インタビュー調査とは?やり方・種類・アンケートとの違いを解説

インタビュー調査のやり方や種類、アンケート調査との違いを初心者にもわかりやすく解説します。

「インタビュー調査をやってみたいが進め方が分からない」「アンケート結果の裏にある理由を知りたい」。そんな課題を抱える担当者にとって、インタビュー調査は有効なリサーチ手法のひとつです。

本記事では、インタビュー調査の基礎知識からやり方、種類、分析方法までを網羅的に解説します。アンケート調査との使い分けや内製・外注の判断基準も紹介しているので、インタビュー調査の設計や進め方に不安がある方はぜひ参考にしてください。

特に「インタビュー調査をこれから実施したい方」や「アンケートとの使い分けに迷っている方」に向けて、実務でそのまま活かせる形で整理しています。


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インタビュー調査とは?

インタビュー調査とは、対象者との対話を通じて、行動の背景にある動機・感情・具体的なエピソードを引き出し、「なぜその行動が起きているのか」を明らかにする定性調査の手法です。

アンケート調査が「何が起きているか」という事実や数値を把握するのに対し、インタビュー調査は「なぜそれが起きているのか」という理由や背景を明らかにします

ユーザーの価値観が多様化する現代では、数値だけでは個々の判断や行動の理由まで読み解くことが難しくなっており、対話による深掘りがますます重要になっています。

│アンケート調査との違い・使い分け

アンケート調査とインタビュー調査の違いは、「全体傾向を数値で証明する(定量)」か「個別の行動理由を言葉で理解する(定性)」かという、目的と情報の深さにあります。

ひとことで言えば、アンケート調査は「全体の傾向を数値で把握する手法」インタビュー調査は「個別の理由や背景を言葉で深掘りする手法」です。

主な違いを整理すると、以下のとおりです。

アンケート調査

インタビュー調査

主な目的

市場規模の把握・仮説の検証

背景や仮説の深掘り

得られるデータ

数値・割合・ランキングなど

想い・行動の理由・感情など

対象人数

大人数(数十名〜数千名程度)

少人数(数名〜数十名程度)

アプローチ

「どのくらい?」を測る

「なぜ?」を掘り下げる

マーケティングでは、アンケート調査とインタビュー調査を組み合わせて使うことが多く、目的によってどちらを先に行うかが変わります。

まず市場全体の傾向を数値で把握し、その背景にある理由をインタビューで深掘りするという流れが一般的ですが、新規事業など仮説が少ない段階ではインタビューを先に行い、そこで得た気づきをもとにアンケートで検証するという順序を取ることもあります。

両者は「広く浅く」か「狭く深く」かという特性が異なるため、状況に応じた使い分けが重要です。

インタビュー調査が有効な場面・活用シーン

インタビュー調査は、「どの場面で活用すべきか」を理解することが重要です。ここでは、特に効果を発揮しやすい代表的な活用シーンを紹介します。

インタビュー調査は、主に「仮説をつくる段階」や「原因を深掘りしたい場面」で活用されます。

  • 新商品・コンセプトの事前検証
  • 顧客インサイトの深掘り(仮説構築)
  • 既存製品・サービスの課題発見・改善

│新商品・コンセプトの事前検証

インタビュー調査は、新商品を市場に出す前に、ターゲット層が実際にどう感じるかを見極めたい場面で有効です。選択肢形式のアンケートでは把握しづらい「リアルな感情や反応」を捉えられる点が特徴です。

一方、対話であれば、新商品を見た瞬間の表情の変化や思わず漏れた声といった反応をとらえ、「なぜそう感じたか」をその場で深掘りすることで、「実生活でどんな場面に使えそうか」といった具体的なエピソードまで引き出せます。

得られた情報は、開発や訴求の方向性を定める材料として活用できます。

│顧客インサイトの深掘り(仮説構築)

