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調査企画から報告書作成まで!ネットリサーチの徹底チェックリスト


目次[非表示]

  1. はじめに
  2. フェーズ1.調査企画・設計
  3. フェーズ2.調査票作成
  4. フェーズ3.WEB画面作成
  5. フェーズ4.実査モニタリング
  6. フェーズ5.データクリーニング
  7. フェーズ6.集計
  8. フェーズ7.調査報告書作成
  9. ネットリサーチの徹底チェックリスト(無料ダウンロード)
  10. おわりに

はじめに

ネットリサーチを実施するにあたり、必ず知っておきたい、「ここさえ押さえておけば問題なし!」という大切な項目だけをピックアップし、分かりやすくリスト形式でまとめました

この記事を読んで分かること

  • 「調査の企画」段階、「調査票の作成」段階、「実査」の段階等、各フェーズごとに大切なことが分かる。
  • 「従来型」と「セルフ型」のうち、「セルフ型」で特に重要となる点についても明記されている(各項目の文末に★がついている項目が該当)。
  • チェック項目をすべて記載した、すぐに利用できる「チェックリスト」をダウンロード(無料)することができる。
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フェーズ1.調査企画・設計

ネットリサーチを行うにあたって、まず最初のポイントは、「何のために、どのような人たちに、何を聞けばいいのか?」を明確にすること、です。

よくあるミスとして、アンケートを実施すること自体が目的となってしまう場合がありますので、注意しましょう。

フェーズ1-1.調査の全体像

まず、マーケティング課題を明らかにします。そしてマーケティング課題を解決するために、「何を知ればいいのか」を明確にして、「問題の原因は何なのか?」といった仮説を設定します。

それらの仮説が正しいのか否かを検証することが、調査目的となります(最も一般的な「仮説検証型調査」の場合)。

さらに、調査結果のアウトプットイメージを明確にすることが、調査を成功に導くキーとなります。

もちろん、予算もスケジュールも限界はあります。ネットリサーチでは、費用対効果に優れること、スピード感と利便性(サポートの有無など)がポイントとなることは言うまでもありません。

  • 調査の背景となるマーケティング課題は明確か
  • マーケティング課題を解決する仮説は揃っているか
  • 仮説に基づいた調査目的は明確か
  • マーケティング課題と調査目的の整合性はあるか
  • 調査結果に基づいたアウトプットイメージは明確か
  • 調査の最初から最後まで自己完結で行えるか(スピード感と利便性
  • 調査費用は予算に対し適正か
  • 各フェーズで疑問・問題が生じた場合、サポートを受けられるか《特にセルフ型で注意

フェーズ1-2.誰に聞くか

「誰に聞くか」ということは「何を聞くか」ということと不可分です。

対象者の性別・年齢・居住地域・所得・職業・家族構成・学歴などデモグラフィック(人口統計学的)属性は基本中の基本です。

調査目的によっては、行動・信念・価値観などのサイコグラフィックス(心理学的)属性が加わることもあります。

さらに特定の商品やサービス利用者を対象とした場合、調査パネルにどれくらい存在して、そのうちで回答してくれそうな人数を把握します。

ネットリサーチ、特にセルフ型の場合、回収予測数がすぐにわかることは必須です。もちろん、対象者を絞り込む場合には、スクリーニング調査が必要になります。

調査終了後も必要があれば追跡調査を行います。継続して調査を行いたい場合には、回答者のモニター化が可能なことも確認した方がいいでしょう。

  • 対象者の割付設定(性別・年代・居住地域など)と人数は適切か(モニター属性が豊富なことが重要
  • 出現率に問題はないか(登録モニター数の多さが重要
  • スクリーニング調査が必要か
  • 回収予測数はすぐにわかるか
  • 追跡調査も円滑に行えるか(必要な場合)
  • 回答者のモニター化は可能か(継続調査などで必要な場合)

フェーズ2.調査票作成

調査企画・設計で「誰に聞くか」が決まれば、調査票作成のフェーズに入ります。

フェーズ2-1.何を聞くか

調査票の質問文作成においても、調査目的に適合したヌケモレがないことを確認しながら作成することは必須です。質問にヌケモレがあれば調査目的は達成されず、逆に余分な質問があれば、回答者への負荷は増し、コスト面でもマイナスです。

