ネットリサーチの質を左右する3つの重要ポイントを徹底解説!
目次[非表示]
- 1.はじめに
- 1.1.この記事を読んで得られること
- 1.2.この記事をおすすめしたい方
- 2.ネットリサーチの品質を取り巻く環境の変化
- 2.1.インターネット環境の変化
- 2.2.モニターのアクティブ率が低下
- 3.ネットリサーチの品質を左右する3つの要素
- 4.1つ目の要素:ネットリサーチの質を左右する「調査票(アンケート画面)」
- 5.2つ目の要素:ネットリサーチの質を左右する「回答内容(回答負荷)」
- 5.1.回答時間
- 5.2.設問数
- 5.3.スマートフォンでの答えやすさ(スマホ対応)
- 6.3つ目の要素:ネットリサーチの質を左右する「調査対象者(モニターパネル)」
- 6.1.パネル全体の品質管理
- 6.2.アンケート実施と併せた対象者のチェック
- 6.3.守秘義務の徹底
- 7.ネットリサーチの手順における3要素の位置づけ
- 8.よくある質問(FAQ)
- 8.1.従来型調査とは違う「ネットリサーチならではの品質」とは何でしょうか。
- 8.2.スマホ向けのネットリサーチが増えていくこと以外に、これから変わっていくことはありますか。
- 8.3.生成AIを使った「なりすまし回答」やボットによる自動回答は、今後も増えていきますか?
- 8.4.発注前に、リサーチ会社の品質管理体制を確認する方法はありますか?
- 9.おわりに(まとめ)

はじめに
ネットリサーチが普及していく中で、その品質の確かさ(精度)を気にする方が増えてきています。
ネットリサーチの品質を高めるとは、単に見栄えの良い調査票を作ることではなく、「調査票」「回答内容」「調査対象者」というネットリサーチの品質の鍵となる3つの重要要素それぞれで生じうる誤差や不正の芽をチェックし、集計・分析に使えるデータへと整えていく一連の取り組みを指します。どれか一つだけを整えても品質は担保できず、3要素をバランスよく管理することが欠かせません。
この記事を読んで得られること
- ネットリサーチの成功に欠かせない、大切な3つの要素が理解できる。
- 高品質なネットリサーチを実施するための準備ができるようになる。
- 「よくある質問」や「資料ダウンロード(無料)」により、知識をさらに深めることができる。
この記事をおすすめしたい方
- ネットリサーチ経験者で、より質の高いネットリサーチを目指している方。
- ネットリサーチにおける「不適切回答者」の存在が気になっている方。
- ネットリサーチの質がなかなか信用できず、やや敬遠している方。
なお、ネットリサーチの全体像を基礎から知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
🔗Webアンケート(ネットリサーチ)とは?作り方・メリット・回答率を上げるコツまで解説
ネットリサーチの品質を取り巻く環境の変化
本題に入る前に、ネットリサーチを取り巻く環境の変化について知っておきましょう。
インターネット環境の変化
従来型調査と比べ、対象者がインターネットユーザーであるというバイアスの弊害を指摘されてきたネットリサーチですが、登場してから20年以上が経ち、2019年の個人の年代別インターネット利用率は、13歳~69歳までの各階層で9割を超え、60代以上の利用率が大きく上昇しています。
※総務省「通信利用動向調査」2019年

その後もこの傾向は続いており、総務省「令和7年版情報通信白書」によると、2024年時点のインターネット利用率(個人)は85.6%、端末別ではスマートフォン(74.4%)がパソコン(46.8%)を27.6ポイント上回るなど、モバイル中心での利用がさらに進んでいます。
※総務省「通信利用動向調査」
モニターのアクティブ率が低下
ネットリサーチの登録モニターのうち、定期的にアンケートに回答するモニターの割合(アクティブ率)は年々減少傾向が続き、2013年のアクティブ率を1.0とした場合、2018年には0.54まで低下しました。
2019年には0.66とやや回復したものの、モニターアクティブ率を高める仕組みづくりは、大きな課題となっています。
ネットリサーチの品質を維持・高めるためには、「回答(者)のバイアス(偏り)の排除」という点において、アクティブモニター率の向上が欠かせません。
※本データは調査実施当時のものです。パネル運営会社によってアクティブ率の最新の水準は異なるため、比較検討の際は各社の最新情報もあわせてご確認ください。