「なぜユーザーはその行動を取るのか」という、ユーザー自身も自覚していない動機を探り当て、新たな仮説を立てる際にも、インタビュー調査は有効です。

たとえば、「なぜその商品を選んだのか」「なぜ他社ではなく自社を選んだのか」といった意思決定の裏側を言語化できます

一対一の対話を重ねることで、ライフスタイルや価値観、過去の経験といった、追加質問なしには引き出せない背景を丁寧に掘り下げられます。

そこから見えてくる「意外な不満」や「独自のこだわり」は、「データとしては出ているが、理由がわからない」という状態を解消してくれます。

│既存製品・サービスの課題発見・改善

インタビュー調査は、既存の製品やサービスにおいて「特定の機能が使われない」「解約数が増えている」といった課題に対し、原因を特定するためにも重宝されます。

調査の実施にあたっては、ユーザーに実際の製品画面を操作してもらいながら進める「ユーザビリティテスト」と兼ねるのが効果的です。操作中のつまずきを観察しながら「なぜそう動いたか」をその場で深掘りすることで、言葉だけでは出てこない課題を把握できます。

「離脱率」や「アクセス数」といったログデータは「問題の場所」を示しますが、ユーザーがなぜそこで諦めたのかという感情面まではわかりません。ログデータが示す「問題の場所」にインタビューの「理由」を掛け合わせることで、より実践的な改善策を導き出せます。

インタビュー調査のメリット

インタビュー調査の最大のメリットは、「数値では見えない理由や感情を深く理解できること」にあります。

具体的には、「潜在的なニーズの発見」「新たな仮説の創出」「意思決定プロセスの把握」という3つの観点でメリットがあります。

  • 非言語情報から潜在ニーズを発見できる
  • 想定外の回答から新しい仮説を得られる
  • 複雑な意思決定プロセスを詳しく把握できる

│非言語情報から潜在ニーズを発見できる

インタビューでは、発言内容だけでなく、声のトーン・表情・視線の動き・ジェスチャーといった非言語情報も観察できます

こうした非言語情報は、アンケートでは捉えきれない「本音のサイン」となり、表面的な回答とのギャップから重要な課題やニーズを発見する手がかりになります。

重要なのは、言葉と反応が一致しない場面です。たとえば「使いやすいですよ」と答えながら操作に手間取っている、あるいは「特に不満はない」と言いつつ表情が曇るといったズレが、実際のニーズや課題を示すサインになります。

│想定外の回答から新しい仮説を得られる

インタビューでは、想定していなかった回答が出た瞬間に、その理由をその場で深掘りできる点が大きな強みです。

たとえば、自社製品をまったく想定外の用途で使っているエピソードや、競合として挙げられた意外な製品名など、対話の流れで偶然生まれる発見は、施策や商品開発の方向性を見直すきっかけにもなります。

│複雑な意思決定プロセスを詳しく把握できる

購買までの意思決定プロセスを詳しく把握できることも、インタビューのメリットです。BtoB製品や不動産、車のように、検討期間が長く複数の関係者が関わる購買では、意思決定のプロセスが複雑になりがちですが、インタビューであれば、

  • 誰に相談したか
  • どのタイミングで比較検討したか
  • 最終的な決め手は何だったか

といった情報を自然に引き出せます。

点と点だった顧客接点が一本の線(カスタマージャーニー)としてつながることで、どの接点でどんなメッセージを届けるべきか、より具体的に設計できるようになります。

インタビュー調査のデメリット

インタビュー調査は有用な手法ですが、実施にあたってはいくつかのデメリットや注意点も理解しておく必要があります。

インタビュー調査のデメリットは、主に以下の3つです。

  • 調査の準備から分析まで時間とコストがかかる
  • インタビュアーの技術によって結果が左右される
  • 回答者の負担やバイアスが生じやすい

なお、これらのデメリットは事前の設計や運用によってある程度コントロールできるため、対策とあわせて理解しておくことが重要です。

│調査の準備から分析まで時間とコストがかかる

インタビュー調査は1名ずつ対応するため、アンケートと比べて時間とコストがかかります。対象者の選定・日程調整・インタビューの実施から、発言内容の書き起こし・分析まで、各工程に相応の工数が発生するためです。

特に「短期間で傾向を把握したいのか」「少人数でも深い理解を得たいのか」といった目的によって、適切な調査手法を判断することが求められます。

分析フェーズでは、大量の発言データから共通項や示唆を読み取る作業に時間を要するため、短期間で大量の結果を得たい場合には不向きです。

実施前に、得られる情報がコストと時間に見合うかを確認しておきましょう。

工数やコストを抑えたい場合は、インタビューの対象者数や質問項目を絞る、書き起こしにAIツールを活用するといった方法も有効です。

│インタビュアーの技術によって結果が左右される

調査の質がインタビュアーのスキルに左右されやすい点もデメリットの一つです。傾聴力や、矛盾や本音を逃さず深掘りする質問力が不足すると、表面的な回答しか引き出せません。