質問の順序も大切です。商品やサービスを知っている人でなければ、購入・利用意向どころか好き嫌いの評価さえできません。

継続した調査を想定する場合には、調査ごとに質問を変更することは好ましくないので、調査票の入念なチェックが必要です。

質問文では、プライバシーに抵触する質問を避けましょう。また、最も答えにくい属性を聞くフェイスシートは、必ず調査票の最後に配置します。

  • 調査目的を達成する調査事項が全て含まれているか
  • 不必要な調査項目はないか
  • 調査目的に適合した質問項目になっているか(受容性の場合の「好意度」「購入意向」など)
  • 対象者のプライバシーに抵触する質問(夫婦関係、身体的内容、資産、信条関係など)を避けているか
  • 質問の順序に矛盾はないか(「認知」「好意度」「購入経験」「継続購入意向」など)
  • 継続した調査を想定している場合、連続性を担保するための設問・選択肢のチェックは万全か
  • 対象者の属性を聞くフェイスシートは最後に配置されているか

フェーズ2-2.どう聞くか

質問文については、まず第一に、対象者が答えやすいということが重要です。

フェーズ2-2-1.質問文

言葉遣いが適切なことが基本ですが、表現は簡潔かつ明瞭、難しい専門用語は使わない(特に注意)、否定語はわかりにくいので、なるべく使わないことを心がけましょう。

また、ネガティブな表現には気をつける必要があります。偏見や反感を生じさせないような質問、対象者が誤解するような文章になっていないかを入念にチェックしましょう。

  • 質問文の言葉遣い(ワーディング)は適切か
  • 簡潔かつ明瞭な表現となっているか
  • 難解な専門用語や略語を使っていないか
  • 誤解を生む「否定語」を使っていないか(「言えないことはない」など)
  • 偏見や反感を生じさせるような質問は避けているか
  • 対象者が誤解するような文章になっていないか
  • ネガティブな意味を持つステレオタイプな表現を使っていないか(「茶髪だから不真面目」など)

フェーズ2-2-2.質問内容

対象者が迷わず答えられるためにも、「買う」「使う」の区別など、具体的な表現を心がけましょう。

対象者が答えやすいということでは、「二重質問=ダブルバーレル(「結婚して子供を産みたいか?」など)と、常識では思い出せないような過去(昔)の行動を聞くことは、避けましょう。

当たり前のことながら見落としがちになるポイントとして、対象者個人のことを聞いているのか?ということが挙げられます。一般論・建前で答えざるを得ないような質問は多くみられます。

また、対象者の家族のこともついでに聞いてしまうことは、認識の曖昧さもあり避けた方がいいでしょう。

回答を誘導するような質問になっていないか、という点も要確認です。

自由回答が多すぎることも、回答者、調査実施側の双方にとってマイナスとなります。

  • 具体的な表現や内容の質問か(「買う」と「使う」の区別など)
  • 1つの質問では1つの内容について聞いているか(二重質問=ダブルバーレルを避ける)
  • 対象者個人の意見を聞いているか(一般論・建前しか答えられない可能性はないか)
  • 対象者本人について聞いているか(ついでに家族などのことを聞いていないか)
  • 記憶が曖昧で答えにくいことを聞いていないか(思い出せないような過去の行動など)
  • 回答を誘導するような質問になっていないか
  • 自由回答が多すぎることはないか(回答者の負担軽減とアフターコーディングの時間・コスト削減)

フェーズ2-2-3.質問の順序

質問の順序についても、“鉄則”があります。

1)回答者が答えやすい質問を先に、答えにくい質問を後に
2)一般的な質問を先に、個別・具体的な質問を後に
3)事実や実態を聞く質問を先に、意見を聞く質問を後に

以上の3点は最低限、押さえておきましょう。

有効なデータを獲得するために注意すべきポイントとして、前の質問が後の質問の回答に影響を与えるよう(キャリーオーバー効果)になってはいないか?ということが挙げられます。

※キャリーオーバー効果の例:「あなたは〇〇○という食品が胃腸にいいことを知っていますか」という質問の後に「あなたは〇〇○という食品を買いたいと思いますか」という質問を置く。

