顧客インサイトとは?ニーズとの違いと見つけ方を解説|冷凍食品・完全栄養食の実例つき

はじめに
顧客インサイトとは、消費者の本音の中でも、行動を喚起したり態度変容を促す「心のホット・ボタン」を指すマーケティング用語です。
本記事は、Freeasyが2022年に実施した自主調査から得られた顧客インサイトが、実際にその後の商品開発やトレンドにどうつながったかを振り返る、ケーススタディとしてご覧ください(「冷凍食品」「完全栄養食」についての自主調査から、2023年の市場トレンドも予測しています)。
この記事で分かること、できること
- 顧客インサイトの意味を正しく理解できる。
- 2022年の「冷凍食品」と「完全栄養食」についての自主調査で、得られた顧客インサイトが市場動向に反映されたかどうかを知ることができ、さらに2023年のトレンド予測も知ることができる。
- 顧客インサイトとトレンド予測について、詳しい説明やグラフが掲載された資料が、無料でダウンロードできる。
顧客インサイトとは
「顧客インサイト」は、英語のInsight(洞察)を語源とする言葉で、顧客の本音を指します。ただし、単なる本音ではなく、行動を喚起したり態度変容を促す「心のホット・ボタン」となる本音、つまり顧客自身も気づいていない潜在的な欲求や動機を指す点がポイントです。
顧客インサイトとニーズの違い
顧客インサイトと混同されやすい言葉に「ニーズ」があります。ニーズは、顧客が自覚し、言葉にできる要望のことです。
たとえば「価格の安い商品が欲しい」という要望はニーズにあたりますが、その背景にある「家計に余裕を持ちたい」「賢い選択をしていると感じたい」といった気持ちまで捉えたものがインサイトです。
ニーズは質問すればある程度把握できますが、インサイトは顧客自身も気づいていないことが多く、行動観察や定性調査、そして本記事のような調査データの読み解きを通じて、初めて見えてくる点が大きな違いです。
インサイトの定義
マーケティング・リサーチ業界で広く使われている「顧客インサイト」ですが、まずはじめに、「インサイト」の定義を確認していきましょう。(インサイトの用語解説はこちら)
「インサイト」という用語がマーケティング・リサーチ業界で一般化するきっかけとなったのは、ダイヤモンド社から書籍『インサイト』(桶谷功著)が出版された2005年のことです。
ハーバード大学経営大学院のジェラルド・ザルトマン名誉教授の著書『心脳マーケティング(顧客の無意識を解き明かす)』が国内で発売された年でもあります。
「インサイト」の定義は各社各様ですが、やはり『インサイト』著者の桶谷功氏(出版当時はウォルター・トンプソン・ジャパンのアカウント・ブランディング・ディレクター)の定義が、整理されていて分かりやすい基本といえるでしょう。
まず、インサイト(直訳すると「洞察」)とは、消費者のホンネのことです。ただし、全てのホンネがインサイトであるとは限りません。消費者のホンネのうち、行動を喚起したり、態度変容を促す「心のホット・ボタン」こそインサイトの本質であると桶谷功氏は定義しています。
ポイント | 意味 |
インサイトの表層 | 消費者のホンネ |
インサイトの本質 | 消費者の行動を喚起したり、態度変容を促す消費者の「心のホット・ボタン」 |
インサイトの必須条件 | 商品やサービスのブランディング、マーケティング活動などのアクション(施策)につながること |
インサイトの種類
インサイトは、 カテゴリー・インサイトと ヒューマン・インサイトの2つに分けられます。
カテゴリー・インサイトとは
【定義】
消費者が商品カテゴリーに抱いている感情や気持ち、潜在ニーズ、あるいは特定ブランドに対するパーセプション(認識)。購入動機の深層心理や、購入を阻害する心理的バリアなど。
【内容(ハーゲンダッツの例)】
1984年に日本に登場したハーゲンダッツは、1990年にはグローサリーマーケットに参入した。一番の課題は、それまでになかったプレミアム・アイスクリーム市場を創造すること。しかし、消費者の心の中には「アイスクリームは子供の食べ物」という強い固定観念があった。これが最大のインサイトであった可能性もある。
ヒューマン・インサイトとは