また、無意識のうちに自分の仮説に沿った方向へ誘導してしまうリスクもあります。

たとえば、「この機能は便利でしたか?」のような聞き方は、無意識に肯定的な回答を引き出してしまう可能性があります。

有意義な結果を得るためには、経験豊富なプロに依頼するか、事前に十分なトレーニングを積んだ担当者を起用することが必要です。

内製で進める場合は、本番前に社内で模擬インタビューを行い、質問の仕方や流れを事前に確認しておくと安心です。

│回答者の負担やバイアスが生じやすい

調査対象者にとって、初対面の相手と長時間対話することは心理的負担が大きくなりがちです。また、「よく見られたい」という心理から建前を答えたり、インタビュアーの意図を読んで期待に沿う回答をしようとしたりするバイアスも生じやすくなります

いわゆる「社会的望ましさバイアス」と呼ばれるもので、本音ではない回答が含まれる可能性があります。

さらに、インタビューに応じる人は発信意欲が高い層に偏りやすく、得られた意見が市場全体の傾向を反映しているとは限りません。

こうした偏りを補うためには、アンケートなどの定量調査と組み合わせて全体像を把握することが重要です。

インタビュー調査の種類

インタビュー調査にはいくつかの種類があり、「どのような情報を得たいか」「どの程度深く掘り下げたいか」によって適した手法が異なります。

それぞれの特徴をひとことでまとめると、以下のとおりです。

  • 1対1で深掘りする「デプスインタビュー」
  • 複数人で意見を引き出す「グループインタビュー」
  • 場所を問わず実施しやすい「オンラインインタビュー」

│1対1で深掘りする「デプスインタビュー」

💡向いている場面:個人の本音や価値観を深く理解したい場合

デプスインタビューは、インタビュアーと対象者が1対1で対話する形式です。

他の参加者の目を気にせず話せるため、健康上の悩みや購買時の失敗体験など、話しにくいテーマへの回答も引き出せます

また、他者の影響を受けないため、グループ環境では表出しにくい率直な意見や本音が得られる点が大きな強みです。

対話の流れを対象者1人に合わせて調整できるため、回答に応じて質問の深さや方向を柔軟に変えられるのも利点です。

デプスインタビューの詳細は、以下の記事で詳しく解説しているので、併せてご覧ください。
🔗
デプスインタビューとは?目的・手法・活用・実践まで解説

│複数人で意見を引き出す「グループインタビュー」

💡向いている場面:多様な意見や共通点を効率的に把握したい場合

グループインタビューは、1人の進行役に対し、数名の対象者が集まって意見を交わす形式です。参加者同士の発言が刺激となり、1人では出てこなかった意見やアイデアが引き出される「相互作用」が生まれるのが特徴です。

1つの商品に対して多角的な意見を集めたい場合や、ターゲット層に共通するトレンドや「あるある話」を探るのに向いています。また、一度に複数名の意見を聞けるため、個別に実施するよりも効率よく、ターゲット層に共通する意見の傾向も把握できます。

一方で、他の参加者の意見に影響を受けやすい点には注意が必要です。

グループインタビューについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
🔗
グループインタビューとは

│場所を問わず実施しやすい「オンラインインタビュー」

💡向いている場面:幅広い対象者から柔軟に意見を収集したい場合

オンラインインタビューは、Web会議ツールを利用して非対面で行う形式です。対象者が自宅から参加できるため、遠方在住者や家事・育児で外出が難しい層、多忙なビジネスパーソンにも協力を求めやすいのが利点です。

移動時間や会場費のコストを削減できるほか、慣れた環境で話してもらえるため、リラックスした状態で意見を引き出しやすいという面もあります。

ただし、対面と比べて表情や場の空気といった非言語情報が読み取りにくい点には留意が必要です。

オンラインインタビューの特徴は、以下の記事で詳しく解説しています。
🔗
オンラインインタビューの特徴、手順、注意点を解説!

