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ハイブリッド調査完全ガイド|定量×定性の違い・メリット・デメリット・手順・事例・FAQ

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この記事でわかること

ハイブリッド調査とは

アンケート調査では数値の傾向は把握できるものの、「なぜそのように感じるのか」という理由までは見えにくい…。一方、インタビューでは深いインサイトを得られるものの、それが市場全体に当てはまるのか、母数の裏付けが弱い…という課題があります。

マーケティングの現場で、このようなジレンマに直面した方も多いのではないでしょうか。

単一の手法だけでは捉えきれない課題を解決してくれるのが、異なる調査手法を組み合わせて相互補完する「ハイブリッド調査」です。定量調査の“広がり”と、定性調査の“深さ”を掛け合わせることで、判断に必要な納得度と解像度が一気に高まります

─その両方を組み合わせた“ハイブリッド調査”こそ、意思決定の精度を一段引き上げる最も確かなアプローチです。

なお、ハイブリッド調査は文脈によって「ミックス調査」「ミックスメソッド調査」「マルチメソッド・アプローチ」「複合調査」「定量・定性統合調査」「クロスリサーチ」など、さまざまな呼び名がありますが、いずれも“複数の調査手法を組み合わせて活用する”という点で共通しています。

ハイブリッド調査が注目される背景

消費者行動の複雑化

SNSの普及やD2Cモデルの台頭により、単純な属性分析だけでは、消費者行動を把握することは不可能になってきました。

リサーチのオンライン化とスピードアップ

かつては多額の費用と期間が必要だったハイブリッド調査でしたが、オンラインインタビューやセルフ型アンケートツールの普及によりもたらされた、費用の低減と期間の短縮により、実施が容易になりました。

意思決定スピードの高速化

迅速な意思決定が求められる中、「数字はあるが納得できない」「ストーリーはあるが根拠が弱い」といった状態を避けるため、両者を一度に満たす調査設計が求められてきました。

データドリブン経営の限界

「データ(数字)はあるが、解釈が分かれる」という課題に対して、定性的な肉付けを行うことで、社内の合意形成をスムーズにすることが求められてきました。

…などにより、従来の単一調査だけでは意思決定の材料として不十分になってきました。

数字だけ、ストーリーだけではなく、双方を同時に満たす調査設計が求められ始めたことが、ハイブリッド調査が普及した背景にあります。

ハイブリッド調査のメリット・デメリット

メリット(定量調査→定性調査)

アンケートにてターゲットの全体像を把握し(定量調査)、注目すべき層をインタビューで深掘りする(定性調査)ことで、行動の背景や理由を明確にできます。

メリット(定性調査→定量調査)

インタビュー(デプスインタビュー)で得たインサイト(定性調査)を 、アンケートで検証する(定量調査)ことで、「少人数の意見」を「大きな母数」で裏付けられます。

デメリット

  • 工数・コストの増加(単一調査に比べると、設計・実査・分析の負担は増加します)。
  • 定量と定性の異なる性質のデータを統合して解釈する「統合分析のスキル」が求められます。

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ハイブリッド調査の優位性

定量調査は「What(何が起きているのか)」を明らかにし、全体傾向やセグメント差、市場規模の把握に適しています。
一方、定性調査は「Why(なぜそうなるのか)」を理解する手法で、潜在ニーズや行動・意識の背景理解に強みがあります。

ただし、定量調査だけでは理由までは分からず、定性調査だけでは少人数の知見が市場全体に当てはまるかを検証できないというように、両者には一長一短がありますが、ハイブリッド調査であれば双方の強みを掛け合わせることができます

定性で得た仮説を定量で検証し、定量で見えた傾向を定性で深掘りすることで、“因果関係の解明”と“裏付けを伴う検証”を同時に実現できます。最終的には、定量的なエビデンスに基づく戦略シナリオとして整理でき、意思決定の質を大きく高められます。

以上の内容を、分かりやすく整理して表にまとめました。

定量調査

定性調査

ハイブリッド調査

得意なこと

全体傾向、市場規模の把握

潜在ニーズ、動機の深堀

因果関係の解明と検証

サンプルサイズ

数百~数千(n数重視)