【定義】
全ての人、あるいはある世代の人が共通して持っている関心、気持ち、感情などのホット・ボタン。
【内容(ハーゲンダッツの例)】
主婦はハーゲンダッツを冷凍庫の一番奥に隠しているという。手前の方にバーアイスの箱を置いて、見えないようにしているのだ。たいして味もわからない夫や子供に食べられてなるものか、ということが理由のようだ。
種類による使い分け
カテゴリー・インサイトとヒューマン・インサイトは、マーケティング課題によって使い分け、場合によって両方とも使います。
新商品によって新しい市場を作るときは、ターゲットの心理・態度・行動や潜在ニーズから導き出されるヒューマン・インサイトを使います。既存市場におけるブランドイメージの修正や、商品リニューアルを行うときはカテゴリー・インサイトを使うことが一般的です。
どちらのインサイトも、調査手法では定性調査(グループインタビュー、デプスインタビュー)、エスノグラフィー(行動観察)がメインとなります。
広く使われるようになったインサイト
主に定性調査によって得られる、消費者の潜在ニーズ、あるいは調査をするマーケターさえ気づかなかった知見。これらは数字では表すことのできないインサイトです。
しかし、近年、マーケティング・リサーチ、市場調査で得られる知見そのものがインサイトと呼ばれるようになっています。
欧州で誕生し75年の歴史のある世界最大のマーケティング・リサーチ団体「ESOMAR(エソマ)」では、従来の「市場調査産業」を「インサイト産業」と再定義しました。「ESOMAR(エソマ)」の定義する「インサイト産業」とは、「さまざまなデータを収集・分析し、クライアントにインサイトを提供する産業」です。
そこで、ここではインサイトを「企業活動に活用できる消費者心理」(桶谷功著『インサイト』22ページより)と、広い意味(広義)で定義することにします。
定性調査や観察調査によって探索された消費者の潜在ニーズ、という狭義のインサイトに限定せず、定量調査を含めたマーケティング・リサーチによって得られる「企業活動に活用できる消費者心理」を、「顧客インサイト」とします。
顧客インサイトに基づいたトレンド予測
Freeasyでは2022年2月に「冷凍食品についての調査」、11月に「完全栄養食についての調査」という自主調査を行いました。
コロナ禍の中、日常の食生活のうち、「冷凍食品」と「完全栄養食」にフォーカスした調査結果から導き出された顧客インサイトが、食品メーカーや家電メーカーの新商品など、市場動向に反映されているのか否かを検証しましょう。
「冷凍食品」と「完全栄養食」の顧客インサイトが、市場動向に反映されていれば、2023年の市場も概ね同じトレンドで推移していくことが推察されます(トレンド予測)。
次からは、各調査結果のサマリー(注1)のうち、実際のアクションに結びつけるためのインプリケーションの中から、顧客インサイト(注2)を抽出してみましょう。
※(注1)サマリーとは、調査レポートの冒頭で、調査結果が一目でわかるようまとめた章のことです。
※(注2)顧客インサイトは「カテゴリー・インサイト」と「ヒューマン・インサイト」で区分します。
実例:冷凍食品の顧客インサイトと市場トレンド予測
ここからは、2022年2月の自主調査で見えてきた冷凍食品の顧客インサイトと、それが実際の市場でどう展開されたかを見ていきましょう。
カテゴリー・インサイトとヒューマン・インサイト
インプリケーション |
|---|
冷凍食品の利用率は8割を超え、生活者には十分普及しているといえよう。現在よく利用されており、今後の利用意向も強い〝王道〟品目は、「ギョウザ」「炒飯・ピラフ」の2品目だが、一方で〝飽和感〟もうかがわれる。
こうした点から、「料理すると面倒なメニューの商品」化と「栄養バランスのとれた商品」の開発がキーとなる可能性もある。(カテゴリー・インサイト) 冷凍食品の利用増加による生活変化では、買い物回数減少と外食の内食化という購買・調理行動の変化が大きい。また、家電製品である冷蔵庫需要も喚起している。(ヒューマン・インサイト) |
インプリケーションのうち、
「料理すると面倒なメニューの商品」化と「栄養バランスのとれた商品」の開発がキーとなる可能性がある
