アンケート回答率の目安は?計算方法・平均値・改善方法を解説

アンケート調査の回答率が低く悩んでいる方に向けて、①回答率の計算方法、②自社の回答率が高いか低いかを判断する基準、③改善の具体策までを解説する記事です。

「やり方は分かっているつもりなのに、いざ数値を見ると妥当に評価できない」という、マーケティング・商品企画・調査・営業企画の現場でアンケートデータを扱う皆様にとって、回答率を適切に評価し、改善施策を検討する際に役立つ内容となっています。

アンケートの回答率とは?定義と計算式

アンケートの回答率とは、アンケートを配信した対象者のうち、実際に回答した人の割合を示す指標です。

たとえば、1,000人にアンケートを配信し、そのうち150人が回答した場合、回答率は15%となります。

回答率は、アンケートの案内文や配信タイミング、設問数、謝礼設計などが適切だったかを判断するための指標として活用されます。

算出方法はシンプルで、以下の計算式で求められます。

回答率(%)=回収数÷配信数(送付数)×100

実際に計算してみましょう。

配信数→回収数→回答率(%)の電卓ステップ(配信数1,000件・回収150件の場合)



参考として、別パターンの計算式も掲載します。

  • 配信500件・回収80件:80÷500×100=16.0%
  • 配信3,000件・回収420件:420÷3,000×100=14.0%
  • 配信10,000件・回収2,100件:2,100÷10,000×100=21.0%

なお、実務では「配信数をどのように数えるか」で迷うことがあります。一般的には、次の考え方で計算することが多いです。

  • 分母の配信数には、対象者として配信リストに含まれていた件数を用いる。
  • バウンス等の不着(エラーメール)、配信前の段階で判明した重複アドレス配信停止(オプトアウト)済みの宛先は、分母の配信数から除外する。
  • 開封したものの回答に至らなかった人を含めるかどうかは企業によってルールが異なるが、一般的には配信数ベースで計算する方法が広く用いられている。

「回答率」と「回収率」の違い

「回答率」と「回収率」は、実務上はほぼ同じ意味で使われることが多い言葉です。

どちらも「アンケートを配信・配布した対象者のうち、どれだけ回答が集まったか」を示す指標として使われており、マーケティングやWebアンケートの現場では明確に区別されないケースが少なくありません。

一方で、学術調査や統計分野では「回収率」を用いることが多く、一般的には「回収率=回収した件数÷配布した件数」と定義されます。そのため、レポートによっては定義を明記したうえで「回収率」という用語が使われることがあります。

これに対して、ウェビナーやメール、LINE配信などの施策では、「回答率」という表現が用いられるケースが一般的です。

「回答率」と「サンプルサイズ」の違い

「回答率」と「サンプルサイズ(必要回答数)」はどちらもアンケート調査でよく使われる指標ですが、意味や役割は異なります。

回答率は「配信した人のうち、どれだけ回答してくれたか」を示す指標です。一方、サンプルサイズは「分析に必要な回答数が確保できているか」を判断するための指標です。

役割の違いを整理した比較表がこちらです。

項目

回答率

サンプルサイズ

目的

配信に対しどれだけの人が答えてくれたかを見る「実施効率」の指標

分析結果に統計的な信頼性を持たせるために「必要回答数」から逆算する指標

計算方法

回収数÷配信数×100

許容誤差・信頼水準・母集団比率から必要回答数を算出(誤差5%なら約400件が目安)

使う場面

メール/Web施策のKPI、改善サイクルの評価

ネットリサーチの設計段階、企画書作成時

「回答率を上げたい」という悩みと「サンプルサイズが足りているか」という悩みは別の問題です。前者は配信・訴求・謝礼の設計段階で見直して改善を図ります。一方、後者は許容誤差や分析セグメントから逆算して、必要な回答数を満たすよう調査設計を行います。

本記事では回答数について解説していますが、サンプルサイズの考え方を詳しく知りたい方は、以下の別記事をご参照ください。

🔗サンプル数の決め方|アンケートで信頼できる回答数とは?
🔗サンプルサイズとは?基本と計算方法を簡単解説!