  • 最初の質問は答えやすくなっているか(答えにくい質問は後に)
  • 一般的な質問を先に、個別・具体的な質問を後にしているか
  • 事実や実態を聞く質問を先に、意見を聞く質問を後に配置しているか
  • 前の質問が後の質問の回答に影響を与えるよう(キャリーオーバー効果)になってはいないか

フェーズ2-2-4.回答の尺度

データの種類は大きく以下の4つの「尺度」に分類されます。集計の時に重要となりますので、調査票作成でも適切な設計が必要です。

尺度
定義
質問例
名義尺度

対象の識別を目的とする

性別、郵便番号

次の清涼飲料のうち、どれが好きですか。当てはまるものをすべてチェックしてください。

順序尺度

順序や大小関係を表す

好感度ランキング

次の清涼飲料について好きな順番に番号を記入してください。

間隔尺度

間隔、程度の違いを表す

摂氏温度、西暦年

それぞれの清涼飲料についてあてはまるものを選んでください。(とても好き〜とても嫌い)

比率尺度

絶対原点(0)を持つ

購入数量、時間

次の清涼飲料について、各ブランドへの好きな程度が反映されるよう、合計が100点になるように点数を配分してください。

数字で回答していただく場合、金額や頻度などの単位も確認しましょう(金額の税込・税抜も)。

*資料引用・加工:『マーケティングリサーチ入門』(高田博和他 著、PHP研究所、2008年)

  • 回答の尺度は適切か(名義尺度、順序尺度、間隔尺度、比例尺度)
  • 回答の単位は適切か(「個数」「金額」「頻度」など)

フェーズ2-2-5.選択肢

選択肢のチェック項目は、他のフェーズよりも多くなっています。単数回答か複数回答かという基本から、似ている選択肢はないか、重複と不足はないか、間隔は等間隔か?などが挙げられます。

(注)数や並べ方は適切か、「その他」は抜けていないか、「その他」に回答が集中しないよう選択肢は適切か、「あてはまるものがない」(排他)は必要か、など多くのチェック項目があります。

次のフェーズの「WEB画面」でも要確認ですが、「あてはまるものがない」をチェックした回答者は、次の質問を飛ばすなどのロジックも必要となります。

  • 選択肢のタイプは適切か(単数回答と複数回答、順位法、SD法など)
  • 似ていて選びにくい選択肢はないか
  • 選択肢の間隔は等間隔になっているか(「とても好き」から「とても嫌い」までなど)
  • 選択肢の数は適切か(最大で15個程度、少ないと「その他」に回答が集中する)
  • 選択肢の並べ方に配慮しているか
  • 選択肢の重複はないか
  • 選択肢の不足はないか
  • 選択肢に「その他」を入れているか
  • 「その他」に自由回答欄が必要な場合、抜けていないか
  • 「その他」の回答が多くなる可能性はないか(選択肢は包括的か)
  • 「あてはまるものはない」が必要な場合、抜けていないか


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    フェーズ3.WEB画面作成

    調査票の確定後、セルフ型リサーチでは特に入念さが必要とされるフェーズがWEB画面作成です。

    ある質問で「あてはまるものがない」と答えた回答者には次の質問を表示させず、別の質問に飛ばす(分岐条件)。ある選択肢を選んでいるにもかかわらず、「あてはまるものがない」を同時に選んだ場合はアラート(警告)を表示しアンケート回答を進めることができない、といったシステムにします。

    選択肢は、最初の項目が選ばれやすい「偏り」を排除するため、ランダム表示にする場合もあります。

    現在、アンケートはスマホやタブレットで回答されることが増えています。画面構成やQRコードによる誘導など、注意を要するポイントは増えています。

    さらに、画像や動画の呈示も増えており、動作、呈示時間、見やすさ(解像度)などに注意しましょう。

    • 矛盾回答がない配慮がなされているか(分岐条件、ロジカルチェック、排他設定など)
    • 回答が偏りやすい選択肢をランダム表示(ローテーション)にしているか
    • 回答しやすいレイアウト構成になっているか
    • スマホ・タブレットでの回答を考慮した画面構成か(項目数の多いマトリクス形式は避けるなど)
    • スマホ対象の場合、QRコードによる回答が可能か
    • 画像を呈示する場合、見やすいか(解像度など)
    • 動画を呈示する場合、動作は円滑か
    • 動画を呈示する場合、時間が長すぎないか(TVCMでは、15秒・30秒を推奨)