こと、それがカテゴリー・インサイトです。
さらに、コロナ禍による買い物回数の減少と外食の内食化という生活の変化によって、冷蔵庫需要が喚起されているという調査結果は、すでに顕在化している事実ですが、企業活動に活用できる行動面でのヒューマン・インサイトです。
下のグラフは、冷凍食品ユーザーが、冷凍食品に期待することを聞いた結果です(複数回答)。カテゴリー・インサイトとなる「料理すると面倒なメニューの商品」と「栄養バランス」は上位2項目で、栄養についてはその「高さ」よりも「バランス」を重視する傾向が顕著です。

ユーザーに、冷凍食品の利用増加による影響を聞いた結果が、下のグラフです(複数回答)。
冷蔵庫の買い替えと、セカンド冷蔵庫の購入は、それぞれほぼ10%でした。
選択肢の中では下位ですが、冷凍食品ユーザー10人のうち1人が冷蔵庫を購入したという結果は、行動面におけるヒューマン・インサイトです。

冷凍食品の市場動向(2022年、2023年)
では調査を行った2022年2月以降、冷凍商品市場において、「料理すると面倒なメニュー」の新商品と、「栄養バランスを重視した」新商品は発売されたのでしょうか。
(株)フードテックラボが、「秒で旨い、おうち焼肉セット」という同社が東京都内で運営する焼肉店の味を家庭で体験できる商品を発売しました。牛肉を食べやすくカットして味をつけ、焼きたてを冷凍。電子レンジで温めれば焼き肉店の味を堪能できる商品です。(料理すると面倒なメニュー商品|カテゴリー・インサイト)
また、株式会社ニチレイフーズが、2023年春の新商品では、本格的な味わいで食卓の主菜となる揚げ物や、野菜を多く取り入れた健康志向の商品が主力でした。なかでもブロッコリーが丸ごと入った「野菜を食べるピラフ」は特徴的な商品です。(栄養バランスを重視した商品|カテゴリー・インサイト)
以上の2社はほんの一例です。他にも、 大手メーカーから小規模メーカーに至るまで、カテゴリー・インサイトに対応して新商品が発売されていることがわかりました。
カテゴリー・インサイト | メーカー | 商品 | 商品の概要 |
|---|---|---|---|
料理すると面倒な | (株)フードテックラボ | 「秒で旨い、おうち焼肉セット」 | 同社が東京都内で運営する焼肉店の味を家庭で体験できる。牛肉を食べやすくカットして味をつけ、焼きたてを冷凍。電子レンジで温めれば焼き肉店の味を堪能。 |
(株)ロック・フィールド | 「RFFF(ルフフ)」 | 5種類のきのこを使ったリゾットやハンバーグは、飲食店で提供されるようなひと手間を加えた料理を家庭で味わえることが特徴。百貨店や高級スーパー、ECで販売。 | |
ロイヤルホールディングス(株) | 「コスモドリア」 | 「ロイヤルホスト」のメニュー商品を家庭向けにアレンジして販売。「ロイヤルデリ」では、欧米やアジアなど、本格的な各国の料理を展開。 | |
栄養バランスを | 株式会社ニチレイフーズ | ― | 2023年春の新商品では、本格的な味わいで食卓の主菜となる揚げ物や、野菜を多く取り入れた健康志向の商品が主力。 |
Matou Tokyo | 「The・筋 by matou」 | 東京都渋谷区を中心に個人向けトレーニング&エステサロンなどを展開する同社では、栄養バランスに配慮した瞬間冷凍の主食系メニューやパン、スイーツを商品化し、オンラインショップで販売を開始。 |
冷凍食品向け「冷蔵庫」の市場動向(2022年、2023年)
続いて、冷凍食品に合わせた「冷蔵庫」の新商品の発売状況を見てみましょう。
マクスゼン(株)が、「1ドア冷凍庫 JF 064ML01GM」を、同社のジェネリック家電ブランドから、2台目の冷蔵庫として提案していました。(冷凍食品のため冷蔵庫を買い替えたり2台目を買う|ヒューマン・インサイト)
また、ツインバード工業(株)※現・(株)ツインバードが、「2ドア冷凍冷蔵庫 HR-F 915W」を、冷凍食品需要に応えて発売。73リットルの冷蔵室と、買い物かご約2個分の食材が入る同じく73リットルの冷凍室を揃えています。(同ヒューマン・インサイト)