アンケート回答率の平均・目安

調査手法や対象者との関係性によって回答率は大きく変動するため、一律の基準はありません。ただし、調査の種類ごとに一定の目安となる水準は存在します。

本章では、Webアンケートや郵送調査、従業員アンケートなどの手法ごとに、回答率の目安を紹介します。

※数値は公開情報をもとに作成しており、いずれも目安となる参考値です。実際の回答率は調査内容や対象者によって異なります。

Webアンケート・メールマガジン経由の回答率の平均・目安

Webアンケートやメールマガジン経由の調査、自社会員向けのメールアンケートでは、回答率の目安として10〜30%程度を示す公開資料が多く見られます。全体平均としては20%台後半〜30%前後とするものもあります。

郵送・電話調査の回答率目安

従来型のオフライン調査では、Web調査と比べて総じて回答率が高めに出る傾向があります。

郵送調査は概ね30〜50%程度電話調査は10〜20%程度と公開されており、対面調査(インタビュー形式)はおよそ50〜60%とされています。

Web調査と郵送調査を比べると、郵送調査は手元に届く実物の案内であるため、回答を後回しにされにくく、比較的回答を得やすい傾向があります。

ただし、コストと所要時間はトレードオフの関係にあるため、手法の選定段階で回答率の前提が大きく異なることを押さえておく必要があります。

従業員アンケートの回答率目安

エンゲージメントサーベイを含む社内向け調査の場合、50〜80%程度が良好な水準とされる公開資料が多く、1,000名規模以上の大企業では60〜80%程度が現実的とされています。

社内アンケートで高くなりやすい背景には、

  • ①業務の一環として位置付けられることが多く、参加率が高まりやすい
  • ②会社と従業員の関係性が近く、テーマへの当事者意識が強い
  • ③エンゲージメント改善のフィードバックループが示しやすい

という構造的な要因があります。

ただし、強制的な色合いが強くなりすぎると、回答の率直さが損なわれるリスクがあります。そのため、回答率だけでなく回答品質もあわせた両軸で見るのが望ましいです。

一般消費者向け調査の回答率目安

顧客・一般消費者向けのアンケートでは、基本的に強制力が働かないため、20〜40%程度が適切に設計された調査で期待できる回答率の目安とされています。

この水準を下回る場合、謝礼設計・配信タイミング・案内文いずれかに改善余地がある可能性が高いとされています。属性データだけに依存せず、回答者への動機付け(謝礼・訴求文)をどう設計するかが、回答率を左右する最大の変数になります。

では、回答率を高めるためには何を見直せばよいのでしょうか。次章では、要因の分析と改善の具体策を解説します。

回答率を左右する要因と回答率を上げる具体策

回答率を改善するためには、まず「なぜ回答が集まらないのか」を把握することが重要です。本章では、まず回答率が低くなる典型要因を整理したうえで、要因ごとに対応する改善策を提示し、最後に継続的な改善サイクルとしての活用事例を紹介します。

回答率が低くなる主な要因

回答率が伸び悩むケースには、いくつかの典型パターンがあります。回答率低下の要因はさまざまですが、ここでは「設問・内容」「届け方」「運営」の3つの観点から見ていきます。

設問数・回答時間が長すぎるケース

20問を超える設問や、回答時間が10分を超える調査では、離脱率が高まる傾向があります。設問数が増えるほど「マトリクス」や「自由回答」の負荷が積み重なり、回答者の集中力が切れるタイミングが早まります。

設問数や回答負荷は、回答率に大きく影響する要因の一つです。なぜその設問を設けたいのかという「企画側要望」と「回答者負担」のバランスを取る必要があります。

回答負荷に関する記事は下記記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
🔗アンケートの質問数は何問まで?調査目的と回答負荷から考える最適な設計方法
🔗アンケートの回答精度(質)を高める2大要素「バイアスと回答者負荷」を解説

