モニター調査とは?進め方・パネル調査との違い・向き不向きを解説

モニター調査とは、あらかじめ登録された調査協力者(モニター)を対象に実施する調査手法です。
商品・サービスへの評価やニーズ、利用実態などを短期間で効率的に把握できることが特徴です。

本記事では、モニター調査の基本から、実務での進め方、信頼性の考え方、向き・不向きまでを体系的に解説します。「アンケートで十分なのか」「インタビューが必要なのか」と迷っている方でも、自分の状況に当てはめて判断できるよう構成していますので、ぜひ最後までご覧ください。

モニター調査とは?

モニター調査とは、あらかじめ登録されたモニター(調査協力者)に対して実施する調査手法です。

商品やサービスの受容性、利用実態、認知、評価、ニーズなどを、短期間かつ効率的に把握したい場合に活用されます。

たとえば、新商品をリリースする前に「どの程度、受け入れられそうか」を確認する調査は、モニター調査の代表的な活用例です。

実務では「モニター調査」という言葉は、登録モニターを活用した単発の調査を指すことが一般的ですが、学術的には「インターネット調査」とは別の概念として整理される場合があります。

インターネット調査が「どう回収するか(調査モード)」であるのに対し、モニター調査は「誰から集めるか(サンプリング)」という考え方です。この違いを理解しておくと調査手法の選択を誤りにくくなります。

なお、モニターを使うだけで自動的に良い調査になるわけではありません。対象者条件、設問設計、回答負荷、クリーニングの精度が低い場合、結果は簡単に歪みます。

つまりモニター調査は、「手軽に短期間で仮説検証ができる一方で、設計の良し悪しがそのまま結果の品質に直結する調査手法」と捉えることが重要です。


※関連記事:単にアンケートを実施するだけでなく、目的に応じて調査手法を選ぶことが重要です。参考になる記事は下記です。
🔗アンケート調査とは?やり方・費用・成功のポイントを徹底解説【完全ガイド】
🔗
インタビュー調査とは?やり方・種類・アンケートとの違いを解説


モニター調査の期間は目的で決まる|単発調査と継続調査の違い

モニター調査の調査期間は、目的に合わせて決める必要があります。

一時点の反応を知りたい場合は、短期間の調査で十分です。

たとえば、新商品コンセプト案の評価、LPの訴求検証、広告クリエイティブの比較などは、“単発調査”で初期判断が可能です。

一方、ブランド認知の変化や購入頻度の推移、利用習慣の定着といった、時間の経過が影響するテーマは、“継続調査”が大前提です。

注意すべき点は、「変化を見たいのに単発調査をしてしまう」ケースと、「単発で十分なテーマに長期調査を組んでしまう」ケースです。前者は示唆不足になり、後者は過剰コストにつながります。

そのため、「何を判断したいのか」に応じて、単発調査と継続調査を使い分けることが重要です。

目的別の調査領域

単発調査で十分な場合

  • 受容性確認
  • 評価比較
  • 仮説検証

継続観測が必要な場合

  • 認知の推移
  • 行動変化
  • 利用の定着把握

モニター調査の進め方(設計から分析・活用まで)

モニター調査は、単に実施するだけでなく、設計から結果活用まで一連の流れとして考えることが重要です。

ここでは、調査の全体像と具体的な進め方を整理します。

│モニター調査の進め方(全体像)

モニター調査は、企画→対象者抽出→調査票作成→配信→回収→集計・分析→施策への反映、という流れで進みます。

最初の企画段階で、「何を判断したいのか」を明確にします。例えば「コンセプト案AとBのどちらを選ぶか」「想定ターゲットに受け入れられるか」「不満の原因が価格なのか使い勝手なのか」などを先に置くと、必要な質問が決まります。

次に、対象者を抽出します。ここで使うのが属性の条件づけやスクリーニングです。性別、年齢、地域だけで足りる場合もあれば、「直近3か月以内に対象カテゴリを購入した人」「競合サービス利用者」など、利用条件まで必要になる場合もあります。対象者の定義が曖昧なまま回収すると、後からいくら集計を整えても、判断材料としては弱くなります。

