ブルーオーシャンとは?レッドオーシャンとは?|リサーチ マーケティング用語集
ブルーオーシャンとは
ブルーオーシャンとは、競争相手のいない、あるいは少ない、未開拓の市場のことです。
また、その市場に、価格差・オリジナリティ等によって全く新しい市場を生み出し、事業を展開する戦略のことを「ブルーオーシャン戦略」と言います。
2005年にフランスの大学院の教授であるW・チャン・キムとレネ・モボルニュによる共著「ブルー・オーシャン戦略」で提唱された概念です。
ブルーオーシャン戦略を行うメリット
ブルーオーシャンに事業を展開することで得られるメリットは下記のとおりです。
1.低コストでの商品やサービス提供
競合相手がいないため、自社にとって不利な価格設定を行わずに商品やサービスを提供することができます。よって、低コストで高い売り上げが見込めます。
2.価格競争に巻き込まれにくい
従来存在していない市場のため、競合他社との価格競争が起こりにくいこともメリットです。
よって利益の削り合いというリスクも避けられるため、商品やサービスの開発にかけた投資費用を回収しやすく、利益の積み上げもスムーズに進められます。
3.自社商品やサービスのブランド化がしやすい
ブルーオーシャンでは、商品やサービスの市場シェアをいち早く獲得することができます。そして後から参入する企業よりも早く実績を築き、長期的なブランドロイヤリティを高められます。
その結果、仮に競合が激化しても、安定した利益の確保が見込めます。
ブルーオーシャン戦略を行うデメリット・注意点
多くのメリットがある一方で、デメリットもあります。事前に対策を講じられるよう、デメリットと注意点をしっかり理解しておきましょう。
1.自社商品やサービスを、模倣する企業が現れる可能性が高い
成功事例として認知が広がれば、模倣する競合企業が出現し、市場シェアを奪われるリスクがあります。ブルーオーシャンはいつまでも自社にとって有利な市場というわけではありません。
少しでも自社の優位性を保てるよう、商品やサービスの付加価値の向上、独自技術の開発、人材育成など、具体的な対策を講じることが重要です。
2.事前計画や対策が重要
そもそも見込み顧客がいなければ、たとえブルーオーシャンであっても利益確保は見込めません。ブルーオーシャン戦略に取り組む際は、「なぜ市場が存在しないのか?」、「顧客ニーズはあるのか?」など、市場開拓による利益確保のための、事業計画・対策の立案はとても重要となります。
3.高度なマーケティングスキルを身に付けておく
ブルーオーシャン戦略を進めるためには、高度なマーケティング力等の知識・スキルが必要となります。そういった地盤がしっかりとあるからこそ、先述のようなメリットが生まれる市場だということを認識しておきましょう。
レッドオーシャンとは
レッドオーシャンとは、競争相手が市場に非常に多く、競争が激化していて、飽和状態にある市場のことです。前述した「ブルーオーシャン」の対義語です。
その市場において、商品やサービスの魅力・品質等が認められることにより、多くのライバル企業との競争に勝ち残って、ライバル企業のシェアや利益を奪い取っていく戦略を、「レッドオーシャン戦略」と言います。
レッドオーシャン戦略を行うメリット
レッドオーシャンは、競争が激しく参入は避けるべきという過酷なイメージがありますが、レッドオーシャンにも様々なメリットがあるため、参入を目指す企業は常に存在しています。
1.既に認知度は高く、需要のある商品が多い
既に消費者の間で広く認知されており、高い需要があることが分かっている市場のため、商品の存在や価値が十分に浸透している商品が多い傾向にあります。
認知度が高く、顕在化した需要を反映した商品を作ることができれば、売り上げを見込めます。
2.成功すれば高い収益を得られる
高い需要が存在するため、多くの企業が顧客や利益を奪い合っていますが、競争の激しい市場で差別化を図ることができれば、少ない市場シェアでも収益を確保できる可能性があります。
3.商品開発のコストを抑えられる
既に需要がある商品が明らかとなっているため、既に市場にある商品をベースに開発を進めることができます。そのため、コストを抑えられる点は大きなメリットです。
レッドオーシャン戦略を行うデメリット・注意点
競合企業が多数存在しているため、勝ち抜くためにはデメリットや注意点を理解しておく必要があります。
1.参入後に生き残ることが難しい
たとえ参入を果たせても、競合が多く生き残りが難しいことが最大のデメリットです。
ライバル企業が多く、市場における序列・順位が長年決まっているケースもあり、既存の企業が新規参入を敬遠する傾向が強く見られます。
また、競争に負けて撤退せざるを得ないリスクもあります。
そのため、レッドオーシャンに参入する前に、市場を絞り込むことが重要です。市場を厳選することで、見込み顧客をより明確に把握し、効果的な戦略を立てやすくなります。
レッドオーシャンにおけるブルーオーシャンを見つけ、市場を切り拓くことができれば、競争の中で一定の市場シェアを獲得できる可能性が高まります。
2.市場調査や広告に多大なコストがかかる
生き残りをかけて競合との差別化をするために、市場調査をしたり、大規模な広告戦略を実行したり、外部の専門家にコンサルティングをお願いすることもあります。これらは多額の費用が発生するケースがあるため、資金に余力があまりない企業は、特に注意が必要です。
しかしながら、激しい競争市場において、「どのような戦略を実行してライバル企業が成功しているのか」を調査・分析することは、他の企業との差別化や、顧客の興味を引き付けるための戦略策定に役立ちます。
ブルーオーシャンとレッドオーシャンの関係性
対義語関係にある言葉ではありますが、「ブルーオーシャン」が、新規参入や模倣などによって「レッドオーシャン化」したり、逆に「レッドオーシャン」の中からニーズが満たされていない顧客層を見出すことによって「ブルーオーシャン」開拓の可能性もあります。
よって、「ブルーオーシャン」と「レッドオーシャン」は非常に密接な関係にあると言えます。
まとめ
ここまで、ブルーオーシャンとレッドオーシャンの特徴、メリット、デメリット・注意点について、比較を交えつつ解説してきました。
ブルーオーシャンは競合相手が少なく、利益の出やすい市場ではありますが、常に安泰というわけではありません。後から次々と新規参入して来るため、コスト優位性を意識して他社との差別化を図る戦略に乗り出せば、市場における原動力を維持できるでしょう。
また、レッドオーシャンでの成功は不可能ではありません。勝ち抜くための綿密な戦略を練って挑めば、自社をレッドオーシャンで戦える企業に成長させることにつながるでしょう。
以上を踏まえて、自社の経営戦略策定の際にぜひ参考にしてください。
関連記事と関連用語
「ブルーオーシャン、レッドオーシャン」と関わりの深い「プロダクトアウトとマーケットイン」について解説している記事も、合わせてご覧ください。
⇒『プロダクトアウトとマーケットインとは|違いと融合を解説!』はこちら
関連用語:経営資源、プロダクトライフサイクル