アンケートの属性とは?代表的な項目一覧と設計・分析のポイントを解説

アンケートの属性とは、アンケート回答者がどのような人なのかを示す基本情報のことです。

年齢・性別・職業・居住地といった情報は、単なるプロフィールではありません。アンケート結果を「誰が回答したのか」という視点で分析し、ターゲットごとの違いや傾向を把握するための重要な情報です。

しかし、「どの属性項目を入れるべきかわからない」「年齢や性別だけで十分なのか迷う」「取得した属性をどう分析に活用すればよいかわからない」と悩む方も少なくありません。

本記事では、アンケート属性の意味や種類、代表的な属性項目、設問設計のポイント、分析での活用方法、そして調査手法ごとの使い分けまでを、実務に沿ってわかりやすく解説します。

アンケートの属性とは?

アンケートの属性とは、回答者がどのような人かを示す情報です。年齢、性別、職業、居住地、家族構成、年収などが代表的な属性項目にあたります。

これらは回答内容そのものではなく、結果を「誰がそう答えたのか」という切り口で読み解くための前提情報です。例えば、同じ商品に対する評価でも、20代と50代、男性と女性、利用経験者と未経験者では異なる傾向がみられることがあります。

そのため、アンケート調査では回答内容だけでなく、属性情報をあわせて取得することで、ターゲットごとの違いや特徴を把握しやすくなります。属性は、比較分析やセグメント分析クロス集計を行うための重要な土台となる情報です。

なお、アンケート調査票の中でこうした属性を尋ねる設問部分は、実務上「フェイスシートと呼ばれます。

かつては調査票の冒頭(=顔=face)に配置されることが多かったことに由来する呼び方ですが、年収や婚姻状況などプライバシーに関わる項目を含むことも多いため、現在では調査票の最後に配置するのが一般的です。「属性」と「フェイスシート」はほぼ同じ意味で使われる用語だと理解しておくとよいでしょう。

本質問と属性質問の違い

アンケートの「本質問」は、商品・サービスへの評価、利用実態、課題、購入意向など、回答者の意見や行動を把握するための設問です。

それに対して「属性質問」は、その回答をどのような人の意見として見るかを判断するための設問です。性別、職業、居住地、役職などを取得し、どの層がどのような回答をしているのかを分析するために利用します。

例えば、本質問で「このサービスを利用したいと思いますか?」と聞いた場合、回答結果だけでは全体傾向しか分かりません。しかし属性情報があれば、「30代では利用意向が高い」「管理職より実務担当者の方が評価が高い」といった違いを把握することができます。

つまり本質問は「何を考えているか・何をしているか」を把握するための設問属性質問は「誰の回答なのか」を把握するための設問です。そして両者を組み合わせることで、アンケート結果をより深く分析できるようになります。

本質問と属性質問の違いを表にまとめると、下記のとおりです。



アンケート調査における「属性」の種類

一口に属性と言っても、アンケートで使う項目は一種類ではありません。よく使われる基本属性だけでなく、地域、行動、価値観のように、見る切り口によって分類が分かれます。

この章では、アンケート設計で押さえておきたい代表的な属性の種類を整理し、それぞれがどんな場面で役立つのかを解説します。

デモグラフィック属性(基本属性)

デモグラフィック属性は、アンケートで最もよく使われる基本分類です。年齢、性別、職業、年収、学歴、家族構成など、人口統計学的な情報がここに含まれます。

「誰が回答したか」を把握するための中心的な属性であり、多くの調査で最初に検討される分類です。アンケートで一般的に「属性」と呼ばれるものの多くは、このデモグラフィック属性に該当します。

ジオグラフィック属性(地域属性)

ジオグラフィック属性は、居住地、勤務地、都市規模、商圏など、地域に関する属性です。地域ごとのニーズの差や認知の差を見たいときに有効で、エリア別販促、商圏分析、店舗展開の検討などで使われます。

全国調査で地域差を分析対象としない場合は、優先度が高くないケースもありますが、エリア戦略が関係する調査では重要度の高い属性です。

ビヘイビアル属性(行動属性)

