MROC(エムロック)とは|リサーチ マーケティング用語集
MROC(エムロック)
MROC(エムロック)
MROC(エムロック)とは、マーケティングリサーチにおいて、特定のテーマに関心を持っている人や、ブランド製品・サービスを好んで選択し支持する人のみを、一定期間モニターとして集め(クローズドなオンラインコミュニティ)、ソーシャルメディアを活用し、対象者同士のコミュニケーションという刺激から消費者インサイト(深層欲求)を抽出し、気付きを得ることができる、リサーチ手法の1つです。
従来型調査手法と異なり、「知りたい事を聞く調査」ではなく、「知るべき事を見つける調査」ができるため、新しいリサーチ手法として注目されています。
実際には「◯◯ファンサイト」「マイ◯◯」など個別の名称で呼ばれます。
※Marketing Research Online Communitiesの頭文字を取り、MROC(エムロック)と呼ばれています。
MROC誕生の経緯と日本におけるMROCの現状
2000年頃からインターネットが普及し、ソーシャルメディアが登場したことを背景に、消費者間で双方向の情報のやり取りが行われるようになりました。
その中で、アメリカの「Communispace」という調査会社が同2000年頃から提供を開始したリサーチコミュニティがあり、こちらがMROCの先駆けと言われています。
2007~2008年頃、アメリカのブランド主導で作られたユーザーのコミュニティで大きく成功し、それが伝えられるようになって注目され始めました。
ソーシャルメディアの普及が著しい近年、日本でも時代のニーズにマッチしたデータ収集方法としてMROCが急速に広まりました。
しかしながらその多くはユーザーの交流を主眼に置いたもので、マーケティングを目的としたMROCへの取り組みはまだ試行錯誤の段階にあると言えます。
MROCを活用するメリット
MROCを活用する主なメリットは4つあります。
1.良質な情報を収集することができる
「双方向のコミュニケーション」と「一定期間をかける実施期間の長さ」が生み出す、[情報の深さ]がMROCの最大のメリットです。
従来型調査手法の1つにグループインタビューなどの調査参加者同士で意見交換するものはありますが、数時間で行われるものがほとんどであり、その場限りの調査であるため、情報量・質に限界があります。
しかしながら1~2カ月など長期に渡り継続するMROCでは、時間の制約による問題が解決され、より深い情報や意見の交換が行われることが期待できます。
また、短期間の調査では得られない「対象製品を使い続けたことによる意見の変化」の収集というメリットも生み出します。
長期間にわたって使用されることが前提の商品や、使い続けることで印象や評価が変化しやすい商品などは、MROCでの調査が適していると言えるでしょう。
さらには、コミュニティでのやり取りやオンライン上の日記などを、時系列に沿って見ることで、どのような流れでその意見に辿りついたかという背景や消費者の心理の移り変わりも知ることができます。
2.オンラインコミュニティならではの情報発信の手軽さ
スマートフォンで利用できるオンラインのコミュニティは、思い立ったらすぐ、手軽に発言ができる点も魅力です。継続的に接点を保てるからこそ、新たな課題や意見をスピーディに収集することができます。
また、その時感じた新鮮な気持ちをテキストの文章だけでなく、写真や動画をアップして投稿できる環境は、消費者の本音をよりリアルに引き出し、発言者が知らせたい状態を他の参加者や調査の実施側が把握しやすい点もメリットです。
3.調査実施側の自由度の高さ
調査対象者を選定する際、「居住地」や「参加可能な時間」等に拘束されることなく、商品に対する興味や事前知識などを重視した調査対象者の選定が可能になる点も、メリットの一つです。
また、MROCは対象製品の開発や企画担当者などの調査実施側も参加しやすいため、意見や話題を提供することで、知りたい情報をより的確に収集できる点も、大きなメリットと言えます。
4.地理的制約がない
MROCはオンラインのコミュニティのため、世界中から調査対象者を集めることができます。また、忙しくて時間のとれない人も参加しやすいことも、大きなメリットです。
通常の対面インタビュー調査では、調査対象者はインタビュー会場に来場できる人に限定されるため、遠方に住んでいる人は調査対象として敬遠されてしまいます。さらに、実際に会場に来場する必要があるため、仕事や子育てなどで時間が制約される人の参加が難しくなりがちです。