その上で、本調査を実施し、結果を単純集計・クロス集計・自由回答確認などで読み解きます。大切なことは、結果を見るだけで終わらせず、次の打ち手に変換することです。

モニター調査は、企画修正、ターゲット再設定、訴求改善など、意思決定や次のアクションを早く決めるための手段として活用することで、効果を発揮しやすくなります。

│モニター調査の具体的なフロー(6ステップ)

次の6ステップで考えると迷うことがありません。

Step1 仮説設定

最初に、「何を確かめたいのか」を仮説として明確にします。

たとえば、「新しいパッケージは20代女性に受け入れられるのではないか」「離脱理由は価格よりも入力の手間ではないか」といった具体的な粒度まで落とし込みます。

仮説が曖昧なまま広く質問しても、回答は集まっても、意思決定にはつながりません。

Step2 対象者定義

仮説に対して、「誰に聞くべきか」を明確にします。

既存顧客に聞くのか、未経験者に聞くのか、競合利用者に聞くのかによって、得られる結果の意味は大きく変わります。

この対象者の設定がズレていると、結果全体がズレてしまい、有効な示唆を得ることができません。

Step3 スクリーニング

対象条件に合う人だけを抽出します。

特にカテゴリー利用経験や検討状況が必要なテーマでは、このステップが調査品質の要となります。

なお、本来本調査で聞くべき内容までスクリーニングに詰め込むと、回答負荷が増え、全体の品質低下につながるため注意が必要です。

Step4 本調査設計・配信

本調査では、「判断に必要な質問だけ」を残すことが重要です。

一般社団法人 日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)の品質ガイドラインでは、本調査の回答所要時間は、10分以内が推奨されています。

長すぎる調査は、途中離脱を招いたり、不正確な回答が増えやすくなります。

Step5 集計・クリーニング

調査データの品質を担保するために、回答内容のチェックを行い、必要に応じて除外処理を行います。

回答時間が極端に短いもの、矛盾がある回答、不適切な自由回答、属性の不整合などを確認し、不良データを取り除きます。

品質管理を行わずにそのまま単純集計すると、見た目は整っていても意思決定を誤るリスクがあります。

Step6 結果活用

最後に、調査結果を、次の施策につなげます。

「何が良かったか」だけでなく、「どこで迷ったのか」「何が障壁だったのか」「誰に刺さらなかったのか」といった観点でも分析して、企画や訴求に活用します。

このステップで初めて、モニター調査が実務的な価値を持ちます。

│スクリーニングの役割とは(調査精度を左右する重要工程)

スクリーニングの役割は、聞くべき人だけを対象に本調査を行うためです。

例えば「対象カテゴリー購入経験者」に聞きたいのに、未購入者が混ざれば、対象者全体の平均値は見えても、求めている示唆は得られません。

つまり、スクリーニングとはコストを増やす前処理ではなく、調査の精度を守る入口です。

一方、実務ではスクリーニングが肥大化しやすいという課題もあります。本来本調査で聞くべき内容まで含めてしまうと、回答負荷が上がり、結果として全体の品質低下につながります。

また、スクリーニングは、謝礼が本調査の10分の1程度に抑えられることが多いため、回答者にとっての負荷と報酬のバランスが崩れると、回答品質やモニター継続率に影響します。

そのため、スクリーニングでは「対象者条件を判別するために必要な最小限の質問」に絞ることが重要です。

なお、スクリーニング調査の具体的な設計方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
🔗
スクリーニング調査とは?本調査との違い・設問設計・失敗しないポイントをわかりやすく解説

モニター調査とパネル調査の違いとは(使い分け方)

モニター調査とパネル調査は混同されがちですが、調査の設計や活用目的が異なる別の手法です。両者の違いを正しく理解することで、調査の目的に応じて適切な手法を選択できるようになります。

ここではまずその違いを整理したうえで、使い分け方を解説します。

│モニター調査とパネル調査の違い

モニター調査とパネル調査の違いは、「単発で調査するのか、それとも継続的に変化を追うのか」にあります。

モニター調査は、登録モニターを対象に実施する調査全般を広く指す実務用語で、単発の調査であることが一般的です。一時点での評価や受容性、ニーズを把握する場合に向いています。

一方、パネル調査は、同じ対象者に継続的に繰り返し調査を行い、時間経過による変化を捉える手法です。キャンペーン前後での認知の推移や購買行動の変化、利用習慣の定着などを把握する場合に向いています。