ビヘイビアル属性は、利用頻度、購買履歴、契約状況、利用年数など、実際の行動ベースで見る属性です。年齢や性別のような「基本情報」とは異なり、「その人が何をしているか」に注目する点が特徴です。

商品のユーザーとノンユーザー、新規ユーザーと既存ユーザー、ヘビーユーザーとライトユーザーの違いを見たいときに有効です。

サイコグラフィック属性(心理属性)

サイコグラフィック属性は、価値観、ライフスタイル、興味関心、動機など、心理面に関わる属性です。デモグラフィック属性よりも一段深い顧客理解に使える分類で、やや高度な設計が必要になります。

初期の調査では無理に多用せず、仮説がある場合に絞って扱うと設計しやすくなります。顧客セグメンテーションやクラスター分析など、価値観の違いを把握したい調査で活用されることがあります。

実務では、年齢や性別などのデモグラフィック属性に加えて、利用状況や契約状況などのビヘイビアル属性を組み合わせて分析するケースが少なくありません。調査目的に応じて適切な属性を選ぶことが重要です。

アンケートでよく使う属性項目と選び方

ここからは、アンケートで実際によく使われる属性項目を順に見ていきます。年齢、性別、職業といった基本項目に加え、BtoB調査で重要になる業種や職種まで含めて整理します。

属性項目は多ければよいわけではありません。調査目的や比較したい差に合わせて必要な属性項目だけを選ぶことが重要です。不要な属性を増やすと回答負荷とともに分析負荷も上がるため、設計意図を持って取捨選択する視点が欠かせません。

区分

代表的な属性項目

BtoC

年齢、性別、居住地、婚姻状況、子供の有無、世帯年収、居住形態、利用状況

BtoB

業種、職種、部署、役職、企業規模、決裁権限、導入状況、経験年数

特にBtoB調査では、年齢や性別といった個人属性だけでは十分な分析ができないケースも少なくありません。業種や職種に加え、部署、役職、企業規模、決裁権限などの企業属性を取得することで、導入意向や課題認識の違いをより具体的に把握しやすくなります。

例えば、同じサービスに対する評価であっても、実務担当者と管理職、経営層では重視するポイントが異なることがあります。そのため、調査目的に応じて適切なBtoB属性を設定することが重要です。

1.年齢

年齢は、最も基本的な属性の一つで、

  • 年代別の反応差を見たいとき
  • ライフステージごとの違いを把握したいとき
  • ターゲット層ごとの傾向を比較したいとき

に役立ちます。

新商品に対する評価を年代別に比較したい、サービスの利用意向をライフステージごとに分析したい、といった際によく活用されます。

聞き方は大きく分けて「実年齢で聞く」方法と「年代で聞く」方法があります。

細かい差を見たい、後で自由に再分類したいなら実年齢が向いており、5歳刻みや10歳刻みで十分であれば年代が向いています。ただし、細かくしすぎると回答者の抵抗感が上がり、分析する時もサンプルが割れて見づらくなるため、比較したい粒度に合わせて決めることが大切です。

【設問例】
あなたの年齢を教えてください。

【選択肢例(年代で聞く場合)】
20歳未満 / 20〜29歳 / 30〜39歳 / 40〜49歳 / 50〜59歳 / 60歳以上

実年齢で聞く場合の設問例:あなたの年齢を数字でご入力ください。

2.職業

職業は、回答者の立場や生活背景を把握する基本項目です。ただし、職業と業種は混同されやすい項目ですが、意味が異なります。

職業は、会社員・公務員・自営業・学生など個人の就業形態や立場を示し、業種は、製造業・小売業・ITなど企業や勤務先の事業分類を示します。

選択肢は、回答者が迷わない粒度にそろえることが重要で、「パート」「アルバイト」「フリーター」のように解釈が重なりやすい区分には注意が必要です。

特に金融商品や保険、教育サービスなどは、職業によってニーズや関心度が大きく異なるため、属性項目として活用されることが多くあります。

【設問例】
現在のご職業に最も近いものをお選びください。

【選択肢例】
会社員(正社員) / 会社員(契約・派遣社員) / 経営者・役員 / 公務員 / 自営業 / 自由業(フリーランス) / パート・アルバイト / 学生 / 専業主婦・主夫 / 無職 / その他