このように、インタビュー調査は「深さを重視するか」「効率や多様性を重視するか」によって最適な手法が変わります。調査目的に応じて適切に使い分けることが重要です。

インタビュー調査は内製と外注のどちらがよい?

インタビュー調査は「スピードやコストを重視するなら内製」「調査の質や客観性を重視するなら外注」と考えるのが基本です。

判断のポイントは、主に「コスト」「スピード」「調査の精度」「対象者の確保」の4点です。

ここからは、内製が向くケース、外注が向くケースについてそれぞれ詳しく解説します。

│内製が向くケース:スピードとコストを重視したい場面

内製は、「スピードとコストを重視しながら、小規模に調査を進めたい場合」に向いています。

内製では社内のリソースを活用するため、外注費を抑えつつ意思決定からインタビューの実施まで素早く進められます。また、自社製品の仕様や業界知識に詳しい社員が直接話を聞くことで、専門的な回答に対しても即座に深い質問ができる強みがあります。

まずは小規模にユーザーの反応を確かめたい場合や、継続的に顧客の声を収集する仕組みを整えたい場合に適しています。ただし、身内ゆえに「自社に都合のいい解釈」をしてしまうバイアスには注意が必要です。

一方で、「すべて内製するのは難しいが、コストは抑えたい」という場合も少なくありません。そうした場合は、一部工程のみを外部ツールで補う方法が有効です。例えば、インタビュー前のスクリーニングや対象者抽出をアンケートツール(Freeasyなど)で代替することで、効率よく対象者を絞り込むことができます。

また、第三者視点が求められる調査や、インタビュー経験が少ない場合には、十分な精度を担保するのが難しい点にも注意が必要です。このように、内製は柔軟に進められる一方で、客観性や調査精度の担保が課題になりやすい点を理解しておく必要があります。

インタビュー調査を効率的に進めたい方は、Freeasyのサービス資料も参考にしてください。
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│外注が向くケース:調査の質と信頼性を優先にしたい場面

外注は、「調査の精度や客観性を重視し、意思決定に活用できる信頼性の高いデータを得たい場合」に向いています。

専門の調査会社に依頼する最大の利点は、経験豊富なインタビュアーによってバイアスを最小限に抑えた形で本音を引き出せる点です。特に、調査設計やモデレーション、分析まで一貫してプロが担うことで、安定した品質でインタビュー調査を実施できます。

また、自社の顧客リスト以外からも独自のモニターパネルを活用して対象者を選定できるため、より客観的で多様な意見を収集しやすくなるのも特徴です。新規事業の検討や市場理解の初期フェーズなど、自社にバイアスのない視点が求められる場面に適しています。

さらに、インタビューの実施だけでなく、収集した発言データの整理や分析、レポート作成までを一括で依頼できるため、社内の工数を抑えつつ、意思決定に使える形でアウトプットを得られる点も大きなメリットです。

新規事業の立ち上げや大きな投資判断など、調査結果の信頼性が重要になる場面では、外注のほうが適していると言えるでしょう。

一方で、費用や調整工数がかかる点や、自社内にノウハウが蓄積されにくい点には注意が必要です。

このように、インタビュー調査における内製と外注は、それぞれに強みと注意点があります。スピードやコストを重視するなら内製精度や客観性を重視するなら外注といったように、自社の目的やリソースに応じて使い分けることが重要です。

また、一部工程のみをツールや外部に任せることで、効率と品質のバランスを取りながら調査を進めることも可能です。

インタビュー調査の進め方

インタビュー調査は、「目的設計→質問設計→対象者選定→実施→記録→分析」という流れで進めるのが基本です。

ここでは、成功させるための具体的な6つのステップを解説します。

1.調査目的とスケジュールの設計(方向性を決める)
2.質問項目・インタビューフローの設計(聞く内容を決める)
3.対象者のリクルーティング(誰に聞くか決める)
4.インタビューの実施(実際に話を聞く)
5.インタビュー直後の印象・気づきの記録(一次情報を残す)
6.分析・レポートの作成(意思決定に活かす)