ネットリサーチの品質を左右する3つの要素
ネットリサーチの品質は、「調査票」「回答内容」「調査対象者」という3つの要素で構成されており、どれもとても重要なキーと言えます。
この3つの要素同士には密接な関係があり、例えば調査票(アンケート画面)の内容次第で、回答内容の品質が左右されます。また、答えやすい(回答負荷の低い)調査票によるアンケート画面を用意しても、肝心の回答者と回答内容の質が低ければ、調査目的を達成するデータの品質は担保できません。

1つ目の要素:ネットリサーチの質を左右する「調査票(アンケート画面)」
まず1つ目は、「調査票(アンケート画面)」です。
調査票の品質自体は従来型調査と変わりませんが、アンケート画面での制御機能による品質は、ネットリサーチの強みと言えます。
調査票(アンケート画面)作成時のチェックリスト
調査票(アンケート画面)の品質を高めるために意識したいポイントを、チェックリストにまとめました。回答者が迷うことなく、ストレスなく回答できることに主眼をおいています。
※以下項目は全体の一部であり、最低限必要な(must)項目です。
- 矛盾回答を防ぐ工夫をしているか(分岐条件、ロジカルチェック、排他設定など)
- アンケート画面は回答しやすいレイアウト構成になっているか
- パイピング(前問で回答した選択肢のみ表示)、回答代入は正確に機能しているか
- 画像を呈示する場合、見やすいか(解像度など)
- 動画を呈示する場合、動作は円滑か、時間は適切か
- 調査票(アンケート画面)作成者以外の第三者によるチェックをしているか(セルフリサーチでも必要)
- 設問文に「よく」「普段」「最近」といった頻度をあいまいに表す言葉を使っていないか(人によって受け取り方が分かれるため、「週に1回以上」など具体的な基準に置き換える)
上記よりもさらに詳細なチェック項目は『🔗ネットリサーチを成功に導く73のチェックリスト』にて解説しています。実際の調査工程をフェーズごとに確認したい方は、こちらのチェックリスト記事もあわせてご覧ください。
2つ目の要素:ネットリサーチの質を左右する「回答内容(回答負荷)」
要素の2つ目は「回答内容(回答負荷)」で、1つ目の「調査票(アンケート画面)」の品質と密接に結びついています。
「調査票(アンケート画面)」の品質は、少しでも良質の回答(データ)を収集するために、回答者が迷いとストレスなく回答できるよう考慮することを主眼としていますが、“調査(アンケート)を行う側の立場”に立っています。それに対し「回答内容(回答負荷)」は、より“回答者の立場に立っている”と理解してください。
重要なポイントは、回答時間・設問数・スマートフォンでの答えやすさ、の3つです。
▼回答負荷における重要なポイント
✓ 回答時間 ✓ 設問数 ✓ スマートフォンでの答えやすさ |
ネットリサーチを始める前の準備段階から整理したい方は、こちらの記事も参考になります。
🔗ネットリサーチを成功させる5つの準備【商品・サービス調査】
回答時間
1回のアンケートで回答してもよいと思う時間の割合、つまり、調査対象者が1回のアンケートで許容できる時間は以下の通りです。
日本マーケティングリサーチ協会のガイドラインによると、「PCでの回答で45%、スマートフォンでの回答で51%の人が『5分以内』」、「PCでの回答で75%、スマートフォンでの回答で81%の人が『10分以内』」という結果でした。

設問数
次に「設問数」ですが、回答時間と同様、日本マーケティングリサーチ協会のガイドラインを見てみましょう。

1つのアンケート(本調査)あたり、20問を超えると離脱率が10%を超える結果となっています。ちなみに回答時間は約15~20分程度と、10分を超えてきます。
離脱率の高さは、回答者と内容の偏りをもたらし、調査結果を歪めます。よって、設問数は20問を超えないことが理想的でしょう。
さらなる対策として、アンケート画面では、合計ページ数と回答しているページ数を表示させる(例えば「2/10」など)と、回答者のストレスは軽減され、離脱率は低下します。
スマートフォンでの答えやすさ(スマホ対応)
日本マーケティングリサーチ協会によると、2019年時点で、インターネットリサーチ回答者の5割以上がスマートフォンで回答しています。
年代別では、10代で9割以上、20代で8割以上の人がスマホ回答、50代でも4割以上、40代では6割弱がスマホ回答という結果です。