3.居住地

居住地は、地域差を見たいときに使う基本属性です。例えば、都市部と地方でニーズが異なる商材、エリア別販促、店舗商圏、自治体施策などでは重要になります。また、地域ごとの利用実態や認知度の違いを把握したい場合にも活用されます。一方、地域差を見ない調査では必須ではありません。分析目的が明確なときにだけ入れるのが基本です。

【設問例】
現在お住まいの地域を教えてください。

【選択肢例】
北海道 / 東北(青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県) / 関東(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県) / 中部(新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県) / 近畿(三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県) / 中国(鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県) / 四国(徳島県、香川県、愛媛県、高知県) / 九州・沖縄(福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県)
*必要ならば、47都道府県別の選択肢を使う場合もあります。

4.婚姻状況

婚姻状況は、ライフステージの違いを把握したいときに有効です。住宅、保険、教育、家事、食、旅行など、生活設計に関わるテーマでは示唆につながりやすい属性です。

ただし、調査目的と無関係なら不要です。聞く場合は、分析でどう使うかを決めてから入れます。

【設問例】
現在の婚姻状況を教えてください。

【選択肢例】
未婚 / 既婚 / 離別・死別

5.子供の有無

子供の有無は、家族構成に関わる重要な属性です。育児用品、教育、住宅、保険、時短サービス、外食、レジャーなど、生活実態に大きく影響するテーマでは特に有効で、重要な分析軸として使われることがあります。商品やテーマとの関係がある場合に絞って使う項目の1つです。

【設問例】
同居しているお子さまはいらっしゃいますか。

【選択肢例】
子供がいる / 子供がいない / 答えたくない

6.世帯年収

世帯年収は、購買力や価格感度を把握したいときに有効です。住宅、自動車、教育、金融、高関与・高価格帯商品では、反応差を見るうえで意味のある属性になります。そのため、年収帯ごとのニーズや価格受容性の違いを把握するために活用されます。

ただし、センシティブな項目であり、無理に必須化しないことが重要です。また、「個人年収」なのか「世帯年収」なのかを必ず明記しないと、異なる基準の回答が混在し、調査結果を正しく分析できなくなる可能性があります。

【設問例】
あなたの世帯年収に最も近いものをお選びください。

【選択肢例】
100万円未満 / 100万~200万円未満 / 200万~300万円未満 / 300万~400万円未満 /  400万~500万円未満 / 500万~600万円未満 / 600万~700万円未満 / 700万~800万円未満 / 800万~900万円未満 / 900万~1,000万未満 / 1,000万~1,200万円未満 / 1,200万~1,500万円未満 / 1,500万~1,800万円未満 / 1,800万~2,000万円未満 / 2,000万円以上 / 答えたくない

7.居住形態

居住形態は、持ち家・賃貸などの生活環境を見る属性です。住宅設備、リフォーム、家具・家電、保険、防犯、インフラなど、住環境と利用実態が関係するテーマで役立ちます。全ての調査で必須な属性ではありませんが、生活条件が回答に影響しそうな場合、有効な切り口になります。

【設問例】
あなたの現在の住居形態に最も近いものをお選びください。

【選択肢例】
持ち家(一戸建て) / 持ち家(マンション) / 賃貸(一戸建て) / 賃貸(マンション) / 賃貸(アパート) / 社宅・寮 / その他

8.業種

業種は、BtoB調査で企業分類として使う基本属性です。企業ごとに課題や導入背景、購買意思決定の流れが異なるため、BtoB調査では個人属性よりも示唆につながりやすい項目で、業種差を見たい、対象企業を絞りたい、商談優先度を考えたいときに活用します。

例えば、SaaSや業務システムに関する調査では、製造業と小売業で課題や導入状況が異なるケースも多く、業種別に結果を比較することで、ターゲットごとの傾向を把握しやすくなります。

