コストリーダーシップ戦略とは|リサーチ マーケティング用語集

コストリーダーシップ戦略

コストリーダーシップ戦略とは

コストリーダーシップ戦略とは、競合他社よりもコストを低く抑えて商品やサービスを提供する、あるいは原価を抑えて利益率を増大させることで、競争における優位性を確立し、「コスト面で市場の主導権を握る」戦略です。

ファイブフォース分析(5Forces分析)」の提唱者としても知られている、アメリカの経済学者マイケル・ポーター(ハーバード大学経営大学院教授)が、提唱した3つのビジネス基本戦略の内の1つです。

なお、コストリーダーシップ戦略の他に、コスト以外で差別化する「差別化戦略」と、特定の領域に特化する「集中戦略」があります。

コストリーダーシップ戦略が重要視される背景

1980年に提唱されてから40年以上が経過していますが、現在も「市場の変化」に伴う価格競争はあらゆる市場で発生しています。

コストリーダーシップ戦略はこのような市場の変化に柔軟に対応できる戦略として、いまだ多くの企業に重要視されていて、実際に多くの企業が導入している現状です。

コストリーダーシップ戦略と低価格戦略(安売り)の違い

コストリーダーシップ戦略は、原価を抑える仕組みを構築した上で価格を下げる、または利益率をアップさせるという戦略です。

価格を下げても低コストで商品やサービスを提供できる仕組みが整っているため、単なる「売価を下げる」安売り(低価格戦略)施策とは大きく異なります。

メリット

導入することでもたらされるメリットは下記3つです。

1.顧客獲得に繋がる

低コストを実現することができれば、競合他社よりも低価格で自社商品やサービスを顧客に提供できるようになります。

「良い商品を安く購入したい」というのは誰もが考えることであり、販売価格は顧客が商品を選ぶ際の大きな判断材料となり、最大の魅力です。

そのため、コストリーダーシップ戦略の導入は、顧客から選ばれる可能性を高めることに繋がります。

2.利益率の向上&経営に自由度が増す

低価格で販売することを目指すだけの戦略ではなく、コストの優位性を自社商品やサービスに反映して、コストを下げて販売価格はそのままにすることで、利益率を上げることができます

上述した「低価格」という顧客から選ばれる要因が増えれば、市場シェアの拡大や利幅の拡大を目指すことができ、経営に自由度が増します。

3.不況対策に繋がる耐性がつく

低コストで自社商品やサービスを提供できれば、不況時に多少売上げが低迷したとしても、利益が圧迫される割合が他社より少なくなり、不況でも厳しい状況を乗り切れる耐性をつけることができます。

デメリット

魅力的なメリットがある一方で、注意すべきデメリットもあります。

1.価格競争の激化

自社の販売価格を下げることで競合他社が追随して値下げを行い、企業間の価格競争が激化する恐れがあります。
各社が価格競争に勝つために他社より安い価格で商品販売を行った場合、双方からの値下げ施策によって、市場全体での販売価格が下がってしまいます。

その結果、仮に競争に勝ったとしても利益率が下がり、大きな利益にはつながりません。また、価格を下げ過ぎたあまり、値上げすることができないという状況に陥ることも考えられます。

2.初期投資に大きな費用がかかる

商品のコストを削減するためには初期投資に莫大な費用がかかります。生産コストを下げるには、原材料の一括購入や最新の機器を導入しなければなりません。そのため、商品を販売する前に、大きな予算が必要です。

ただし、売上が思ったほど伸びない場合、投資額を回収できずに赤字になる可能性があるため、当戦略を採用する際は慎重に検討しましょう。

3.商品の品質が低下する恐れがある

競合他社との価格競争に勝つために生産コストや人件費の削減ばかりに集中してしまうと、商品の品質に影響が及び、品質低下を招いてしまう恐れがあります。

価格が安くても品質に問題があれば、「安っぽい」「安いけど品質もそれなり」という企業イメージが定着してしまい、顧客が離れてしまう可能性も。

極端なコストリーダーシップ戦略は、自社の首を絞めることにもなりかねないので、コストを削減する際は、商品の利益率だけでなく品質にも注意を払うようにしましょう。

関連用語

バリューチェーン分析コモディティ化

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「コストリーダーシップ戦略」と関わりの深い「ファイブフォース分析」について解説している記事も、合わせてご覧ください。
『ファイブフォース分析を解説!(5つの力・競争要因と事例)』はこちら

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