アンケートの回収数はどれくらい必要か?目的別にわかる最適なサンプル数の考え方

アンケートの回収数はどれくらい集めるべきか?アンケート設計において「回収数」が重要な理由

アンケートの企画において、「回収数」は準備~分析までを貫く影響幅が大きい要素です。きっと皆さんも、「どれくらい集めたら分析や用途に対して適量なのか?」と自問したり、「集まらなかったらどうしよう…」と気を揉んだりされていることでしょう。

今回のテーマは「アンケートの回収数」です。主にユーザーアンケートを実施・計画されている方を念頭に置いて、初心者でも案件ごとの適切な回収サンプル数の検討がつく算出方法や、データの活用用途ごとの目標回収数イメージなどを解説していきます。

解説するのはリサーチャーの菅原大介氏です。

👤講師:リサーチャー 菅原大介氏について

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回収グループの単位から必要なサンプル数を考える

回収グループの構成例|性年代別の場合

「アンケートで回収するサンプル数はどれくらい集めればよいか?」―私が調査業務の監修をしていて依頼主から一番もらう問合せがこの質問です。数が少ないともちろん分析ができなくて困りますし、集まりすぎても分析負荷や謝礼コストがかかります。

そこで、アンケートの回収計画を立てる時は、回収グループの単位から全体で必要な数を求めるようにすると、どんなケースでも上手く組み立てられます。
ユーザーアンケートで多い分析軸をイメージしながら、以下いくつかのパターンを紹介しましょう。回収するグループを性年代で構成する場合は、たとえば、20代~60代の男女(10セル)×各30サンプル=300サンプル、同じ条件×各50サンプル→500サンプル、というようになります。
性年代別は差は出やすいので、各30か50のまとまりで考えていきます。

回収グループの構成例|地域別の場合

回収するグループを地域で構成する場合は、たとえば、東京・大阪・名古屋・福岡(4セル)×各100サンプル=400サンプル、というようになります。地域別は差が出づらいことがあるので、各都市とも100を最低単位とするまとまりで考えていきます。

回収グループの構成例|行動・意識別の場合

回収するグループをユーザーの行動・意識で構成する場合は、たとえば、調査テーマの購入ステータス(2セル:購入/未購入)×各100サンプル=200サンプル、調査テーマの趣味ステータス(3セル:3段階)×各200サンプル=600サンプル、というようになります。

購入ステータスは事実情報で明快なので、各100でも成り立つことが多く、モデルではそこを最低単位とまとめています。
趣味ステータスは意見が広がりやすいので、各200位あるとセーフティーなので、最低単位は購入ステータスの倍を確保しています。

このように、1グループの分析に必要な最小単位(30、50、100、200など)を定め、あとはいくつグループをつくるかで掛け算をすれば、簡単かつ確実に目標回収数が求まります。
※希望回収・均等回収ができないケースでの考え方も以下で触れていきます。

主要質問の選択肢構成から回収数を考える

分析強度が必要になる質問構成とは/回答が分散しやすい設問の考え方

続けて大事になってくる視点が、主要質問の選択肢構成に合った分析強度を保てる回答者母数を確保することです。アンケート全体のサンプル数とは別に、質問構成の中でも核となる質問における回答者数がしっかり確保できるかをチェックしていきます。

皆さんのお手元の調査票案の中には、分析や公表を意識した時に欠かせない質問があるはずです。その質問の選択肢構成を眺めた時に、各選択肢にどれくらい集まっていて欲しいか?、下位の選択肢をどこまで扱う必要があるか?を吟味していきましょう。

これにはいくつかパターンがあります。提示するブランドやタイトルの数が多い場合(好きなブランドなど)、評価の観点が多軸である場合(物事の支持理由など)、人の数だけ志向性が幅広い場合(趣味など)―いずれも回答傾向が散りやすいですよね。

また、意見が出づらい場合(困っていることなど)も、不使用理由・未利用理由などの形でアンケートニーズがありますが、よほどメジャーな事物でない限りなかなか回答が集まりにくいので、質問結果を分析するうえで相当数の回答母数を必要とします。

自社でユーザーアンケートを行う場合は、そもそも①のような形での希望回収・均等回収(調査用語で割付と言います)は難しいことも多いので、そういう時は主要質問の選択肢構成を見ながら、どれくらいの強度が必要か?を手がかりにするのが良いです。

調査の用途別に考える目標回収数の目安

公表・分析用途に適した回収数の考え方

調査の用途から必要な全体サンプル数を考えていくアプローチもあります。アンケートデータの公表(プレスリリース)や、取引先へのプレゼン提案(ホワイトペーパー)などのシーンが該当し、こうした場面では全体サンプル数の心証が求められます。

ご自身が調査の計画からデータ活用先の実務まで一貫して手がけている場合は良いのですが、調査活動と事業活動を分業で連携している場合、それぞれの立場から、以下に挙げるような公表の用途に適した全体回収数の目安イメージを知っておきましょう。

100サンプル程度なら、シンプルな命題の二択のテーマをごくライトに公表したい時に適しています。TwitterやInstagramのアンケート投票機能のイメージですね。
200サンプル程度なら、調査対象物が明快かつ最低限の数で公表したい時に適しています。

300サンプル程度は、性年代の基本属性による分析を主軸とする形で公表したい時の目安となり、調査会社でもこの規模以降の発注が多いです。
400サンプル程度は、まとまった数で外部公表まで意識して公表したい時に適しており、一つの目標地点です。