つまり、両者の違いは、「登録モニターかどうか」ではなく、単発で状態を把握するのか、継続して変化を追うのか、という点です。

│モニター調査とパネル調査の違いを比較表で整理

モニター調査とパネル調査の違いは、次のように整理できます。

■モニター調査とパネル調査の比較

比較軸

モニター調査(単発中心)

パネル調査

実施頻度

単発が中心

継続・反復

対象者

条件に合うモニターを抽出

同じ対象者を固定

向いている目的

受容性確認、評価、仮説検証

変化把握、推移観測

強み

早い、動かしやすい

時系列比較ができる

注意点

対象者定義の精度が重要

離脱管理が必要

このように、両者は調査設計の前提が異なります。そのため、目的に応じた使い分けが重要です。

│モニター調査とパネル調査の使い分け方

モニター調査とパネル調査の使い分けの判断は、「今知りたいのは状態か、それとも変化か」で判断すると分かりやすくなります。

今このタイミングの評価や受容性、不満点やニーズの有無を把握したい場合は、単発で実施できるモニター調査が適しています。

反対に、一定期間の前後の変化や、定着の変化など、時間軸での変化を追いたい場合は、パネル調査が適しています。

また、意思決定の速さも重要な判断軸です。

商品企画の初期段階や訴求案の比較のように、まず方向性を決めたい場面では、短期間で結果が得られるモニター調査のほうが、実務にフィットします。

このように、目的(状態or変化)と意思決定の段階(初期or検証)に応じて、調査手法を使い分けることが大切です。

モニター調査の信頼性の考え方

モニター調査は「手軽に実施できる調査」と捉えられがちですが、信頼性は自動的に担保されるものではありません。同じモニター調査でも、設計や運用の違いによって、得られるデータの質は大きく変わります。

例えば、対象者条件や設問設計が適切でなければ結果は歪みやすくなり、回収後のチェックが不十分であれば誤った意思決定につながる可能性があります。

つまり、モニター調査の信頼性は「ある・ない」で決まるものではなく、設計・回収・分析の積み重ねによって担保されるものです。

ここでは、調査品質を左右する要素と実務で意識すべきポイントを整理します。

モニター調査の精度を左右する3つの品質要素とは

モニター調査の調査品質は、大きく以下の3要素に分類できます。

調査票の品質(設問設計の段階)

質問文が長すぎないか、選択肢が多すぎないか、マトリクスが大きすぎないか、スマートフォンで読みやすいかといった点が重要です。

日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)のガイドラインでも、質問文は短くわかりやすく、選択肢を増やしすぎず、巨大なマトリクスを避けることが推奨されています。

回答内容の品質(データチェックの段階)

回答時間が極端に短い、自由回答が意味をなしていない、前後で矛盾しているといった回答については、除外・点検する運用が必要です。

回答データそのものの精度を担保することで、分析結果の信頼性が大きく変わります。

調査対象者の品質(サンプル設計の段階)

対象者条件そのものが適切か、不正回答をどう防ぐか、配信や管理の運用がどうなっているかで、結果の解像度は変わります。

│モニター調査の品質を担保する具体的な管理・運用方法

データ品質を左右する要因は、実務ではかなり具体的に管理できます。

設計の目安としては、回答時間質問数選択肢数などを事前に設計します。

また、品質指標としては、回答時間矛盾回答属性不一致不適切な自由回答の排除などが挙げられます。

さらに、配信時間の偏りによる回答傾向のバイアスを避けるため、対象者を一定数に分割し、時間をかけて配信する運用もあります。

つまり、モニター調査の品質は回収後のクリーニングだけでなく、設計段階や配信方法といった運用全体によって左右されるものです。

│モニター調査の品質を落とす典型的なNGパターン

モニター調査の品質を落とす典型例は、実務上ほぼ共通しています。

第一に、設問を詰め込みすぎることです。

聞きたいことをすべて詰め込むと、回答者の負担が増え、後半の回答精度が大きく低下します。

日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)も回答負荷の軽減を強く推奨しており、本調査およびスクリーニングは5分以内を目安としています。