今後ネットリサーチのスマホシフトが進むことで、QRコードによる容易なアンケート回答の仕組みも求められます。
また、社会のあらゆる分野でスマホが必要不可欠となっている中、動画や画像の縦表示が当たり前になっており、ネットリサーチも例外ではありません。
スマホによるネットリサーチ回答者の95%の人は「縦向きで回答」しており、ほぼ6割(58%)の人はスマホの画面の自動回転を「無効」にしています。


スマホでの回答を前提とするなら、横スクロールが必要なマトリクス設問は多用しないことが重要です。
そこで以下のように、行ごとの回答フォームをページ ごとに切り替えて回答してもらうことで、画面サイズの制約を受けにくくする工夫も施されています。

3つ目の要素:ネットリサーチの質を左右する「調査対象者(モニターパネル)」
「調査票(アンケート画面)」と「回答内容(回答負荷)」が高品質であっても、ネットリサーチに限らずあらゆるリサーチの基盤となるのは「調査対象者(モニターパネル)」の質です。
重要なポイントは、パネル全体の品質管理、アンケート実施と併せた対象者のチェック、守秘義務の徹底、の3つです。
パネル全体の品質管理
重複登録やなりすましの防止には、メールアドレスと住所などのチェックが不可欠です。
重複回答者の排除には、IPアドレスやCookieを利用することもあります。
属性情報の変更・更新は、最低でも1年に1回は必要です。
ログインや回答の日時など操作ログを記録し、極端に短時間で大量に回答する、同一人物とみられる回答が繰り返し発生するといった不自然な挙動を検出できる仕組みを備えているかも、品質管理の観点で重要です。
アンケート実施と併せた対象者のチェック
「スクリーニング調査での回答」と「本調査での回答」の矛盾をチェック・除外します。
明らかに回答時間が短すぎるなど、不正回答の可能性のある対象者をチェック・除外します。
その他、不適切・不真面目な記述のある回答者をチェック・除外します。たとえば、ストレートライン=マトリクス設問で縦1列に同じ選択をした回答者を排除します。
あらかじめ答えが一つに定まる確認用の設問(トラップ設問)を設け、指示どおりに選択できていない回答者を不注意回答者として検出する方法も広く使われています。
また上記のチェックは、調査会社・機関による手作業の場合も多いですが、AIによる「不適切な回答者のチェック・排除の判別」などもこれから増加していくことでしょう。実際に、独自アルゴリズム(AI)を用いて不適切な回答候補者をあらかじめ排除する仕組みを備えたモニターパネルも登場しています。
🔗 独自アルゴリズム(AI)により不適切回答候補者を排除した調査モニターの特徴を見る
守秘義務の徹底
回答者のプライバシーを守ることは鉄則ですが、回答者に対して「アンケート内容のSNSへの書き込みを禁止する」等を徹底しましょう。
🔗アンケートのセキュリティとは?安全に実施するための対策と注意点
こうした守秘義務やセキュリティ対策が、実際にどのような体制で運用されているか気になる方は、Freeasyの取り組みもあわせてご覧ください。
🔗Freeasyの安心のセキュリティについて知る
ネットリサーチの手順における3要素の位置づけ
より実践に取り入れやすいよう、3つの要素をリサーチの一連の手順に位置づけると、下記のようになります。

