デジタルエスノグラフィーとは|リサーチ マーケティング用語集

デジタルエスノグラフィー

デジタルエスノグラフィー​​​​​​​とは

デジタルエスノグラフィーとは、SNSやブログ、口コミサイト、オンラインコミュニティなど、インターネット上に蓄積された生活者の行動や発言をリアルタイムで観察・情報収集・分析し、価値観や潜在的なニーズ、行動の背景を深く理解するためのリサーチ手法のことです。

もともと「エスノグラフィ」は文化人類学の研究手法として発展し、人々の日常生活を観察することで、その行動や文化を理解することを目的としていました。

デジタルエスノグラフィーはその考え方をデジタル環境へ応用したもので、オンライン上のサービスを通じて生活者の実態を把握します。

アンケートやインタビューでは引き出しにくい「建前ではない本音」を発見できる手法として、デジタル上での生活が拡大するなかで、消費者インサイトの発見や商品開発、サービス改善、マーケティング戦略の立案などに幅広く活用されています。

英語表記は Digital ethnography です。

従来のエスノグラフィとの違い

従来のエスノグラフィは、調査員が対象者の自宅や店舗、職場などを直接訪問し、実際の生活環境の中で行動を観察するフィールドワーク型の調査が中心でした。

一方、デジタルエスノグラフィーはオンライン空間を調査対象とし、生活者が日常的に利用するデジタルチャネル上での行動を観察します。

よって調査員の立ち会いや訪問を必要とせず、スマートフォンやパソコンを通じて情報収集を行えるため、場所・時間・費用の制約が小さく、幅広い対象者への調査が可能です。

さらに生活者自身が写真や動画を共有できるため、実際の利用シーンや感情を把握しやすいという特徴があります。

調査手法・進め方

デジタルエスノグラフィーでは、調査目的に応じてさまざまなデジタルツールやプラットフォームを活用しながら情報を収集します。一般的な進め方は以下のとおりです。

1.調査課題・目的の設定

利用実態の把握、購買行動の理解、ブランド評価の分析など、調査で明らかにしたいテーマを定義します。

2.調査対象・収集方法の設計

対象者や観察対象となるデジタルチャネルを選定します。X、Instagram、TikTok、YouTube、ブログ、口コミサイトなど、対象者が実際に利用する媒体が活用されます。

3.行動・発言データ収集

対象者の日常行動や商品・サービスとの関わり方を、投稿内容や写真、動画、コメントなどを通じて収集します。モバイル端末を活用することで、利用シーンをリアルタイムに記録してもらうことも可能です。

4.分析・インサイト抽出

収集した定性データを他の情報源とも突き合わせながら定性的に整理・分析し、行動の背景にある価値観や潜在的な課題、不満、期待などを読み解きます。他の調査結果や定量データと組み合わせて分析するケースもあります。

5.施策への活用

得られた知見を商品開発やブランド戦略、コンテンツ企画などに活かします。

メリット・注意点

デジタルエスノグラフィーの最大のメリットは、設問に沿って回答してもらう形式ではなく、対象者が自発的に発信した自然な意見や感情を把握できる点にあります。発言の文脈やコミュニティ内でのやり取りも確認できるため、行動の背景まで理解しやすくなります。

また、写真や動画をリアルタイムで記録・共有するなど多様な調査手法に対応しており、記憶に頼らない鮮度の高いデータを収集できることも特徴です。

さらに、オンライン環境を活用することで地理的な制約を受けにくく、幅広い生活者の行動や意見を収集できます。得られたデータは、消費者の期待や不満、潜在ニーズの発見につながり、商品開発やサービス改善、顧客体験の向上に役立てられます。

一方で、実施にあたってはいくつか注意点もあります。SNS投稿や写真、動画など個人に関わる情報を扱うため、プライバシーへの配慮や適切な同意取得、関連法令の遵守が不可欠です。

また、収集されるデータは定性的な情報が中心となるため、解釈に主観が入り込みやすく、分析には高い専門性が求められます。さらに、オンライン上で積極的に発信するユーザーの意見に偏る可能性もあるため、調査結果の解釈には注意が必要です。

関連用語

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