第二に、誘導的な質問です。

「この健康的な商品は魅力的だと思いますか」のように前提を含んだ質問は、回答を歪める原因となります。

第三に、対象者条件が不適切なことです。

カテゴリ未経験者が混ざった状態で利用体験の評価を求めても、十分な示唆は得られません。

第四に、スマートフォン前提になっていない設計です。

2024年時点で、モニター登録の約9割、回答の約7割がスマートフォン経由とされており、PC前提の設計は大きな品質リスクになります。

│モニター調査の品質に関するよくある誤解とは

モニター調査に関する代表的な誤解のひとつが、「安い=質が低い」という考え方です。

実際には、品質は価格だけで決まるものではありません。

セルフ型と委託型では料金構造が異なり、調査会社による設計支援や分析が含まれるかどうかによって価格も変わります。

安価であってもシンプルな仮説検証には十分な場合もあり、高額であっても設計が不適切であれば有効な示唆は得られません。

もうひとつの誤解は、「多く聞くほど良い」という考え方です。

実際には逆で、質問数が多いほど回答負荷が高まり、結果としてデータ品質が低下しやすくなります。

そのため、JMRAや大手調査会社では一貫して「短く、わかりやすく、負担を抑える」設計が推奨されています。

見分け方(質問・深掘り例)

モニター調査は定義を理解していても、「自分の案件で使うべきか」を判断しにくいことがあります。

そのような場合は、調査で立てている「問いの深さ」に注目すると、モニター調査が適しているかどうかを判断しやすくなります。

ここでは、質問の立て方からモニター調査の向き・不向きを見分ける視点を整理します。

│問いの立て方で判断するモニター調査の見分け方

モニター調査の定義を理解していても、「この案件に向いているのか」を判断するのは難しい場合があります。

そのようなときは、調査で立てている「問い」の深さに注目すると、モニター調査に適しているかどうかを判断しやすくなります。

例えば、以下のように「浅い質問」と「深掘りした質問」では、得られる情報の質が大きく変わります。

浅い質問

不十分な理由

深掘り質問

モニター調査向きと判断できる根拠

この商品を知っていますか?

認知の有無だけでは弱い

どこで知ったのか?何が印象に残ったか?

訴求経路や刺さるポイントが把握できる

この商品を良いと思いますか?

良し悪しだけでは改善点が不明

どこで迷ったか?何が不満か?

受容性の理由や障壁が把握できる

この商品を買いたいと思いますか?

購買文脈が見えない

どんな場面で使いたいか?何と比較したか?

利用文脈や代替行動まで把握できる

この商品に満足していますか?

表面的な評価で終わる

満足・不満の決め手は何か?

改善施策につながる要因が抽出できる

浅い質問では「良い・悪い」「知っている・知らない」といった表面的な結果しか得られませんが、深掘りした質問では「なぜそうなったのか」「どこで迷ったのか」といった意思決定のプロセスまで把握することができます。

このように、“結果だけでなく背景まで知る必要があるかどうか”が、モニター調査を選ぶ判断基準になります。

│モニター調査が向いていると判断できる具体的なシーンとは

モニター調査が向いているのは、「結果だけでなく、なぜそうなったかまで知りたい」ときです。

単に「良い・悪い」を知るだけであればアンケートでも対応できますが、以下のような視点が必要な場合は、モニター調査を検討する価値があります。

  • どこで迷ったのか
  • 何と比較されたのか
  • なぜ最終的に選ばれなかったのか

こうした“意思決定のプロセス”を把握したい場合、モニター調査が有効です。

特に、

  • 商品企画前後の仮説検証
  • コンセプト評価
  • 訴求案の比較検証
  • 調査会社に依頼する前の一次検証

といった場面との相性の良さが特徴です。

つまり、方向性が正しいかを確かめたい段階で活用すると、モニター調査は効果を発揮しやすい調査手法です。

モニター調査の向き・不向き

モニター調査はすべての調査に適しているわけではなく、目的によって向き・不向きがあります。

ここでは、どのようなケースで効果を発揮しやすいのか、逆に適さないのはどのような場面かを整理します。

│モニター調査が向いているケース

モニター調査は、方向性を判断したい場面や、仮説を検証したい場面に適しています。

例えば以下のような場面です。

  • 探索(まだ答えが定まっていない段階の理解)
  • 仮説検証(方向性の当たり外れ確認)
  • 受容性確認(ユーザーに受け入れられるか)
  • 比較評価(複数案の検討)
  • 初期判断(施策に進めるかの見極め)

