
SWOT分析とは?解説(やり方、事例、テンプレート)
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はじめに
ここでは「SWOT(スウォット )分析」に関する基本的な説明と、事例を紹介していきます。
この記事を読んで分かること、できるようになること
●SWOT分析、クロスSWOT分析の知識を身に付けることができる。
●SWOT分析の事例を知ることができ、マーケティング現場での使い方が分かる。
●すぐに使えるSWOT分析のテンプレートや資料を、無料でダウンロードできる。
SWOT分析とは
SWOT分析は、自社や競合他社が属している業界の環境、すなわちミクロ環境を分析するフレームワークです。 同じミクロ環境分析のフレームワークとしては「3C分析」も有名ですが、それと並ぶ代表的なミクロ環境分析のフレームワークといえます。
SWOT(スウォット)とは、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の頭文字です。この4つの要素を分析していきます。
なお、強みと弱みが自社の『内部環境』、機会と脅威が市場や競合などの『外部環境』に当てはまります。
>>【参考】リサーチマーケティング用語:「マーケティングフレームワークとは」
SWOT分析の目的
SWOT分析を行う目的は、外部環境(自社ではコントロール不可能)と内部環境(自社でコントロール可能)の両面から自社の商品やサービスの状況を把握し、マーケティング戦略を立案することです。
さらにはマーケティング戦略の枠を超えたビジネス戦略の策定や、経営資源の配分の再検討など、広い目的と用途で使われます。
SWOT分析のメリット
外部環境と内部環境の、各メリット・デメリットを分析することにより、想定されるリスクを抑え、メリットを最大限に活用する戦略立案が可能になります。
脅威(外部要因)や弱み(内部要因)というマイナス要因を、逆にプラス要因に転化するヒントが見つかることもあります。
SWOT分析の注意点と解決策
SWOT分析を行う上で最も注意しなければならないことは、分析者の視点や考え方というバイアスが生じることです。強み・弱み・機会・脅威に関する判断は主観的なものだからです。
このバイアスというリスクを回避するためには、一人ではなく、複数のプロジェクトメンバーで分析を進めることが有効です。情報収集という最初の段階から複数のメンバーで行えることが理想的ですが、それが不可能な場合でも、収集した情報の強み・弱み・機会・脅威の振り分け作業は、複数のメンバーで行うことが望ましいでしょう。
SWOT分析の4要素
SWOT分析のStrength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の4つの要素は以下の通りです。
Strength:強み
内部環境のStrength(強み)とは、自社の強みのことで、競合他社に対する差別的優位性のことです。
例:高い技術に支えられた商品開発力。他社と比べて高い提案営業力。
Weakness:弱み
内部環境のWeakness(弱み)とは、競合他社と比較した自社の弱みのことです。
例:工場と物流倉庫が離れており納品に時間がかかる。セールスパーソンの数が少ない。
Opportunity:機会
外部環境のOpportunity(機会)とは、自社に対して有利な条件のことです。
例:規制緩和による販路の拡大。為替相場の円安予測により輸出の収益向上が見込める。
Threat:脅威
外部環境のThreat(脅威)とは、自社に対して不利な条件のことです。
例:海外での紛争による輸入原料の高騰で値上げが必要になる。しかも競合企業は自社より低コストでの製造が可能なため、自社のシェアが浸食される懸念がある。
SWOT分析のフレームワーク
下記はSWOT分析のフレームワークです。内部環境のプラス要因は強み、マイナス要因は弱み、外部環境のプラス要因は機会、マイナス要因は脅威です。
4つの要素を、自社のマーケティング課題に合わせて埋めていきましょう。無料のテンプレートを下記よりダウンロードできますので是非ご活用ください。
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クロスSWOT分析とは
クロスSWOT分析とは、SWOT分析の内部環境(強み・弱み)と外部環境(機会・脅威)の要素を掛け合わせる(クロスする)ことで、戦略のフォーカスを絞る分析のやり方です。
クロスSWOT分析のフレームワーク
下記はクロスSWOT分析のフレームワークです。SWOT分析の4つの要素を掛け合わせ、機会×強み、機会×弱み、脅威×強み、脅威×弱みをまとめましょう。
こちらのクロスSWOT分析のテンプレートも下記より無料でダウンロードできますのでご活用ください。
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SWOT分析の事例
納豆の中国市場進出のための「SWOT分析」