│1.調査目的とスケジュールの設計

まずは「この調査で何を知りたいのか」「結果をどう活用するのか」という目的を明確にします。

目的が固まったら、実施時期・手法・対象者の人数・予算・分析完了までのスケジュールを設計しましょう。とくに対象者の選定・日程調整は、対象者の条件によって期間が大きく変わるため、全体の工程に余裕を持たせることが重要です。

目的が曖昧なまま進めると、質問設計や分析内容がブレてしまい、調査結果を施策に活かせない原因になります。

│2.質問項目・インタビューフローの設計

調査目的に基づき、当日どのような順番で何を聞くかを事前にまとめておきます。

質問は「はい・いいえ」で終わるクローズドクエスチョンではなく、具体的なエピソードを引き出す「オープンクエスチョン」を軸に、答えやすい話題から核心へと移行する構成が基本です。

たとえば、「使いやすいですか?」といった抽象的な質問ではなく、「どの場面で使いにくいと感じましたか?」のように、具体的なエピソードを引き出す設計が重要です。

│3.対象者のリクルーティング

調査目的に合致する対象者を選定します。どれほど優れた質問を用意しても、対象者の選定を誤れば価値のある情報は得られません。

年齢や性別といった基本属性だけでなく、「過去1ヶ月以内に自社サービスを利用した」「競合他社からの乗り換えを検討している」といった具体的な条件で絞り込みをします。

知人や自社顧客から探す方法もありますが、より客観的な意見を集めたい場合は、調査会社のモニターパネルを活用して自社と利害関係のない対象者を選定する方法も検討しましょう。

対象者の条件抽出やスクリーニングを効率化したい場合は、セルフ型ツールを活用するのも有効です。例えば「Freeasy」であれば、条件に合う対象者を短時間・低コストでリクルーティングできます。
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│4.インタビューの実施

事前に決めた質問項目や進行順序に沿ってインタビューを行います。ただし、対象者の回答に応じて質問の順番や深さをその場で柔軟に調整することも重要です。

特に、対象者が言葉に詰まったり、表情と発言にズレが見られた場合は、深掘りの重要なタイミングです。「それはなぜですか」「もう少し詳しく教えていただけますか」といった一言を添えて、本音を引き出しましょう。

また、発言の細かいニュアンスや言い回しは、後の分析フェーズで重要な手がかりになるため、録音・録画で記録しておきましょう。

│5.インタビュー直後の印象・気づきの記録

インタビューが終了したら、インタビュアーや同席した記録担当者で印象を簡単に共有し、要点をメモしておきましょう。「最も印象的だった発言はどれか」「仮説と合っていた点・外れた点は何か」といった観点が参考になります。

メモは「その場の空気感」や「発言時の迷いや確信の強さ」を補足するものです。時間が経つほど印象は薄れるため、インタビュー直後に書き留めておくことが大切です。

この記録は、後の分析精度を大きく左右する重要な一次情報となります

│6.分析・レポートの作成

収集した発言録を整理し、調査目的に照らして「何がわかったか」「なぜそうなのか」を読み解いていきます。対象者が「こう言った」という事実を並べるだけでなく、その背景にある行動の理由や価値観まで掘り下げることで、施策を考えるための材料になります。

レポートにまとめる際は、調査に同席していなかった人にも調査対象者の実態が伝わるよう、代表的な発言を引用しながら「どんな課題があり、なぜそれが起きていて、どう対応すべきか」が一読でわかる構成を心がけましょう。

インタビュー調査のレポートは、以下の記事で詳しく書き方を解説しています。
🔗
インタビュー調査のレポートの書き方(定性調査編)発話データを整理・共有するまとめ方

このように、インタビュー調査は各ステップを順番に丁寧に進めることで、はじめて実務に活かせる示唆を得ることができます。

特に「目的設計」と「対象者選定」が結果の質を大きく左右するため、事前準備を十分に行うことが重要です。

インタビュー調査の分析方法

インタビュー調査の分析では、発言をそのまま読むだけでなく、「意思決定に使える形に整理すること」が重要です。ここでは、実務で活用するための分析の進め方を5つのステップで解説します。

分析は、「整理→分類→構造化→解釈→共有」という流れで進めるのが基本です。

  • 口語の発言を報告・共有できる文章に整える
  • 発言をテーマ・パターンに分類する(コーディング)
  • 関連する発言をグループ化して傾向を把握する(KJ法)
  • 発言の背景にある本音・動機を読み解く
  • 結果と考察をレポートにまとめる