【設問例】
あなたのお勤め先の主な業種を教えてください。

【選択肢例】
農業・林業・漁業・鉱業 / 建設業 / 製造業 / 情報通信業 / 金融・証券・保険業 / 不動産業 / サービス業 / 運送・輸送業 / 電気・ガス・水道業 / 商社・卸売り・小売業 / 医療・福祉 / 教育業 / 出版・印刷業 / メディア・マスコミ・広告業 / 調査業・シンクタンク / 非営利団体 / その他 / 業種なし

選択肢の粒度に迷う場合は、総務省の「日本標準産業分類」を参考にすると、国の統計データとの比較や、業界内での粒度統一がしやすくなります。

9.職種

職種は、回答者がどの業務を担っているかを把握するための属性です。BtoB調査では、同じ企業であっても、営業、情報システム、経営企画、総務では見ている課題が異なります。そのため、が評価し、誰が運用し、誰が意思決定に関わるのかを見たい場合に有効です。

【設問例】
あなたが現在担当している職種・部門を教えてください。

【選択肢例】
営業 / 企画 / マーケティング / 経理・財務 / 人事・総務 / IT・システム開発 / デザイン・クリエイティブ / 研究・開発 / 製造・品質管理 / 店舗運営・接客 / カスタマーサポート / 物流・配送 / 医師・看護師・薬剤師 / 保育・介護 / 教師・講師 / その他

職種の分類も、総務省の「日本標準職業分類」を参考にすると、選択肢の粒度がぶれにくく、外部データとの比較もしやすくなります。

実際のアンケート調査では、これらの属性項目をすべて取得するのではなく、調査目的に応じて選択することが重要です。例えば、BtoC調査では年齢・性別・居住地・利用状況が中心となり、BtoB調査では業種・職種・役職・企業規模などが重要になることが少なくありません。

「どの違いを比較したいのか」を明確にしたうえで属性項目を選ぶことで、分析しやすく実務に活かせるアンケート設計につながります。

属性の必要性と3つの役割

属性は、回答者を紹介するためだけの情報ではありません。

調査実務においては、

  • 設計時に比較軸を決める
  • 回収時に回答の偏りを確認する
  • 分析時に結果の違いを読み解く

という3つの重要な役割を果たします。

この章では、属性がなぜ必要なのかを調査実務の流れに沿って解説します。

軸決め(設計時)

属性は、とりあえず入れておく項目ではなく、何を比較したいかから逆算して決めるものです。例えば、「若手担当者ほど導入ハードルを高く感じるのではないか」という仮説がある場合、年齢だけでなく、役職や経験年数を設計段階で組み込む必要があります。

“比較したい差が先にあり、その差を捉えるために必要な属性を選び、本質問につなげる”

後から「この差を見たかった」と思っても、取得していない属性は分析できません。属性設計は、アンケート作成の最後ではなく、本質問を設計する段階からあわせて考えることが重要です。

属性バランスの偏り確認(回収時)

回収時に見るべきなのは、回答数だけではありません。どの属性に偏って集まっているか、逆に、どの層が不足しているかを確認することが重要です。

例えば、回答が30代女性に偏っているとき、そのまま全体傾向として読むと解釈を誤る可能性があります。偏りに早く気づければ、追加回収や割付調整、レポートでの注記につなげられます。

一般に、属性別比較を行う際は各セルの回収数にも注意が必要で、一定数を下回る区分は参考値として扱う判断が必要です。

下記は回収の偏りチェック表の例になります。

示唆の具体化(クロス集計)

分析段階における属性の有用性は、クロス集計によって「誰に何が起きているか」を具体化できることです。全体平均では満足度が高く見えても、新規顧客だけ不満が高い、20代だけ価格評価が低い、決裁者と実務担当で重視する点が異なる、といった違いは、属性を掛け合わせて初めて見えてきます