誰もが知る有名な商品やサービスを対象としたSWOT分析の解説は多く見られますので、ここではもっと大きな規模の事例でSWOT分析を解説していきます。
それは「日本の納豆メーカーの中国市場進出」というケーススタディです。実際、財務省貿易統計によると、2022年の日本から中国向けの納豆輸出は約1,181トンと5年間で5.5倍に増えています。
内部環境分析
まずは情報収集から始めます。この場合、企業における「内部環境」は、日本の納豆という食品の強み・弱みということになります。
「強み」は、日本の伝統的な食品であること、健康・美容面での効果、簡単に食べられること、レシピが多彩なことでしょう。
逆に納豆の「弱み」は、独特の臭気や、糸をひくネバネバした食感でしょう。独特の臭気と食感は日本人の中でも好悪が分れるところです。
外部環境分析
企業にとっての「外部環境」は、この場合、中国における日本の納豆の受容性ということになります。
納豆が中国国内で普及する「機会」としては、コロナ禍による在宅での栄養摂取の必要性(このケースではコロナ禍の最中という想定)、脳血管疾病が多いこと(中国人の平均寿命は日本人より8歳ほど低い)、「ナットウキナーゼ」(酵素)ブーム(コロナ禍前の訪日観光による影響)といった、健康に関する要素が挙げられます。
実際、中国では通販で納豆製造機が売られています。また、臭気や食感、味を中国人向けにカスタマイズすることができる調味料は豊富です。
中国での普及の障壁となる「脅威」は、糸をひくような食品が少ないこと、納豆以外の大豆製品が豊富であること、食事時には皿から取り分ける食文化、輸出しても普及価格では販売できないことです。
要素の可視化(フレームワークへの落とし込み)
外部環境、内部環境とも、収集された情報の中から選ばれた要素を、SWOT分析のフレームワークにまとめてみましょう。
※見やすさを重視して、ここでは1要素ごとにフレームワークを分解して掲載します。
● Strength(強み)
●Weakness(弱み)
●Opportunity(機会)
●Threat:脅威
クロスSWOT分析の結果
SWOT分析により日本の納豆の中国市場進出における内部と外部の環境が、プラス要因とマイナス要因ごとに明確になりました。そこで続いては、内部環境(強み・弱み)と外部環境(機会・脅威)の要素を掛け合わせた、クロスSWOT分析をおこないました。
大きく見ると、中国における健康志向は大きなポテンシャルであり、豊富な調味料が使われてきた中国の食文化の中に、日本の納豆をカスタマイズしていく戦略の道筋が見えてきました。
※ここでも見やすさを重視して、フレームワークを分解して掲載します。
●Opportunity(機会)×Strength(強み)
●Opportunity(機会)×Weaknes(弱み)
●Threat(脅威)×Strength(強み)
●Threat(脅威)×Weakness(弱み)
SWOT分析にまつわる、よくある質問
Q:「SWOT分析」と「3C分析」との違いを教えてください。
SWOT分析と3C分析は同じミクロ環境分析のフレームワークですが、第一の相違点は、収集される情報源の範囲です。
3C分析の範囲は市場・自社・競合という比較的狭い範囲ですが、それに対しSWOT分析の「外部環境」は市場と競合に留まらず、PEST分析の要素である政治・経済・社会・技術など広範囲をカバーする場合があります。
第二の相違点は、SWOT分析では強み・機会というメリット、弱み・脅威というデメリットを明確に分類することです。
Q:情報収集と整理は、外部環境と内部環境のどちらから着手したほうがいいでしょうか?
実務上、外部環境(機会・脅威)から始めることが多いようです。自社ではコントロールできない外部環境の各要素を明確にした上で、自社でコントロールができる内部環境(強み・弱み)を分析していったほうが、戦略策定がスムーズになります。
>> Q&Aをもっと見たい方はこちらから「SWOT分析」にまつわる、よくある質問【資料を無料ダウンロード】
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こちらの資料では、記事には掲載されていないSWOT分析に関するよくある質問や、すぐに使えるSWOT分析のフレームワーク(テンプレート)も掲載しています。
おわりに(まとめ)
ここまでSWOT分析について解説してきましたが、最後にまとめとして振り返ってみましょう。
SWOT分析は、3C分析と並ぶ代表的なミクロ環境分析の代表的なフレームワークであり、外部環境と内部環境のメリットとデメリットを分析することで、想定されるリスクを抑え、メリットを最大限に活用する戦略立案が可能になります。また、クロスSWOT分析を行うことで、戦略のフォーカスを絞ることもできます。
SWOT分析の最大のリスクとなるバイアスは、複数のメンバーにて分析を進めることで回避できます。
以上を踏まえて、失敗しないSWOT分析を行い、事業戦略に有効的に役立てていきましょう。