│口語の発言を報告・共有できる文章に整える

インタビュー直後のデータには、「あの」「えーと」といった言いよどみや重複した表現が多く含まれています。これらを取り除き、発言の主旨を損なわずに第三者が読める文章へと整えます。

ただし、対象者が使った独特の言い回しや印象的なフレーズはそのまま残しておきましょう。たとえば、「不便」ではなく「毎回ストレスになる」といった生の言葉は、要約では伝わらない温度感を持ちます。後の分析で発言の背景を読み解く手がかりになるほか、社内共有の際にユーザーの実感が伝わりやすくなります。

過度に要約しすぎるとニュアンスや感情の温度感が失われるため、内容を削りすぎないことが重要です。

│発言をテーマ・パターンに分類する(コーディング)

発言データを整えたら、内容ごとにテーマやパターンに分類する「コーディング」を行います。たとえば、価格に関する不満には「コスト」、操作性に関する意見には「使いやすさ」といったラベルを貼っていきます。

この作業を繰り返すことで、どのテーマに発言が集中しているか、あるいは年代や利用頻度といった属性ごとに共通して出てくるキーワードは何か、といった全体像が見えるようになります。直感ではなく、発言データに基づいて客観的に傾向を把握するためのステップです。

この工程によって、個別の発言を「比較できる状態」に整理できるようになります。

│関連する発言をグループ化して傾向を把握する(KJ法)

コーディングで分類した発言を、今度は関連するもの同士でグループにまとめ、図解化する手法が「KJ法」です。

たとえば、「メニューが見やすい」「文字が小さい」といった見た目に関する発言をひとつのグループに、「決済手段が少ない」という機能への不満を別のグループにまとめることで、情報の構造が視覚的に整理されます。

グループ化を進めると、「一見バラバラに見えた不満が、実は同じ原因から生じていた」といったつながりが見えてくることがあります。

図やカードに書き出しながらチームで進めると、メンバー間の認識のズレを確認しながら整理できるため、複数人での共同作業にも適しています。

KJ法は、断片的な情報から「構造的な課題」を見つけるための手法であり、分析の精度を大きく高める役割があります。

│発言の背景にある本音・動機を読み解く

コーディングやKJ法で発言の構造を整理したら、次は「なぜそう言ったのか」という背景を読み解きます。表面的な言葉にとどまらず、対象者の状況や経験と照らし合わせながら、発言の裏にある本音・動機を掘り下げます

たとえば「使い方がわからない」という発言の裏に、「そもそも自分のやりたいことに使えるかどうかが判断できない」という戸惑いが隠れているかもしれません。

こうした本音を読み解くことで、「説明文を増やす」という表面的な対処ではなく、「操作手順をわかりやすく整理する」「初心者向けのガイドを設ける」といった、課題の本質に応じたアイデアを導き出せるようになります。

このように、「発言された内容」ではなく「なぜその発言が出たのか」に注目することが、インタビュー分析において最も重要なポイントです。

│結果と考察をレポートにまとめる

最後に、分析を通じて見えてきた傾向を、「何がわかったか(結果)」「それが何を意味するか(考察)」「次に何をすべきか(提案)」の観点で整理し、レポートにまとめます。

レポートにまとめる際は、単なる意見の羅列ではなく、「意思決定にどう活用できるか」まで踏み込んで整理することが重要です。複数の対象者に共通して見られたパターンを軸に考察を加えることで、調査に同席していなかった人でも、全体像を把握できる報告書になります。

このように、インタビュー調査の分析では、発言を整理・分類するだけでなく、その背景にある意味や構造を読み解くことが求められます。適切に分析することで、数値データだけでは得られない示唆を、具体的な施策に落とし込むことが可能になります。

インタビュー調査を成功させるコツと注意点

インタビュー調査の質は、質問の内容だけでなく「場の雰囲気」や「信頼関係の構築」に大きく左右されます。特に重要なのは、「雰囲気づくり」「質問設計」「倫理配慮」の3つの観点です。

こうした雰囲気づくりができていないと、表面的な回答にとどまり、本音を引き出すことが難しくなります。対象者が安心して本音を話せる環境を整え、信頼関係を築くためのコツや注意点を5つ解説します。