配信タイミング・案内文(件名)が適切でない

アンケートの内容だけでなく、配信タイミングや案内方法によっても回答率は大きく左右されます。代表的な失敗例は下記の通りです。

  • 企業の就業時間外・休憩時間帯など非アクティブな時間帯に配信してしまう。
  • 件名が【お願い】【アンケート】など事務的すぎて開封されずに埋もれてしま
  • 案内文で「所要時間」「目的」「提供価値」のいずれにも触れていない。
  • モバイル未最適化の状態で配信し、スマートフォンで開いた瞬間に離脱される。

回答率を上げるための具体策

回答率を上げるための具体策として、以下、「件名」「督促」「謝礼」「設問負荷」の4つを取り上げます。

件名・案内文の工夫(メール配信の場合)

開封→クリック→回答という導線の入口が「件名」と「案内文」です。実務でそのまま使えるパターンを以下に整理します。

  • 所要時間の明示
    「【所要3分】〇〇サービスの満足度に関するアンケート」など、短時間であることを示す。
  • 主語の具体化
    「あなたの声で〇〇を改善します」など、回答する意義が伝わるように示す。
  • 期限の明示
    「○月○日まで」「回答締切まであと○日」など、緊迫感を伝える。
  • 案内文の三要素
    ①目的、②所要時間、③提供価値(集計結果を共有する、謝礼がある等)を冒頭に置く。
  • NGワードを避ける
    件名での「重要」「緊急」の多用、絵文字の過剰使用は開封率を下げやすい。

督促・リマインド配信の設計

未回答者へのリマインドは、配信から48〜72時間後(2〜3日後)が目安とされています。回数は1〜2回が標準とされています。多くても3~4回程度にとどめるのが一般的です。

「確認・案内」のスタンスで、「お忙しいところ恐れ入りますが、まだご回答いただいていない方へ」など、督促であることを丁寧に伝える文章を入れるとよいでしょう。

謝礼設計のポイント(種類・金額感)

謝礼の「有無」よりも「対象者との関係性に応じた選び方」が成果を大きく左右します。

  • ポイント・電子マネー
    広く利用されており、配布や受け取りの負担が少ないことが特徴です。特にBtoC向け調査では効果が期待できます。
  • クーポン・サービス券
    自社サービスの利用促進に繋がりやすく、回答後の行動喚起も期待できます。
  • 商品サンプル・現物
    新商品の認知拡大を目的とする調査と相性がよい一方、配送や受け取り確認の手間が発生します。
  • 現金・高額謝礼
    謝礼目当ての不誠実な回答(同一人物の複数回答、雑な回答)を招きやすい。安易に金額を上げるのはリスクが高く、フォーム通過チェックや重複検知とセット運用が前提。

金額感の目安は「回答負荷(設問数・所要時間)」と「回答者像(一般消費者・法人)」の2軸で決めるのが実務的です。金額よりも「誰が・なぜ答えるか」という動機設計のほうが回答率とデータ品質の両面を底上げします。

設問数・回答負荷の最適化

設問負荷の改善ポイントは、「設問数を絞る」「回答しやすい設問順にする」「不適切回答を作らない」の3点です。

  • 設問数を絞る
    一般的には、15問前後が回答者の負担が大きくなり始める目安とされています。

  • 回答しやすい設問順にする
    序盤は答えやすい選択肢式、中盤はマトリクス、後半に自由回答、という順序が回答離脱を防ぎます。

  • 不適切回答を作らない
    「その他」や「あてはまるものはない」を用意し、無理に回答させない設計とすることで、回答途中の離脱や不正確な回答を防ぎやすくなります。

具体的な質問数の決定ルールは、以下のサイトをご参照ください。
🔗アンケートの質問数は何問まで?調査目的と回答負荷から考える最適な設計方法
🔗
アンケートの回答精度(質)を高める2大要素「バイアスと回答者負荷」を解説

実務での活用事例(KPIとしての回答率)

回答率は一度だけ確認する「単発の数値」ではなく、継続的に改善状況を確認するためのKPIとして活用できます。

特に、セルフ型のアンケートツールの場合、配信後にリアルタイムに回収状況(回答率)を確認できるため、小規模に配信して反応を確認したうえで、本配信に向けて改善を重ねる運用もしやすくなります。