800サンプル程度は、テーマに対して安定的なデータやランキングで公表したい時に適しています。特にトレンドランキングを作成したい場合は、回答傾向がある程度分散するところが見どころになるので、これくらいの母数があると見応えが出てきます。

質問数から逆算する回収数の目安

補完的な考え方として、質問数レンジからおおよそのサンプル数を導くことも可能です。
10問程度なら200~300程度、15問程度なら300~600程度、20問程度なら600~800程度、25問以上なら800以上―だいたいこのあたりが規模相応の回収数のイメージです。

もちろん案件によって異なるものなので、5問の毎月定点認知度調査で1万サンプルが必要なケースなどもありますが、規模が大きくなると稼働も費用もその分だけかかるので、ウチのアンケートではどれくらいが適量なのか?を知る参考材料としてください。

自由回答の分析負荷を踏まえた回収数設計

自由回答の内容別に見る分析負荷の目安

自由回答の分析負荷もまた回収数の決定にあたり大事な概念です。基本的にはここまでのやり方でビルドアップしていくことが本質ですが、実際に集まった回答データを選択回答はもちろん、自由回答も全件読み込めるか?を自問自答する必要があります。

皆さんが調査に関わる立場は、調査を実施する運用担当者でしょうか?それとも、調査を企画する依頼担当者でしょうか?―いずれにしても、せっかく集めた回答データを無駄にしないよう、以下の分析者にかかる業務負荷イメージを参考にしてください。

「名称や事実の回答」を読み込む場合、800サンプルを超えるとややきつくなります。回答データは単語や短文なので量的にも処理しやすい内容ではありますが、それでも、800あたりを超えてくると回答がバラエティに富んでくるので負荷が上がります。

「意見や理由の回答」を読み込む場合、400サンプルを超えるとややきつくなります。これらは内容をしっかり読んで、自分で種別や傾向を分類しながら読み進める必要があるため、1件の回答ボリュームによりますが、400程度でも一定の負荷になります。

回収率を踏まえた現実的な回収数の考え方

ユーザーアンケートにおける平均的な回収率

最後に、皆さんの調査実施環境によって、やはり現実的な回収率と照らし合わせる必要があります。自社で行うユーザーアンケートでは、どんなに良い計画を立てても、平均的な回収率が低ければ、ここまで準備してきたプランも絵に描いた餅となります。

平均的な回収率は会社や組織によってまちまちですが、「10%程度」(8~12%)を目安にすると安定的にアンケートを運用できるようになります。ここが5%未満だと、サービスそのものが巨大で多数のユーザーを抱えていないとかなり難しいでしょう。

自社にとってメジャーな調査テーマで、各回おおよそ10%程度まで集まる環境を構築できていると、次回企画する時も、10%の回収率を基準に、想定回収数・必要配信数がわかり、計算もしやすいのでユーザー対応部門と連携する時にもおすすめの基準です。

回収率を高めるための調査ディレクション

内製アンケートの回収率を上げるために、自社サービスのグロースを期待してひたすら待つわけにもいかないので、調査担当者(企画者)側で可能な回収率を上げるための努力も挙げておきます。いずれも小さな心がけながら、地道に改善できる活動です。

まず、「配信時間」です。アンケートの配信(お知らせ・周知連絡)は、ユーザーが告知に気づきやすい時間帯にメールやプッシュ通知を送りましょう。メインユーザー層がアクティブではない時間帯に送ってしまうとアテンションの面でロスになります。

次に、「実施期間」です。大型の連休やイベント期間をできるだけ避けましょう(そこに当てたテーマでない限り)。人々の旅行習慣がある時期や皆が何か特定の物事に心を奪われている時間は、アンケート回答の優先度が下がってこれもロスになります。

最後に、「回答謝礼」です。調査協力に見合った回答謝礼を設定しましょう。ユーザーアンケートの場合、ポイント・クーポン・ギフト券・課金相当のアイテム等が謝礼になることが多くありますが、上手く設定して協力を得られるようにしていきます。

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想定回収数をもとに、現実的な調査計画を立てる

回収数の設計は、分析の精度だけでなく、調査全体の進め方にも影響します。理論上の適正数と、実際に集まる数には差が出ることも少なくありません。

Freeasyでは、回収状況を確認しながら調査を進められるため、想定回収数と現実の進捗を見比べた運用が可能です。

回収数設計を実務に落とし込みたい方は、Freeasyのサービス紹介資料をご確認ください。

本シリーズで学べるアンケート設計・実務ノウハウ

Freeasyリサーチアカデミー〈調査票編〉シリーズ一覧

本シリーズでは、アンケート設計から実査直前までを「完全体系化」し、企画書・調査票をはじめとする、調査活動で必須となる代表的なアウトプットに関するノウハウを解説しています。

各記事はそれぞれ独立して読める構成になっていますが、シリーズ全体を通して読むことで、アンケート業務を実務レベルで一貫して理解できるよう設計されています。

📚記事一覧(調査票編)

1.質問数

2.回収数

3.企画書

4.共有情報

5.ツール導入

6.運営体制

7.質問リスト(設問設計の骨格)

8.質問タイプ(形式)

9質問文作成(文章)

10.選択肢作成(中身)

11.ウェブ画面調査票(UI)

12.開始前の最終準備(最終回)

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