単純集計が全体像の把握をするための分析だとすれば、クロス集計は属性ごとの傾向をあぶり出し、施策の対象を明確にするための分析です。

例えば、年代別に商品満足度を比較したり、BtoB調査で役職別に課題認識の違いを比較したりすることで、全体結果だけでは見えない傾向を把握できます。このように、属性情報と回答結果を掛け合わせて分析する手法クロス集計といいます。

属性を設定しておけば、回収後すぐに手軽なクロス集計が可能になり、分析から示唆の抽出までのスピードが上がります。

つまり属性は、「誰が回答したか」を把握するためだけではなく、「どの層にどのような特徴があるのか」を明らかにするための重要な分析基盤といえます。

Freeasyでは、回収後すぐにクロス集計を行い、年齢・性別・職種・業種などの属性別に結果を比較できます。属性情報を活用した分析を手軽に行えるため、示唆の抽出や施策検討をスムーズに進められます。

  • 「アンケート調査を実施したいが、集計や分析に手間がかかる」
  • 「属性別のクロス集計をすぐに確認したい」

このような課題をお持ちの方は、セルフ型アンケートツール「Freeasy」のサービス資料もぜひご覧ください。

アンケートの属性設計で迷わないための考え方

属性を設計する際は、「何を聞くか」だけでなく「どう聞くか」も重要です。適切な属性項目を選んでも、設問の配置や聞き方によっては回答者の負担が増え、離脱や無回答につながることがあるからです。

ここでは、回答しやすさと分析しやすさの両立を意識した属性設計の考え方を解説します。

属性質問は最初と最後のどちらに置くか

属性設問を最初に置くか最後に置くかは、調査目的によって決まります。

スクリーニングに必要な属性は、冒頭に置くのが基本です。対象者条件に合わない回答を早めに除外できるため、回収精度を保ちやすくなります。一方で、属性を最初に置きすぎると、回答者に「面倒そう」「答えにくい」と感じさせ、離脱の原因になることがあります。

逆に、分析用の属性を後半に回した場合、離脱は抑えやすいものの、最後まで回答されず未回収になるリスクもあります。

一般的には、抽出条件に関する項目は前半、分析用の属性項目は後半、年収や家族構成などのセンシティブな項目は最後寄りに配置します。

聞く順番と配慮

属性項目は、回答しやすいものから順に配置するのが基本です。年齢や居住地など比較的答えやすい項目を先に置き、年収や家族構成など回答者によって負担を感じやすい項目は後半に配置します。

また、関連する項目をまとめて配置すると回答しやすくなります。例えば、年齢・性別・居住地を続けて聞き、その後に家族構成や年収を配置するなど、回答者が迷わない流れを意識することが重要です。

下記に、配置判断のフローを図にまとめましたので参考にしてください。

センシティブ項目は“任意回答”を前提とする

センシティブ項目とは、年収、家族構成、婚姻状況、性別など、回答者によっては答えにくさを感じやすい項目です。こうした設問を必須にすると、無理な回答や離脱を招き、結果としてデータ品質を落とすことがあります。

必要性が高いときだけ聞き、選択肢に「答えたくない」を設ける、個人年収か世帯年収かを明記する、といった配慮が重要です。無理に聞くのではなく、回収率と信頼性を両立する設計の方が、実務では使えるデータになります。

以下にセンシティブ項目の配慮ルールを一覧にまとめました。

項目

配慮ポイント

推奨対応

性別

配慮が必要

回答しない選択肢を設けることも検討

年収

解釈違いが起きやすい

個人/世帯を明記

婚姻状況

プライベート性が高い

任意回答を検討

子供の有無

家族事情に関わる

必要時のみ設定

属性設計で重要なのは、取得したい情報の多さではなく、回答者の負担と分析での活用可能性のバランスを取ることです。必要な属性を適切な順番で配置し、回答しやすい設計にすることで、回収率やデータ品質の向上につながります。

よくある誤解

属性設計では、「多く聞いた方が得」「とりあえず基本項目は全部入れる」といった誤解をしがちです。このような思い込みは、回答者の負担増加や分析の複雑化につながることがあります。

