトで、最新の統計手法や自由度の高いカスタマイズが可能ですが、習得には一定の学習コストが必要です。

これらのツールは単なる集計を超えて、変数間の因果関係を厳密に証明したり、予測モデルを構築したりするなど、専門的・高度な分析を行う場面で重宝されるツールです。

数万件を超える膨大なデータを扱う場合や、複数の要因の関係性を統計学的に厳密に検証したい場合に適しているでしょう。

│セルフ型アンケートツール

調査から分析までを一括で効率化したい場合は、セルフ型アンケートツールが適しています。

最近では生成AIを搭載したツールも増えており、数百件のコメントを数分で要約したり、「自由記述の◯%が操作性に言及している」といった傾向を瞬時に可視化したりできます。専門知識がなくても直感的に操作できるため、スピーディーな意思決定の強力な味方となります。

アンケートの「作成・配信・回収・分析」を一つのツールで完結できるため、リサーチ業務全体を効率化したい場合に向いています。記述式の自由回答が多く、手作業での読み込みや分類に時間がかかる調査や、分析結果を社内に素早く共有したい場面でも有効です。

セルフ型アンケートツールの中でも、分析の自由度と手軽さを両立しているのが「Freeasy」です。単純集計・クロス集計(3重クロスまで対応)に加え、テキスト回答と選択式回答を掛け合わせた分析も可能で、結果をExcelで出力できます。専門知識がなくても直感的に操作できる点も強みです。

アンケートツールを活用する最大のメリットは、集計作業を効率化することで、分析や解釈に時間を割ける点にあります。データを「作ること」よりも「どう読むか」に集中できる環境を整えることが、実務で結果を出すための近道です。

アンケート調査の分析に関する、よくある質問(FAQ)

最後に、アンケート調査の分析においてとくに実務で迷いやすいポイントを中心に、よくある質問と回答をまとめました。分析方法の理解を深めるために、実務でよくある疑問とその解決策を確認しておきましょう。

以下のような疑問について解説します。

  • Q:ネットリサーチと紙のアンケートで、分析方法は変わりますか。
  • Q:分析結果が仮説と違った場合はどうすればいいですか。
  • Q:分析しやすいアンケートを作るために設問設計で意識すべきことは何ですか。
  • Q:分析結果をビジネスの施策に落とし込むコツはありますか。

│​Q:ネットリサーチと紙のアンケートで、分析方法は変わりますか。

基本的な集計や分析の理論は同じですが、データの特性に応じた配慮が必要です。

ネットリサーチはデータがデジタル化されているため集計後すぐに解析へ進めますが、手軽に回答できる分、回答の質にばらつきが出やすい点に注意が必要です。

一方、紙のアンケートは記述の熱量が高い傾向にありますが、データ化の際に打ち間違いが生じるリスクがあるため、入念な確認が欠かせません。

また、ネットは若年層、紙は高齢層など回答者に偏りが出やすいため、分析結果を解釈する際は「誰が答えたデータか」というバイアスを常に意識し、必要に応じて重み付けを行うことが重要になります。

│Q:分析結果が仮説と違った場合はどうすればいいですか。

仮説と異なる結果が出たことは、失敗ではなく「新しい発見」を得る最大のチャンスです。

まずはデータに偏りがないか、設問の解釈に誤解が生じていなかったかを確認しましょう。そのうえで、なぜ仮説が外れたのかをクロス集計や自由記述から深掘りします。

たとえば、「若年層に人気だと思っていたが、実はシニア層の満足度が高かった」という想定外の傾向が見つかれば、自分たちが気づいていなかった商品の新しい強みが見えてくるかもしれません。

思い込みを捨てて客観的な数字と向き合うことで、より精度の高い一手へとつながります。

新たな仮説を立て直し、次の分析や施策に活かすことが重要です。

│Q:分析しやすいアンケートを作るために設問設計で意識すべきことは何ですか。

分析しやすいアンケートを設計するためには、出口である「分析」から逆算して設問を作ることが鉄則です。具体的には、まず分析の切り口となる属性を必ず含め、選択肢は重複や漏れがない状態にします。

たとえば、「週に何回利用しますか?」という問いに対し、「1〜2回」「2〜3回」と選択肢が重なっていると、後の集計で正確な数字が出せません。

また、満足度などは5段階などの尺度で統一しておくと、後に相関分析や重回帰分析へ展開しやすくなります。

自由記述を設ける際は、後のアフターコーディングの手間を考え、具体的で答えやすい問いかけを意識しましょう。

│Q:分析結果をビジネスの施策に落とし込むコツはありますか。

分析結果を「数字の報告」で終わらせず、「行動への提言」に変換するのがコツです。

判明した事実に解釈と施策を添えるだけでなく、「どの施策から着手すべきか」という優先順位や、「実施するとどう変わるか」という展望をセットで示しましょう。

たとえば、アプリの利用状況を分析し、「30代ユーザーの離脱率が高い」という事実が判明したとします。

そこで「機能を絞った初心者ガイドを表示する」という施策を提案する際に、「離脱率を10%改善できれば月間〇件の継続利用増につながる」といった数字を添えると、提案に具体性と根拠が生まれ、施策の実行につなげやすくなります。

「事実→解釈→施策」の流れで整理することがポイントです。

まとめ

アンケート調査の価値は、集計したデータを「次に打つべき施策」へと変換することにあります。

まずは単純集計で全体の傾向をつかみ、クロス集計や相関分析などを使い分けることで、課題の優先順位を明確にしていきましょう。

また、数値化された定量データだけでなく、顧客の生の声である定性データをバランスよく読み解くことで、説得力のある結論を導くことができます。

分析を実務に活かすためには、適切な手法の選択に加え、データの読み解き方や解釈の精度も重要です。本記事で紹介した進め方やポイントを参考に、自社の課題に合った分析を進めてみてください。

なお、アンケート調査について、手軽に精度の高い分析を効率よく進めたい場合には、セルフ型アンケートツールの活用も有効です。1,300万人という豊富なパネルに加え、テキスト回答の分析にも対応し、専属スタッフによるサポート体制も充実しているFreeasyの活用を、ぜひご検討ください。

柏田宮亜
柏田宮亜
この記事はアイブリッジ 柏田宮亜が編集・構成を担当しました(編集者 / コンテンツディレクター)。2020年6月よりセルフ型アンケートツール『Freeasy』に関わり、記事の編集・構成を担当。読者の目線に立って、わかりやすく、役立つ情報を届けられるよう心がけています。

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