冷蔵庫市場において大容量(庫内容量401リットル以上)が占める割合は、この10年間で縮小しています。それにもかかわらず、冷凍室容量の大型化が進んでおり、冷凍食品の需要の高まりがその要因であると考えられます。
冷凍食品に合わせた家電メーカーの冷蔵庫も新発売され、冷蔵庫の大きさは小さくなっているのにもかかわらず、冷凍室の容量は大きくなっているなど、冷凍食品ユーザーのヒューマン・インサイトは、市場動向と密接な関係にあると考えられます。
ヒューマン・インサイト | メーカー | 商品 | 商品の概要 |
|---|---|---|---|
冷凍食品のため 冷蔵庫を買い替えたり 2台目を買う | マクスゼン(株) | 「1ドア冷凍庫 JF 064ML01GM」 | 同社のジェネリック家電ブランドから、2台目の冷凍庫として提案している。 |
ツインバード工業(株) | 「2ドア冷凍冷蔵庫 HR-F915W」 | 冷凍食品需要に応えて発売。73ℓの冷蔵室と、買い物かご約2個分の食材が入る73ℓの冷凍室を備えている。 | |
(株)山善 | 「冷凍庫 SUシリーズ」 | 「業界最小幅クラス」をうたったスリム設計の冷凍庫。セカンド冷凍庫として提案している。容量50ℓ(3段)、70ℓ(4段)、90ℓ(5段)の3機種を展開。 | |
市場動向 | ― | 【市場動向】冷蔵庫市場において大容量(庫内容量401ℓ以上)が占める割合は、この10年間で縮小している。にもかかわらず、冷凍室容量の大型化が進んでおり、冷凍食品の需要拡大がその要因とされる。 |
冷凍食品のトレンド予測
「料理すると面倒なメニューの商品」と「栄養バランスのとれた商品」の市場投入が、冷凍食品市場のトピックとなること、さらには冷凍食品需要に対応した冷蔵庫(冷凍庫)市場の底堅さは、2023年も継続するトレンドとなることが推察されます。
実例:完全栄養食の顧客インサイトと市場トレンド予測
続いて、2022年11月の自主調査から見えてきた完全栄養食の顧客インサイトと、実際の市場動向を確認していきます。
カテゴリー・インサイトとヒューマン・インサイト
インプリケーション |
|---|
完全栄養食は、ユーザーの利用頻度と継続利用意向は高いものの、認知度自体はまだ低く、ユーザー拡大のカギは認知度向上(チャネル拡大)と味の改善にあるとうかがえる。 とりわけ、コンビニやスーパーで気軽に買えるようになれば認知度は大幅に上がる可能性が高く、購入のしやすさが今後の普及を左右するという仮説も想定される。 こうした点から、完全栄養食の認知度向上とチャネル拡大の余地は十分にあるといえる。(カテゴリー・インサイト) また、手軽に喫食できるおやつ用途よりも、食事がわり用途の方が生活者には刺さりやすく、その分「おいしさ」の追求が欠かせないこともうかがえる。(ヒューマン・インサイト) |
2022年2月に実施した「冷凍食品についての調査」では、生活者の8割を占める冷凍食品ユーザーが、栄養の高さよりも栄養のバランスを重視するという結果が得られていました。この流れを受けて11月に実施した「完全栄養食についての調査」では、5割の認知者のうち1割のユーザーという、まだニッチな食品カテゴリーながら、栄養バランスを求める生活者の顧客インサイトが得られることを想定していました。
実際に、認知度はまだ低くユーザー数も圧倒的に少ないながら、完全栄養食ユーザーの満足度は7割弱、継続利用意向も7割弱ととても高いことがわかりました。ここから、喫緊の課題は認知度の向上とチャネル拡大、さらに食事がわり用途という商品の訴求ポイントにあるといえます。
サンプルサイズ1,000s※1のうち、ユーザー(現在利用者)は40s(4%)と圧倒的に少ないながら、完全栄養食ユーザーの満足度(67.5%)と継続利用意向(67.5%)はとても高いことがわかります。
まずは認知度が高まること、次に身近に買えるという購入容易性が高まりさえすれば、市場が大きく成長するポテンシャルがあると考えられます。
※1:s=サンプル数、以下同
▼満足度

▼利用継続意向

完全栄養食のユーザーだけではなく、まだ利用したことはない人を含めた認知者(458s)に対し、完全栄養食への期待を聞いた結果が下のグラフです(複数回答)。
