アンケートの質問数は何問まで?調査目的と回答負荷から考える最適な設計方法

本記事の解説者|リサーチャー 菅原大介氏

リサーチャー 菅原大介氏

リサーチャー。上智大学文学部新聞学科卒業。新卒で株式会社学研ホールディングスを経て、株式会社マクロミルで月次500問以上の調査を運用するリサーチ業務に従事。現在は国内通信最大手のグループ企業でマーケティング戦略・中期経営計画の立案を担当する。

会社では小売・サービスの分野を中心に年間1,000ページ超のレポートを作成しており、従業員数100名~1,000名の企業におけるリサーチ組織の立ち上げ経験があるほか、自身でもセレクトショップの開業事業部長を務め、調査と事業の両輪を担う技量を併せ持つ。

個人でも「リサーチハック」をキーワードに、ビジネスや日常生活で使えるリサーチスキルを普及させる活動に取り組み、noteや講習会、マーケティング・調査メディアでの連載が好評を得ている。主な著書に『売れるしくみをつくる マーケットリサーチ大全』『新・箇条書き思考』(ともに、明日香出版社)がある。

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アンケートの質問数は何問までに収めるべきか?

アンケートの企画において、「質問数」は最重点討議事項の一つです。きっと皆さんも、「何問まで質問を入れられますか?」と関係者問合せを受けたり、「回答負荷や謝礼コストを考慮すると何問が適切なのか?」と自問したりされていることでしょう。

今回のテーマは「アンケートの質問数」です。主にユーザーアンケートを実施・計画されている方を念頭に置いて、初心者でも「関係者の希望」と「回答者の負荷」を考慮した、バランスの良い設計の取りまとめが可能になるノウハウを解説していきます。

質問数は「トピックス数」から考える

トピックス数から導く質問数の目安

質問数がだいたいどれくらいになるかは、調査の中で話題とする事柄、すなわちトピックスの数から導き出します。トピックスとは、たとえば、購入実態・使用実態・利用意向などの粒度を指し、それぞれの項目の中に4問程度の個別質問を含む概念です。

この原理に当てはめると、自分が行いたい調査の概算質問数を割り出すことができます。つまり、5トピックス×4問→20問のように計算でき、20問クラスの調査では属性質問が数問必要になることから、だいたい25問以内に収めるものだと検討がつきます。

質問の単位を1問1問の積み上げで考えていると見通しはとても立てづらいのですが、尋ねたいトピックス数がわかっていると、初めから適正な質問数を計画できますし、調査票内で追加・削除・入れ替えを行う時にもコントロールがしやすくてスムーズです。

質問ユニットから考える設問構成

トピックスを基にする考え方では、前提となる質問ユニットを理解します。質問ユニットとは、たとえば、利用実態調査での「経験有無~経験期間~経験実績」(3問構成)あるいは、興味関心の調査での「好み選択~選択理由」(2問構成)を指します。

前出のチャートではわかりやすく一律4問でくくりましたが、実際には質問ユニットの組合せにより、3問~6問くらいの中で変化することでしょう。代表的な作問パターンを知っておくと、各トピックスで最低限必要になる質問数がわかるようになります。

トピックス数に応じた調査規模の考え方

またトピックスは調査の規模を象る重要な概念でもあります。あくまでイメージですが、1~2トピックス→ショートアンケート、3~6トピックス→ユーザーアンケート、7トピックス~→市場調査というように、それぞれのケースに応じた適量があります。

この範囲を超えて質問を重ねていると、「思っていたよりも重たいアンケートだな…」という疑念や焦りが回答者の中に生まれてしまいます。調査運用の規模に見合ったアンケートを実施するためにも、トピックス数は収まりのいいところで揃えましょう。

属性情報の質問数はどこまで必要?取得基準を整理する

基本項目と付加項目の考え方

回答者の属性情報は、直接的なテーマに関する質問以外で、全体に対して一定の割合を占めるトピックスです。属性情報はもちろん揃っているに越したことはないのですが、調査関係者全員の意見を聞いていると、あっという間に10問近く占めてしまいます。

こうした状況を避けるには、属性情報を基本項目と付加項目に意識的に分け、取得する基準を整理することが重要です。基本項目とは、性別・年代・回答謝礼の送付先情報などを指します。付加項目とは、地域・世帯年収・その他ステータスなどを指します。