  • 話しやすい雰囲気を最初に作る
  • 誘導にならない質問の仕方を心がける
  • 同意書を用意して調査内容を事前に説明する
  • 個人情報を匿名化して安全に管理する
  • 謝礼と実施後のお礼まで丁寧に対応する

│話しやすい雰囲気を最初に作る

インタビューの冒頭では、対象者がリラックスして話せる雰囲気を作ることが大切です。いきなり本題に入るのではなく、軽い雑談から始めることで緊張をほぐしましょう。

また、インタビュー開始前に「思ったことを率直に教えていただければ大丈夫です」といった一言を添えると、対象者の「うまく答えなければいけない」という心理的ハードルを下げられます。インタビュアーが適切な相槌や笑顔を心がけ、相手を受け入れる姿勢を示すことで、より深い本音が出やすい環境が整います。

こうした雰囲気づくりができていないと、表面的な回答にとどまり、本音を引き出すことが難しくなります。

│誘導にならない質問の仕方を心がける

回答の方向性を誘導するような質問は、得られた結果の信頼性を下げてしまいます。

「この機能は便利だと思いませんか?」といった聞き方ではなく、「この機能についてどう感じますか?」のように、相手が自由に答えられる「オープンクエスチョン」を基本にしましょう。

深掘りする際も、答えを急かしたり、こちらの解釈を先に口にしたりせず、相手が言葉を選ぶ時間をしっかり待つことが大切です。

│同意書を用意して調査内容を事前に説明する

調査の目的や情報の取り扱いについて記した「同意書」を事前に用意しましょう。録音・録画を行うことや、得られた情報は調査目的以外に使用しないこと、第三者に提供しないことを書面で明示し、実施前に署名をもらいます。

書面を用意することで、口頭説明だけでは伝わりにくい情報の取り扱い方針が明確になり、対象者に調査への信頼感を持ってもらいやすくなります。また、対象者には途中で回答を断ったり中断したりできる権利があることも事前に伝えておくことが、調査倫理上の基本的な配慮です。

こうした対応は、調査の信頼性を担保するだけでなく、企業としてのコンプライアンス面でも重要です。

│個人情報を匿名化して安全に管理する

インタビューで得られた氏名・連絡先・所属などの個人情報は、分析やレポート作成の過程で速やかに「匿名化」する必要があります。

「Aさん(30代・既婚・都内在住)」といった表記に置き換え、特定の個人が識別できないよう配慮しましょう。

録音・録画データや発言録が入ったパソコンや記録媒体には、パスワード設定や暗号化などのセキュリティ対策を施します。

個人情報の流出は対象者への信頼を損なうだけでなく、今後の調査協力も得られにくくなるため、データの保管・廃棄のルールを事前に定めておくことが重要です。管理が不十分な場合は、企業の信頼毀損につながるリスクもあります。

│謝礼と実施後のお礼まで丁寧に対応する

謝礼を設定している場合は、事前に伝えていた金額や品物を、インタビュー実施後に速やかに渡しましょう

また、インタビュー終了後は、改めて「頂いたご意見が大変参考になりました」といった感謝を伝えることをおすすめします。最後まで丁寧に対応することで、継続的な調査協力や長期的な関係構築にもつながります。

このように、インタビュー調査を成功させるためには、単に質問を用意するだけでなく、対象者が安心して話せる環境づくりと、適切な進行・配慮が不可欠です。これらのポイントを押さえることで、より深いインサイトを引き出せるようになります。

インタビュー調査にまつわる、よくある質問

最後に、インタビュー調査にまつわる、よくある質問を4つ紹介します。

インタビュー調査の実施にあたっては、費用や進め方に関する疑問を事前に解消しておくことが重要です。

  • Q.インタビュー調査を外注する場合の費用相場はいくらですか。
  • Q.対象者への謝礼の相場はいくらですか。
  • Q.インタビューの録音や録画は必須ですか。
  • Q.話が弾まない・回答が短い時の対処法はありますか。

│Q.インタビュー調査を外注する場合の費用相場はいくらですか?