数人~十数人(深さ重視)

各手法に準ずる

アウトプット

グラフ、数表データ

発話録、インサイト

裏付けのある戦略シナリオ

意思決定の質

「What?」は分かるが「Why?」は分からない

「Why?」は分かるが検証できない

自信をもって施策を決定できる

ハイブリッド調査の代表的な組み合わせ

ハイブリッド調査にはいくつかの手法の組み合わせが存在します。代表的なパターンは次の3つです。

定量調査 × 定性調査 ※最も一般的
Webアンケートと
グループインタビュー、デプスインタビューを併用するケースなど。

オンライン調査 × オフライン調査
デジタル上の行動ログと、実環境での行動観察を組み合わせるケースなど。

一次データ × 二次データ(既存データ)
Webアンケート結果と
デスクリサーチ結果を突き合わせて分析するケースなど。

一般的に「ハイブリッド調査」と言う場合は、1つ目の“定量調査 × 定性調査”を指すことが最も多いと言えます。

次からはこの“定量調査 × 定性調査”の進め方を紹介します。

仮説探索型(定性 → 定量)

まずインタビューなどの定性調査で仮説を抽出し、その後アンケート調査で市場全体に当てはまるかを検証する流れです。

適したケースは、新商品の開発、未知の市場への参入、ブランドコンセプトの選定など。

定性で得た「想定外の発見」や新たな気づきを、定量データでエビデンスとして補強できる点が特徴です。仮説の妥当性を数字で裏付けることで、意思決定の再現性と確度が向上します。

事実発見・深掘り型(定量 → 定性)

まずアンケートなどの定量調査で、「離脱が多いポイント」や「特徴的な層」を把握し、その対象者にインタビューして背景や理由を深掘りする流れです。

適したケースは、既存サービスの改善、ブランド離脱理由の解明、優良顧客の行動分析など。

特定したセグメントに対してピンポイントでアプローチできるため、的確に“ターゲット”を狙い撃ちして深掘りできる点が特徴です。ユーザー行動の背景や阻害要因を明確にしたい場面で効果を発揮します。

ハイブリッド調査の実施ステップ

まず調査目的を明確化し、定量から定性か、定性から定量かのパターンを決めます。それから調査全体の設計をします。

一回目の調査を実施した後、中間分析で次の調査の項目を設計します。そして二回目の調査を実施した後、2つの調査結果を突き合わせ、一貫性のある結論を導き出します。


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ハイブリッド調査の事例

ステップに沿った、ハイブリッド調査の事例を紹介します。

課題

あるフィットネスクラブでは、サブスクリプション型のアプリを顧客に提供していますが、この2~3年、アプリの解約率の高さに悩まされてきました。

一回目の調査

アプリを解約した会員に定量のアンケート調査を行い、1,000人から回答を得ました(定量調査)。
解約の理由で最も多かったのは、「アプリの使い方がわからない」でした。

二回目の調査

定量のアンケート調査で、「アプリの使い方がわからない」と回答した5人を対象としたデプスインタビューを実施しました(定性調査)。

インサイト

デプスインタビューで明らかになった、顧客の真の解約理由は、「使い方がわからない」のではなく、「自分のレベルに合ったメニューがどれか選べない」ことへの不安でした。

施策

アプリの初回起動時にレベル診断機能を実装したところ、アプリの解約率は大幅に減少しました。

ハイブリッド調査の留意点

向いているテーマ

ハイブリッド調査に向いている代表的な調査例は、下記の通りです。

  • サービスの離脱理由の深掘り
  • 新規事業の受容性把握とコンセプトの策定
  • カスタマージャーニーマップとペルソナ作成

成功のポイント

リサーチの“余白”を残す

最初の調査で全てを決めつけず、2回目の調査で柔軟に変更できる余裕を持つ。

インタビューで聞きすぎない

定量アンケート調査で得られるデータを、定性調査でも聞いて時間を無駄にすることは避けましょう。※初心者に多いミス

データの矛盾を無視しない

アンケートとインタビューで結果が食い違った場合、食い違いの理由(“インサイトの宝庫”)を考察せず、どちらかの結果を切り捨ててしまうことはやめましょう。※初心者に多いミス