この章では、実務でよくある勘違いを整理し、属性設計で意識したいポイントを解説します。

誤解❌「属性は多いほどよい」

属性を増やしすぎると、回答負荷が上がり、離脱や無回答が増えます。さらに、回収後も使わない項目が多いと、集計軸が増えすぎて分析が散漫になります。

大切なのは項目数の多さではありません。報告用の基本項目と分析用の付加項目を整理したうえで、必要な属性だけに絞り込みましょう。「なぜ取得するのか」を説明できない項目は、思い切って外すのがおすすめです。

誤解❌「年齢と性別だけ取得すればよい」

年齢と性別は基本属性として重要な項目ですが、これだけで十分とはいえません。例えば、BtoB調査では、性別・年齢よりも役職、部署、職種、決裁権限の方が示唆につながることがあります。

BtoC調査でも、利用頻度や契約状況のような行動属性がなければ、ターゲット間の違いが見えないことがあります。必要な属性は固定ではなく、「何を見たいか」によって変わります。そのため、まずは調査目的や分析したい差を整理し、そのうえで必要な属性を選ぶことが重要です。

属性設計で重要なのは、項目数を増やすことではなく、調査目的に合った属性を選ぶことです。どの属性を取得するか迷った場合は、「分析で活用するか」「対象者抽出に必要か」という視点で判断すると整理しやすくなります。

属性項目の判断基準

属性は何となく入れるものではないため、設計前に判断基準を持っておくと、「入れるべき項目」と「外してよい項目」が整理しやすくなります。

ここでは、実務でそのまま使える判断観点として、「比較分析に使うか」「対象者の抽出に必要か」の2つの観点から考えます。

比較したい差があるか?

その属性を入れるべきか迷ったら、「分析で差を見る予定があるか」をまず確認します。年代別に反応差を見たいなら“年齢”、役職別に意思決定の違いを見たいなら“役職”を入れます。

逆に、差を見る予定がない項目は、入れても活用されない可能性が高くなります。

属性は、分析したい差や検証したい仮説があるときに初めて意味を持ちます。何となく追加するのではなく、「その属性で何を比較したいのか」を先に考えることが重要です。下記判断フロー図を参考にしてください。

対象者の絞り込みに使うか?

属性には、分析用の軸とは別に、対象者を絞り込むスクリーニング項目※1としての役割があります。例えば「20〜39歳既婚女性」のみに聞く調査では、年齢と婚姻状況は分析用でなくても必須です。

つまり、分析には使わなくても対象条件を満たす回答者を集めるために必要な属性もあります。設計時は、抽出条件と分析条件を分けて考えることが重要です。

  • 抽出条件:対象者を集めるために使う(例:年齢、婚姻状況、利用経験)
  • 分析条件:回答差を比較するために使う(例:年代、職種、役職、年収)
  • 抽出と分析の両方で使う:対象者条件の設定と分析の両方に利用する(例:利用経験、契約状況、利用年数)

属性項目を選ぶ際は、「分析で活用するか」「対象者抽出に必要か」の2つの観点で考えると整理しやすくなります。どちらにも当てはまらない項目は、無理に取得しない方が回答者の負担や分析の複雑化を防ぎやすくなります。

※1:関連記事🔗スクリーニング調査とは?本調査との違い・設問設計・失敗しないポイントをわかりやすく解説

調査手法別の属性の使い方

属性は、どの調査手法でも同じ目的で使うわけではありません。“Webアンケート”では、配信条件や分析軸として活用されることが多い一方、“インタビュー調査”では対象者を選定するための条件としての意味合いが強くなります。

この章では、手法によって属性の役割がどのように変わるのかを整理します。

Webアンケートとの相性

Webアンケートは、配信前の条件設定、回収中の偏り確認、分析時のクロス集計まで、属性を一貫して使いやすい手法です。対象者選定の段階でも、回収の偏りを見る段階でも、結果を比較する段階でも、同じ属性情報が役立ちます。

このように、Webアンケートでは属性情報を調査全体を通じて活用できるため、属性設計との相性が良い調査手法といえます。セルフ型のWebアンケートツールでは、スピーディーな回収に加え、属性別の集計や加工まで進めやすく、実務での運用効率を高めやすいのが特徴です。