定点調査での回答率トラッキング事例

毎月や四半期ごとの社内トレンドを把握するために定点調査を設計するとき、「前回比の回答率」を並列して記録するのがおすすめです。これにより、施策変更と回答率の関係が数量的に検証できます。

他の事例(社内サーベイでの活用)

全社規模のエンゲージメントサーベイを年に複数回実施している場合、回答率を部署・部門単位で集計し、部署ごとの回答率の差そのものをオペレーション指標として見るという使い方もできます。

特に組織改編・制度変更のタイミングでは、回答率の急変が「システム不具合ではなく現場の本音」として読み取れるケースがあり、人事部門にとっては調査運営の「ヘルスチェック」としての意義もあるでしょう。単発の数値を「成否」だけで見ず、トレンド・差分・因果として見ることがポイントです。

よくある質問(FAQ)

ここでは、アンケートの回答率について実務でよく寄せられる質問と、その回答をまとめました。

Q

アンケートの回答率が低い場合、どこから見直すべきですか?

A

まず件名と配信タイミング、次に設問数の順で見直すのが効率的です。

理由は、件名とタイミングは比較的変更しやすく、改善効果が出やすい領域だからです。そのうえで、外的要因(休日、季節性、競合他社の同時期キャンペーン)が疑われる場合は、前回との比較で原因を切り分けていきます。

Q

回答率と回収率は同じ意味ですか?

A

実務上はほぼ同じ意味で使われることが多いです。

ただし、学術調査や統計レポートでは「回収率」が使われることがあり、定義が厳密に定められている場合があります。比較や分析を行う際は、用語そのものよりも計算方法や定義を確認すること、揃えることを最優先にしてください。詳細は、本記事内の「回答率と回収率の違い」をご参照ください。

Q

謝礼を高くすれば回答率は必ず上がりますか?

A

回答率が上がりやすい一方、高額すぎる謝礼は「謝礼目当ての不誠実な回答」を招くリスクがあります。

回答負荷・対象者像・謝礼内容のバランスを取ることが、結果としてデータ品質の維持につながります。

Q

セルフ型アンケートツールを使うと、回答率は改善しますか?

A

セルフ型アンケートツールを使っただけで、回答率が向上するわけではありません。

回答率は設問内容や配信方法、謝礼設計など複数の要因によって決まります。ただし、対象者の抽出や配信、回収状況の確認がしやすくなるため、改善施策を実行しやすくなるため、結果として回答率向上に向けた運用を行いやすくなります。

おわりに(まとめ)

アンケートの回答率は、調査がどれだけ効果的に実施できたかを把握するための重要な指標です。

回答率の平均や目安は調査対象や実施方法によって大きく異なりますが、高い回答率を実現するためには、設問数・回答時間の最適化、配信タイミングの工夫、適切な謝礼設計などを総合的に見直すことが重要です。思うように回答が集まらない場合は、一度にすべてを変更するのではなく、原因を切り分けながら改善を重ねていくことが成功への近道です。

また、回答率は一度だけ確認するものではなく、継続的に測定し改善していくKPIとして活用することで、その価値を発揮します。

アンケート調査を実施する際は、回答率を改善の指標として活用しながら運用を見直し、より質の高いデータ収集につなげていきましょう。

\アンケート調査の実施手段を検討中の方へ/

アンケートの回答率は、調査設計だけでなく、運用のしやすさも大きく影響します。セルフ型アンケートツール「Freeasy」では、回答状況をリアルタイムで確認しながら調査を進めることができ、回収後の集計・分析も効率的に行えます。

柏田宮亜
柏田宮亜
この記事はアイブリッジ 柏田宮亜が編集・構成を担当しました(編集者 / コンテンツディレクター)。2020年6月よりセルフ型アンケートツール『Freeasy』に関わり、記事の編集・構成を担当。読者の目線に立って、わかりやすく、役立つ情報を届けられるよう心がけています。

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