最も高いのは「コンビニやスーパー、ドラッグストアなどで手軽に買えるようになる」(37.8%)でした。

完全栄養食ユーザーに対し、利用する理由を聞いた結果が下のグラフです(複数回答)。
完全栄養食を代表するような感のある「BASE FOOD(ベースフード(株)が展開するブランド)」は、お菓子のようなイメージを持たれることもありましたが、完全栄養食ユーザーにおいては、「食事がわりになるから」(37.5%)が「おやつがわりになるから」(20%)を大きく上回っています。

完全栄養食の市場動向
次に、市場を牽引する「ベースフード(株)」と「日清食品(株)」の2社の、2022年と2023年の動向を見てみましょう。
ベースフード(株)は、EC販売主体から、コンビニのファミリーマートやドラッグストアのサンドラッグでも販売するようになりました。(コンビニやスーパー、ドラッグストアなどで手軽に買えるようになる|カテゴリー・インサイト)
そして「デリシリーズ ボロネーゼ」という、具材が多く食べごたえがあり、夕食などの需要を見込んだ「食事がわりになる商品」が販売されました。(食事がわりになる商品|ヒューマン・インサイト)
日清食品(株)は、「完全メシ」シリーズを発売。第1弾には、既存の「ラ王」「カレーメシ」をはじめ、即席カレー、即席めん、グラノーラ、スムージーなどを展開しました。(食事がわりになる商品|ヒューマン・インサイト)
スギ薬局の全国約1,150店舗で販売し、各店舗に特設売り場やデジタルサイネージを設置したり、管理栄養士による商品説明などの販促活動も行いました。(コンビニやスーパー、ドラッグストアなどで手軽に買えるようになる|カテゴリー・インサイト)
カテゴリー・インサイト | メーカー | 商品 | 商品の概要 |
コンビニやスーパー、ドラッグストアなどで手軽に買えるようになる | ベースフード(株) | EC販売主体から、コンビニのファミリーマートやドラッグストアのサンドラッグでも販売。 | |
日清食品(株) | 楽天を皮切りに社員食堂での提供、宅配サービスを本格化させ、小売販売も目指す方針。 | ||
日清食品(株) | 「完全メシ」(下記参照)の展開で、スギ薬局の全国約1,150店舗で販売。各店舗に特設売り場やデジタルサイネージを設置し、管理栄養士による商品説明などの販促活動を実施。 | ||
ヒューマン・インサイト | メーカー | 商品 | 商品の概要 |
食事がわりになる商品 | 日清食品(株) | 「完全メシ」シリーズ | 第1弾には既存の「ラ王」「カレーメシ」をはじめ、即席カレー、即席めん、グラノーラ、スムージーなど。 |
ベースフード(株) | 「デリシリーズ ボロネーゼ」 | 具材が多く食べごたえがあり、夕食などの需要を見込む商品。 | |
ベースフード(株) | 「BASE BREAD」 | 食パンタイプで朝食需要を見込む商品。SNSではトーストやサンドイッチなど、ひと手間加えたレシピの投稿が相次いだ。 |
完全栄養食のトレンド予測
EC通販主体で認知度の低かった完全栄養食が、コンビニなど生活者に身近なチャネルに並び、サプリメントのような商品ではなく、食べ応えのある食事として、益々普及していくことが推察されます。
顧客インサイトの見つけ方(調査データからの読み解き方)
顧客インサイトは、狭義には定性調査や行動観察、コミュニティ型調査(MROC)などの手法から見つけ出されます。一方で、本記事のケーススタディのように、大規模な定量調査(アンケート)の結果を丁寧に読み解くことでも、顧客インサイトを導き出すことができます。
サマリーやインプリケーションの記述に着目し、「なぜこの回答が生まれたのか」を仮説立てて解釈することが、定量データからインサイトを引き出す際のポイントです。
Freeasyのような自主調査ツールを使えば、こうした仮説の設定と検証を、スピーディーかつ継続的に行うことができます。
顧客インサイトやトレンド予測にまつわる、よくある質問(FAQ)
ここでは、本記事の内容に関連して、顧客インサイトやトレンド予測についてよく寄せられる質問にお答えします。
定性調査や観察調査(エスノグラフィー)で顧客インサイトを見つける、具体的な調査方法は?