「調査票(アンケート画面)」と「回答内容(回答負荷)」はひとつひとつの調査ごとに重要ですが、「調査対象者(モニターパネル)はネットリサーチの基盤であり、定期的なメンテナンスが必要であることが、再認識できるでしょう。
よくある質問(FAQ)
ここでは、ネットリサーチの質に関するよくある質問を解説します。
従来型調査とは違う「ネットリサーチならではの品質」とは何でしょうか。
ネットリサーチならではの品質は、矛盾回答を防ぐ技術的な制御と、不正回答者を検出・排除する仕組みが正常に機能している点にあります。
具体的には、
①矛盾回答を防ぐ技術的な優位性
②不正回答者排除の技術
③それらが正常に機能すること(人による確認を含む)、
の3点が従来型調査にはない強みです。
なお、調査企画立案から報告書作成、プレゼンテーションに至るプロセス自体は、ネットリサーチも従来型リサーチも基本的に変わりません。
特に「課題の整理と調査企画」は、マーケティングリサーチャーにとって共通の重要工程です。
スマホ向けのネットリサーチが増えていくこと以外に、これから変わっていくことはありますか。
あります。今後は、回答者にとっての「手軽さ」を高めるゲーミフィケーション要素の導入や、設問文をより短く簡潔にする工夫が進んでいくと考えられます。
スマホの場合、外出時でのアンケート回答というシーンも多く、移動時などの「ひまつぶし」で回答するケースも多いので、現在よりも「手軽さ」が求められます。
また、回答者のアンケート回答へのモチベーションを高めるために、ゲーミフィケーションの要素を取り入れるケースが増えていくことも想定されます。
「回答のしやすさ」は今後も求め続けられるため、「設問文の長さを短くすること」も回答負荷における重要なポイントとして意識することが大切でしょう。
生成AIを使った「なりすまし回答」やボットによる自動回答は、今後も増えていきますか?
はい、生成AIやボットを使った不正回答は今後も増加する見込みで、記述式設問の不自然に整った文章や、操作ログ・トラップ設問の分析を組み合わせた検出が対策の基本になります。
生成AIチャットツールの普及にともない、設問への回答をAIにそのまま作らせて提出する、あるいはプログラムによる自動送信(ボット)で回答するといった不正パターンが増加傾向にあります。
記述式設問で不自然に整いすぎた文章や、設問の意図とずれた一般論的な回答が続いていないかを確認することも重要です。
人による回答かAIによる回答かを見分ける技術そのものが、これからのネットリサーチの品質を左右する新しい要素になっていくでしょう。
発注前に、リサーチ会社の品質管理体制を確認する方法はありますか?
あります。発注前には、①不正回答の検出・排除の仕組み、②パネルの重複登録防止と属性更新の頻度、③運用実績や取引社数、の3点を確認すると品質管理体制を把握できます。
特に①は、人による目視チェックのみか、システムやAIによる自動検出を組み合わせているかで実態が大きく異なります。
多くの調査会社は、こうした品質管理の取り組みをサービス紹介資料や問い合わせを通じて開示しているため、発注前に確認しておくと安心です。
おわりに(まとめ)
- <その1>回答負荷がかかる=離脱率の高さは回答の偏りを生み、報告書の品質を低下させる。
- <その2>回答者が迷うことなくストレスなく回答できることに、最大限注意する。回答時間10分以内、設問数20問未満を参考に。時代の要請として、スマホ対応に注力すること。
- <その3>データクリーニングが重要。不正回答、不適切・不真面目な記述のある回答者をチェックし排除する。
以上の3つが、高品質なネットリサーチとなるポイントとなります。
インターネットの在り方やネットリサーチ市場は、時代とともにどんどん変化していく市場です。その変化に合わせて、ネットリサーチの品質の維持・向上の方法も、柔軟に改革していく努力は必要ですが、ここで学んだ重要ポイントは常に基盤として意識し、お役立てください。
\ネットリサーチの品質管理を実践に落とし込みたい方へ/
「調査票」「回答内容」「調査対象者」、3つの要素のチェックポイントを1冊にまとめた『ネットリサーチ(アンケート)の品質管理マニュアル』を無料でご用意しています。印刷して、調査票作成時のチェックリストとしてもご活用いただけます。
\アンケートの品質管理体制を整えたい方へ/
調査票の設計から回答者のチェックまで、品質管理の仕組みが整った環境でアンケートを実施したい方は、セルフ型アンケートツール「Freeasy」もあわせてご検討ください。不正回答対策を備えたモニターパネルと、初心者でも扱いやすい画面設計で、安心して調査を進められます。
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【参考文献・参考ウェブサイト一覧】
『この1冊ですべてわかる オンライン定量・定性調査の基本』(岸川茂編著、JMRX NewMR研究会著、日本実業出版社、2021年5月)/『インターネット調査品質ガイドライン 第2版』(一般社団法人日本マーケティング・リサーチ協会インターネット調査品質委員会、2020年5月)/『ネットリサーチを成功に導く73のチェックリスト』/『はじめてのネットリサーチマニュアル』/『Freeasy 調査モニターの特徴』