付加項目には「営業上あった方が良い」項目が気軽に追加されるケースが多いのですが、あくまで各調査テーマに照らして必要な項目を吟味するようにしましょう。本編との関係性が薄い項目を大量に尋ねていると、回答者からも不審に思われてしまいます。

属性情報を選定する際のポイント

属性情報の項目選定を行う時は、毎回尋ねる項目と都度尋ねる項目の決め事をあらかじめつくっておくとスムーズです。概して人により必要と思しきものが異なるものなので、マストな項目とベターな項目を区別して、調査担当者がリードするようにします。

その際に、毎回取得する最低限の項目(基本項目)は「報告・公表」の観点を、都度取捨する本編関連項目(付加項目)は「分析・活用」の観点を、それぞれ意識すると、とりあえず取っておいたがその軸では有効な発見が無かった、という事態を防げます。

回答負荷を考慮した質問数の最終調整

質問形式による回答負荷の違い

質問構成が固まってきたら、最後に回答負荷を考慮して調節します。質問形式によって回答負荷のかかり方が異なるので、単純に1問=1負荷のイメージではなく、内容に即した負荷の捉え方をするようにしましょう。通常質問では以下を参考にしてください。

まず、選択肢数が多い質問は単純に読み込むのに時間がかかります。1問に20項目以上ある場合やマトリクスの表を組む時に留意しておきましょう。次に、自由回答の質問もまた、考えたり記入したりする作業が発生するため回答には一定の時間がかかります。

これらの質問形式は(すべて位置づけや内容によりますが)1問で+2問分程度の負荷がかかると思っておくと良いです。質問をぎゅっとまとめようとしたり、何でも深掘りしようと思うとこうした設計になりやすいので、冷静に差し引きをするようにします。

回答負荷が高くなりやすい設問例

作問の仕方によっては思わぬ回答負荷がかかる場合もあるのでよく注意しましょう。ここでは代表的なパターンを3つご紹介します。

1つめは、画面のスクロールが頻繁に起きる質問です。今や主流になりつつあるスマホ回答では画面のスクロールは回答者にとって大きなストレスになります。特に選択肢間の比較検討を行うような質問で項目数が多いと相当の時間を消費させてしまいます。

2つめは、記憶を正確に思い出す質問です。アンケートは、キャンペーン・イベント・重要政策等と結びついて実施されることが多くありますが、詳細な時期のことについて行動内容を細かく問う内容にすると、直感では選べないためとても時間を要します。

3つめは、回答者にとって身近ではない物事について意見を求める質問です。世の中で決してメジャーではないサービスやニュースについて、これについてどう思うか?と尋ねても、「何か印象あったかな…?」と判断に迷うためこれも時間ロスになります。

回答時間から考える適切な質問数

回答者側での所要時間による回答負荷イメージも知っておきましょう。かなりざっくりとではありますが、5分以内→とても短い、10分程度→短い~適量、15分程度→適量~やや長い、20分以上→長い、概ねこのような認識になるので参考にしてください。

回答者側はもちろん時間が短いほど良いのですが、毎回それだと実施者として十分に考察は深めることはできません。またユーザーアンケートでは、回答者が時間を取ってフィードバックしたい場合もあるので、双方にベストな着地を毎回模索しましょう。

適切な質問数を、実際のアンケート設計で確認する

質問数の考え方は理解できても、実際に設問を並べてみると「思ったより多い」「この質問は削れるかもしれない」と気づくことがよくあります。

Freeasyでは、質問を追加・削除しながら全体のボリュームを確認できるため、回答負荷を意識した質問数設計を実際の画面で調整できます。

記事で解説した考え方を、設計の場で試してみたい方は、Freeasyのサービス紹介資料をご覧ください。

本シリーズで学べるアンケート設計・実務ノウハウ

Freeasyリサーチアカデミー〈調査票編〉シリーズ一覧

本シリーズでは、アンケート設計から実査直前までを「完全体系化」し、企画書・調査票をはじめとする、調査活動で必須となる代表的なアウトプットに関するノウハウを解説しています。

各記事はそれぞれ独立して読める構成になっていますが、シリーズ全体を通して読むことで、アンケート業務を実務レベルで一貫して理解できるよう設計されています。

📚記事一覧(調査票編)

1.質問数

2.回収数

3.企画書

4.共有情報

5.ツール導入

6.運営体制

7.質問リスト(設問設計の骨格)

8.質問タイプ(形式)

9質問文作成(文章)

10.選択肢作成(中身)

11.ウェブ画面調査票(UI)

12.開始前の最終準備(最終回)

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