ハイブリッド調査とネットリサーチ

ネットリサーチは、ハイブリッド調査のハブとしてよく活用されています。主なメリットは以下の通りです。

シームレスなリクルーティング

定量アンケートの回答者の中から、特定の条件に合う人を即座にインタビューにリクルートできる。 🔗リクルーティングとは

スクリーニングの精度の高さ

大規模パネルから絞り込むため、ニッチな対象者も探しやすい。

クイックな仮説検証

定性インタビューで出た小さな気づきを、定量アンケートで検証できる。

定量調査と定性調査の一元管理

定量データと定性調査の対象者リスト、発話録を1つのプラットフォームで管理できる。

よくある質問

Q1:ハイブリッド調査の料金相場はどれくらいですか?

A1:調査の規模によって大きく変動しますが、目安として、先の事例(Webアンケート1,000人、デプスインタビュー5人)を、外部の調査会社にフルサポートで依頼した場合、総額はおよそ100万円前後です(定量・定性でほぼ半々の割合)。

一方、セルフ型ツールを使い自社で設問作成やモデレートを行う場合は、総額30〜50万円程度まで抑えることも可能です。ただし、バイアスのない設問設計や、深いインサイトを引き出すインタビュー技術が社内で求められます。

Q2:ハイブリッド調査のメインは「定量×定性」とのことですが、他の組み合わせもありますか?

A2:はい、あります。POSデータをもとに商品の購入者へ購入理由などを尋ねるアンケートを送る手法や、SNS投稿をAIでテキストマイニングし、抽出されたキーワードでアンケートを作成する手法も、ハイブリッド調査に含まれる場合があります。

Q3:定量と定性は同じ調査会社に一括依頼したほうがいいですか?

A3:はい。別々の会社に頼むと、アンケート結果をインタビュー担当者へ共有する手間や、その理解のための工数が発生し、ハイブリッド調査の最大の利点である「定量→定性のスムーズな連携」が損なわれてしまう可能性があります。


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まとめ

最後に、解説内容をまとめます。確認にご活用ください。

ハイブリッド調査とは、定量調査と定性調査を組み合わせることで、どちらか単一の手法ではとらえきれない“理由解明”と“裏付けの検証”を同時に実現できる調査アプローチです。

中でも、仮説探索型(定性→定量)と事実深掘型(定量→定性)は、様々な業界で活用される最も一般的な進め方です。

近年は、消費者行動の複雑化、リサーチのオンライン化とスピードアップ、意思決定の高速化、データドリブン経営の限界などを背景に、ハイブリッド調査の重要性が高まっています。

調査結果は、因果関係の把握や、裏付けのある戦略シナリオの構築において、単独手法よりも高い精度を発揮する点が大きな強みです。

実施手順は、調査目的の明確化から定量・定性のパターン決め、調査全体の設計、1・2回目の調査、総合分析とレポート化といった流れになります。

特に、サービスの離脱理由の深掘り、新規事業の受容性評価、カスタマージャーニーやペルソナ設計などのテーマで高い効果を発揮します。

成功するためのポイントは、リサーチの“余白”を残すこと、インタビューで聞きすぎないこと、データの矛盾を無視しないことです。特に後半2つは、初心者に多いミスです。
また、ハイブリッド調査でネットリサーチを活用することで、スムーズなリクルーティングや、精度の高いスクリーニング、クイックな仮説検証などが可能になり、調査全体のスピードと精度が高まります。


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柏田宮亜
柏田宮亜
この記事はアイブリッジ 柏田宮亜が編集・構成を担当しました(編集者 / コンテンツディレクター)。2020年6月よりセルフ型アンケートツール『Freeasy』に関わり、記事の編集・構成を担当。読者の目線に立って、わかりやすく、役立つ情報を届けられるよう心がけています。

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