具体的には、商品企画初期段階の方向性の検討、訴求メッセージの比較、コンセプト評価、ユーザーの引っかかりポイントの把握などで、強みを発揮します。

│モニター調査が不向きなケース

一方で、モニター調査が向いていないケースもあります。

例えば以下のような場面です。

  • 厳密な母集団推計が必要な調査
  • 高い代表性が求められる統計用途
  • 政策・社会調査など精度要件が厳しい場面

これらのケースでは、サンプリングバイアスの影響を考慮する必要があり、モニター調査だけでは十分な精度を担保できない場合があります。

モニター調査は特性上、サンプルの偏りが生じる可能性があることも指摘されています。例えば、労働政策研究・研修機構の論考でも、インターネット調査(モニター調査)の特徴として、サンプリングの偏りが生じやすい点が挙げられています。

そのため、精度が求められる調査では、別の調査手法や補正設計の検討が求められます。

モニター調査が適している層とその特徴とは

モニター調査は、すべての担当者や状況に適した調査手法ではありません。

特に効果を発揮するのは、「まだ確証はないが方向性を確認したい」といった検討初期の段階です。

ここでは、モニター調査が適している層と、その背景にある課題の特徴を整理します。

│モニター調査を検討する準顕在層・潜在層とは

モニター調査を検討している準顕在層・潜在層は、まだ「今すぐ本格調査を発注する」段階にはありません。

一方で顕在層は、すでに課題が明確であり、「調査設計をどうするか」「どの手法を選ぶか」といった具体的な検討に進んでいるため、大規模調査や本格的なリサーチを前提に意思決定が進みます。

これに対して準顕在層・潜在層は、方向性は見えているものの確証がなく、次の一手に迷っている状態です。

つまり、「判断材料が足りず、まず確かめたい」という段階にあることが特徴です。

│準顕在層・潜在層が抱えやすい具体的な迷い

  • 準顕在層・潜在層では、次のような迷いがよく見られます。
  • この企画、方向性は悪くない気がするが確証が持てない
  • 調査会社に相談する前に、一度小さく確かめたい
  • 会議で反対されそうなので、先に生活者の反応を見ておきたい
  • 良い・悪いではなく、どこで迷われるかを知りたい

これらはすべて、「意思決定に必要な確証や裏付けが足りない状態」と言えます。

│モニター調査がフィットする理由(小さく確かめたいニーズ)

準顕在層・潜在層に共通する課題は、本格的調査に進む前に、低リスクで仮説を検証したいことです。

その点で、モニター調査は次のような特性を持っています。

  • まずは小さく検証できる
  • 対象者条件を絞ってピンポイントで確認できる
  • 短期間で早く判断材料を作ることができる

このように、「方向性が正しいかを確かめたい段階」において、モニター調査は非常に相性の良い手法です。

よくある質問(FAQ)

モニター調査については、実務で検討する中で多くの共通した疑問が生まれます。ここでは、よくある質問とその回答を整理し、判断の参考になるポイントを解説します。

│Q.モニター調査はどのような立場の人でも使えますか?

A.誰でも同じように使えるわけではなく、「誰に聞くべきか」を適切に設定できるかが重要です。

モニター調査は、商品企画、マーケティング、販促、広報、CX改善など、生活者や利用者の反応を把握したい業務で幅広く使えます。

ただし、誰にでも聞けばよいわけではなく、「既存顧客に聞くのか」「未利用者に聞くのか」「競合利用者も含めるのか」といった対象者の設計によって、結果の意味は大きく変わります。

そのため、用途に応じて適切な対象者条件を設計できるかが、活用のポイントになります。

属性だけで足りない場合は、スクリーニングで対象条件を追加します。

│Q.モニター調査の信頼性はどのように担保されますか?

A.モニター調査の信頼性は、設計と運用で担保されます

例えば、調査票を短くわかりやすく設計する、スマートフォンでも答えやすくする、対象者条件を正しく設定する、矛盾回答や不適切回答を除外する等の積み重ねが品質を高めます。

さらに、回答時間、属性の整合性、自由回答品質、事前・本調査間の矛盾などを確認することが基本です。

つまり、モニター調査は手法そのものではなく、「どのように設計・運用するか」で品質が決まります。

│Q.モニター調査の費用感はどのくらいですか?