インタビュー調査を外注する場合、デプスインタビューであれば1名あたり数万円が目安です。

これには企画・リクルーティング・実査・レポート作成までの全工程が含まれるのが一般的です。

グループインタビューの場合は、1グループ(4名程度)を4グループ実査した場合、およそ150万円ほどが相場となります。対象者の集めにくさ(特殊な専門職など)や、分析の深さ、報告書のボリュームによっても変動します。

コストを抑えたい場合は、実査のみを依頼し分析は自社で行うなど、部分的に外注できる会社を選ぶ方法も検討しましょう。

※調査規模や対象者条件、分析範囲によって費用は大きく変動します。

│Q.対象者への謝礼の相場はいくらですか?

対象者への謝礼は、一般消費者向けの場合、1時間〜1時間半のインタビューで8,000円〜10,000円程度が相場です。

専門知識が必要なビジネスパーソンや医師などの専門職を対象とする場合は、2万円〜5万円、時にはそれ以上になることもあります。

オンラインインタビューの場合は、会場への移動負担がないため少し低めに設定されることもありますが、誠意を示すためにも極端に安くするのは避けましょう

謝礼の形式は、現金以外にも、ギフトカードや金券、自社製品の詰め合わせなどがよく利用されます。

※対象者の専門性や調査難易度によって金額は大きく異なります。

│Q.インタビューの録音や録画は必須ですか?

インタビュー調査では、分析精度を担保するために録音・録画は実質的に必須です。

インタビュー中は話を聞くことに集中する必要があり、メモだけでは発言のニュアンスや文脈を完全に再現できないため、記録データの保存が重要になります。

実施方法としては、オンラインの場合は録画機能を活用し、対面の場合はICレコーダーなど複数台でバックアップを取っておくと安心です。

│Q.話が弾まない・回答が短い時の対処法はありますか?

対象者が緊張していたり、何と答えていいか戸惑っていて、インタビューで話が弾まない場合は、「具体的な最近の経験」を軸に質問することが有効です。

たとえば「このサービスはどうですか?」ではなく「最近このサービスを使ったのはどんな場面でしたか?」と尋ねることで、記憶が呼び起こされ、話が広がりやすくなります。

特に「最近いつ使いましたか?」「そのとき何が起こりましたか?」といった質問は、記憶を呼び起こしやすく、会話が広がるきっかけになります。

また、沈黙を恐れず、相手が言葉を探している時間を待つことも大切です。どうしても回答が短い時は、「それは〇〇ということでしょうか?」と仮説を投げかけて反応を見る手法も有効です。

このように、インタビュー調査では費用や進め方に関する疑問を事前に整理しておくことで、調査の精度や進行のスムーズさが大きく変わります。

インタビュー調査の準備から効率化したい方は、ツールの活用も検討してみましょう。

まとめ

インタビュー調査は、アンケートでは把握しにくい「なぜそう感じるのか」「なぜその行動が起きるのか」といった背景を明らかにできる手法です。

定量調査と組み合わせることで、数値だけでは見えない顧客理解を深め、より精度の高い意思決定につなげることができます。

一方で、インタビュー調査で成果を得るには、目的の明確化や対象者の適切な選定、丁寧な分析といった各ステップを着実に進めることが重要です。特にリクルーティングやスクリーニングは調査の質を大きく左右するため、効率的かつ適切に対象者を選定する仕組みを整えることが欠かせません。

本記事の内容を参考に、まずは小規模な調査から始め、ユーザーのリアルな声に触れることが重要です。事前アンケートで対象者の傾向把握やスクリーニングを行うだけでも、調査の精度は大きく向上します。

「できるだけコストを抑えながら効率的に対象者を探したい」という場合は、セルフ型アンケートツールの活用も有効です。「Freeasy」であれば、スピーディーかつ低コストで、スクリーニングやリクルーティングを行え、インタビュー前の準備をスムーズに進められます。

インタビュー調査を通じて、ユーザーの本音や行動の背景を正しく捉え、より成果につながるマーケティング施策に活かしていきましょう。


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柏田宮亜
柏田宮亜
この記事はアイブリッジ 柏田宮亜が編集・構成を担当しました(編集者 / コンテンツディレクター)。2020年6月よりセルフ型アンケートツール『Freeasy』に関わり、記事の編集・構成を担当。読者の目線に立って、わかりやすく、役立つ情報を届けられるよう心がけています。

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