インタビューにおけるリクルート条件

インタビューでは、属性はアンケートのような比較軸というより、「誰を呼ぶか」を決めるリクルート条件として使うことが中心になります。例えば、導入決裁者だけを集めたい場合や、小学生の子どもを持つ保護者に話を聞きたい場合など、属性は分析用というより参加条件として活用されます。

少人数調査では、属性別に傾向差を統計的に比較するよりも、必要な条件を満たした対象者を適切に集めることが優先されます。そのため、アンケートと同じ発想で属性を多く持たせるより、募集条件を明確にする方が実務的です。

※関連記事:🔗インタビュー調査とは?やり方・種類・アンケートとの違いを解説

このように、同じ属性項目でも調査手法によって役割は異なりますWebアンケートでは分析やクロス集計のための情報として、インタビューでは対象者選定のための条として活用されることが多いため、調査目的と手法に合わせて設計することが重要です。

よくある質問(FAQ)

最後に、属性設計でよく寄せられる疑問をQ&A形式でまとめました。設計中に迷ったときの確認用としてご活用ください。

Q

アンケートの属性は何問まで入れてよいですか?

A

抽出や分析で必要な項目だけに絞るのが基本です。明確な上限はありません。

必要性の薄い属性を増やすと、回答負荷も分析負荷も上がってしまいます。まずは「この項目は何のために取得するのか」を明確にし、用途がある項目だけを設定しましょう。

Q

年齢は実年齢と年代のどちらで聞くべきですか?

A

細かい再分類や詳細分析をしたいなら実年齢、ざっくりした比較で十分なら年代で設定するのがおすすめです。

判断基準は「どの粒度で差を見たいか」です。必要以上に細かくすると回答者の負荷が上がり、分析時にサンプルが分散しすぎてしまうこともあります。

Q

性別は必ず聞くべきですか?

A

いいえ、必須ではありません。

性差が分析上重要ではない調査なら、無理に取得する必要はありません。なお、性別は配慮が必要な設問でもあるため、「答えたくない」などの選択肢を設けることも検討しましょう。

Q

BtoB調査で優先すべき属性は何ですか?

A

役職、部署、職種、業種、企業規模、決裁権限などを優先して取得するのが基本です。

BtoB調査では個人属性だけでは不十分なことが少なくありません。誰が評価し、誰が決裁し、誰が運用するのかを把握できる属性は、分析や施策立案に役立ちます。

Q

属性は分析でどう使えばよいですか?

A

クロス集計を行い、差のある層を見つけるために活用します。

全体平均だけでなく、年代別、役職別、利用状況別などで結果を比較することで、「誰に、どんな反応が起きているか」を把握できます。属性は、施策対象の絞り込みやターゲット理解につなげるための重要な分析軸です。

Q

アンケートの属性を簡単に分析できるツールはありますか?

A

あります。クロス集計機能を備えたアンケートツールを活用すると、属性別の分析を効率的に進められます。

回収後すぐに属性別で集計・加工・比較できるツールであれば、Excelへ出力する前の一次分析もスムーズに行えます。

🔗関連情報:シンプルなUIで簡単にクロス集計ができる「Freeasy &cross」の詳細を見る

まとめ

アンケートの属性とは、「誰がその回答をしたのか」を示し、結果を正しく読み解くための情報です。設計時の比較軸の設定、回収時の偏り確認、分析時のクロス集計まで、調査のあらゆる場面で活用されます。

大切なのは項目数ではなく、「どの差を比較したいのか」「対象者抽出に必要か」という観点で必要な項目だけを選ぶことです。回答者の負担と分析のしやすさのバランスを意識して設計しましょう。

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柏田宮亜
柏田宮亜
この記事はアイブリッジ 柏田宮亜が編集・構成を担当しました(編集者 / コンテンツディレクター)。2020年6月よりセルフ型アンケートツール『Freeasy』に関わり、記事の編集・構成を担当。読者の目線に立って、わかりやすく、役立つ情報を届けられるよう心がけています。

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