定性調査ではグループインタビューやデプスインタビューが主流ですが、対象者やインタビュアー自身も意識していない・言語化できないインサイトを引き出す手法として、以下のようなものもあります。
写真調査
どのようなとき、どのような気持ちになるのかを把握するため、調査対象者にテーマに沿った写真を撮ってきてもらい、写真をもとに話し合います。写真ではなく、雑誌などの切り抜きを持ってきてもらうケースも。
コラージュ・エクササイズ
ブランドに対するイメージや感情、理想とするイメージなどを把握するため、テーマに沿って準備された写真を組み合わせて絵(コラージュ)を作ってもらい、話し合います。
「企業活動に活用できる消費者心理」が顧客インサイトの定義なら、冷凍食品や完全栄養食のような定量調査結果も顧客インサイトになりますか?
はい。「顧客インサイト」を導き出す手法やプロセスは、10社10様ですが、結果として商品開発から営業・販売まで、あらゆる企業活動に活かせる知見であれば、インサイトと言えるでしょう。
『インサイト』の著者桶谷功氏も、インサイト発見には、ターゲットになりきって商品を使う、売場に足を運んで買ってみる、といった柔軟な姿勢が大切だと述べています。
定量調査からインサイトを導く場合、出現率の高い項目に注目すべきですか?
概ね出現率の高い項目に注目しますが、「気になる兆候」がある場合は、定性調査でn=1(1件の回答)に着目するように、出現率が低くても重視することがあります。
たとえば、冷凍食品の利用増加により冷蔵庫需要が高まるというヒューマン・インサイトは、関連する2項目の割合が10%前後と選択肢の中で最も低い数字でした。
それでもヒューマン・インサイトとしたのは、冷凍食品への需要が家電という異業種の市場と連動している点を重要だと考えたためです。
冷凍食品ユーザー(8割)のうち1割が起こす購買行動でも、経済的なインパクトは小さくないと考えられます。
カテゴリー・インサイトとヒューマン・インサイトは、明確に区別できますか?
常に明確に区分できるとは限りませんが、文章にしたときの主語・目的語で見分ける方法があります。カテゴリー・インサイトはカテゴリー(商品・サービス)を主語・目的語とするのに対し、ヒューマン・インサイトは生活者(消費者)を主語とします。
ただし、ヒューマン・インサイトもカテゴリーとの関わりが深いため、迷うことも少なくありません。
たとえば冷凍食品のヒューマン・インサイトは、冷蔵庫を主語にすることもできますが、「冷蔵庫を必要として購入し、生活が変わる」という生活者側の意識・行動に着目したため、生活者を主語としました。完全栄養食のヒューマン・インサイトも同様に、生活者の食事シーンの中に完全栄養食を位置づける考え方から、生活者を主語としています。
なお、分析の目的によっては、必ずしも2種類のインサイトを両方導き出す必要があるわけではありません。
おわりに(まとめ)
本記事では、「顧客インサイト」の意味とニーズとの違いを整理したうえで、2022年の自主調査から得られたインサイトが、その後の冷凍食品・完全栄養食市場の新商品にどう反映されたかを検証しました。
定性調査だけでなく、目的を持った定量調査からもインサイトは導き出せます。「なぜこの結果が出たのか」を仮説立てて読み解く視点を、ぜひ自社の商品開発やマーケティング施策にも役立ててください。
\調査データから顧客インサイトを深掘りしたい方へ/
本記事の内容を1冊にまとめた資料をご用意しています。手元に置いておきたい方はこちらから。
\ゼロパーティデータや顧客インサイトの収集手段を検討中の方へ/
セルフ型アンケートツール「Freeasy」は、今回のような自主調査から顧客インサイトを抽出し、商品開発やマーケティング施策に活かせる環境をご提供しています。サービス概要はこちらから
【参考文献】
『インサイト』(桶谷功著、ダイヤモンド社、2005年2月)/『インサイト 実践トレーニング』
(桶谷功著、ダイヤモンド社、2008年10月)