A.費用は、サンプル数、設問数、対象者条件、実施方式(セルフ型か委託型か)によって大きく変わります。

「セルフ型」は比較的低コストで実施でき、調査設計や分析まで含まれる分「委託型」は費用が高くなる傾向があります。

例えば、小規模な仮説検証であれば、セルフ調査なら数千円~数万円台、委託型の本調査は十万円前後から数十万円以上が一つの目安です。対象者条件が細かい、スクリーニングが重い、設問数が多い、分析やレポートまで依頼する場合は、費用は上がります。

そのため、「どの程度の精度や範囲が必要か」に応じて設計することが重要です。

最初の仮説検証ならモニター調査で小さく始め、本格意思決定の段階で拡張することが現実的です。

│Q.モニター調査は必ず実施すべきですか?

A.必ずしも必要ではありませんが、意思決定の精度を高めたい場合には有効です。

例えば、方向性に迷いがある場合や、仮説の確からしさを確認したい場合には、モニター調査を活用することで判断材料を得ることができます。

一方で、すでに明確な答えがある場合や、厳密な統計精度が求められる場合には、別の手法の検討が必要です。

そのため、「どの段階で何を判断したいか」に応じて活用することが重要です。

まとめ

本記事では、モニター調査について解説しました。ポイントを振り返ります。

モニター調査とは、あらかじめ登録されたモニター(調査協力者)に対して実施する調査のことです。単発で短期間に実施できる点が特徴で、継続的に変化を追うパネル調査とは性質が異なります。

調査は、①仮説設定、②対象者定義、③スクリーニング、④本調査設計・配信、⑤集計・クリーニング、⑥結果活用の6ステップで進めます。

代表的な用途は、受容性確認、評価比較、仮説検証です。

信頼性は、①調査票の品質、②回答内容の品質、③調査対象者の品質の3要素で構成されます。さらに、回答時間、矛盾回答、属性不一致、不適切な自由回答のチェックによって、データ品質を高めます。

注意点としては、設問を詰め込みすぎない、誘導的質問をしない、対象者条件を適切に設定する、スマートフォンでの回答を前提とすることが挙げられます。よくある誤解としては、「安いと質が低い」「質問は多いほどよい」などがありますが、正解は「質は設計と運用で決まる」「質問は必要最小限のほうが精度が高い」です。

モニター調査が向いているのは、「結果だけでなく、なぜそうなったか理由まで知りたい」ときです。企画段階での仮説検証や、調査会社に相談する前の一次検証と相性が良いです。

また、探索、仮説検証、受容性確認、比較評価、初期判断といった、方向性を見極める場面で強みを発揮します。一方で、厳密な母集団推計や高い代表性が必須の場面には向いていません。

上記を踏まえ、「何を判断したいのか」「いまどの意思決定段階にいるのか」を基準に、モニター調査を適切に活用していくことが重要です。

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モニター調査は、設計だけでなく「どのように実施するか」によっても、得られるデータの質や判断精度が大きく変わります。そのため、調査設計の意図を正しく反映できるツールを選ぶことも重要です。

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《参考サイト一覧》

『インターネット調査・モニター調査の特質』(労働政策研究・研修機構)
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2006/06/pdf/032-041.pdf
『インターネット調査品質ガイドライン 第2版』(一般社団法人 日本マーケティング・リサーチ協会)
https://www.jmra-net.or.jp/Portals/0/rule/guideline/20200525_internet_guideline.pdf
『インターネット調査が生き残る道―モニターのアンケート離れと調査データの信頼性失墜の危機の中で―』
(一般社団法人 日本マーケティング・リサーチ協会)
https://www.jmra-net.or.jp/activities/trend/domestic/20250415.html

柏田宮亜
柏田宮亜
この記事はアイブリッジ 柏田宮亜が編集・構成を担当しました(編集者 / コンテンツディレクター)。2020年6月よりセルフ型アンケートツール『Freeasy』に関わり、記事の編集・構成を担当。読者の目線に立って、わかりやすく、役立つ情報を届けられるよう心がけています。

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