    フェーズ4.実査モニタリング

    実査モニタリングにおいて重視すべきことはリアルタイム性です。そして、セルフ型のネットリサーチの際立った優位性は、調査の開始から終了まで(実査)のプロセスを自らでコントロールできることです。

    従来型のネットリサーチの場合、アンケート開始後、気になる改修状況をリアルタイムで把握することは困難で、追加回収が必要な場合でも、調査会社から報告・打診されて初めてわかる、というように全て調査会社が主導する(調査会社にお任せする)システムでした。

    セルフ型リサーチでは、調査(アンケート配信)開始時間を、自らの業務の都合に合わせられることをはじめとして、24時間対応が可能なこともポイントです。

    回収状況を確認しながら、必要なら追加回収をリアルタイムで行えることも確認しましょう。

    • 自らの業務に合ったタイミングで配信できるか(24時間対応可能が望ましい)
    • 回収状況をリアルタイムで確認できるか
    • 追加回収が必要な場合、リアルタイムで行えるか

    フェーズ5.データクリーニング

    アンケート終了後に回収されたデータは、分析に耐えられる“きれいな”データでなければいけません。

    WEB画面作成のときに、分岐条件、ロジカルチェック、排他設定など、万全を期すことが可能なことは、ネットリサーチの最大のメリットの一つです。

    ただし、矛盾回答は排除できても、不正回答によるデータが混じることは避けられません。明らかに回答にかかった時間が短すぎる、連続した選択肢を選択している(例:多くの質問の選択肢で「1.」だけがチェックされている)など、不正回答が疑われる回答者のデータは削除する必要があります。

    また、回収データには、対象者に撮影をしていただいた画像などが含まれる場合もあります。画像データ等も問題なく回収できるか、画質の劣化はないかの確認もしましょう。

    • すべて1つ目の選択肢を選んでいるなど、不正回答の可能性のある対象者を削除したか
    • 対象者に撮影を依頼した画像は円滑に回収できるか
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    フェーズ6.集計

    従来のネットリサーチでは通常、調査会社からローデータの他に単純集計とクロス集計が納品され、とても便利になりましたが、セルフ型リサーチの場合、集計も自らの手で簡単に行えます。

    データ分析の基本は、単純集計クロス集計です。そしてクロス集計結果を表やグラフなどにビジュアル化し、報告書(レポート)を作成するケースが多くあります。

    調査会社から納品されるのを待つのではなく、クロス集計結果をスピーディーに見られることもセルフ型リサーチの重要なポイントです。

    複数の値からなるデータ(多変量データ)をもとに、データ間の相互関連を分析する多変量解析(重回帰分析、因子分析、コレスポンデンス分析など)を行いたい時は、解析に適したデータ形式であるかなど確認をする必要があります。

    • クロス集計はスピーディーに行えるか
    • 多変量解析は問題なく行えるか(必要な場合)

    フェーズ7.調査報告書作成

    調査報告書作成の最大の要点は、ヌケモレ・ダブりがなく、わかりやすいことです。
    調査目的に応えられる結論が導き出されているか、データに説得力はあるかなど検証・確認しましょう。

    その上で、見やすく訴求力があるグラフなどビジュアルを選びます。調査企画・設計時のアウトプットイメージに準じるのが基本ですが、適宜、変更することもあるでしょう。

    サマリー(まとめ)パートでは「結果」「結論」「提言」を区別すると、わかりやすく説得力のある報告書となります。

    報告書の流れが冗長になりそうなら、掲載内容を絞り、残りはAppendix(付録)に掲載するのが良いでしょう。さらに、最後に調査票を掲載すれば、調査への信頼感は高まります。

    セルフ型リサーチでは、アンケート開始から終了までの時間が大幅に節約できますので、報告書作成に多くの時間を費やすことも可能となります。

    • 結論の根拠となった結果に説得性はあるか
    • 「結果」「結論」「提言」は区別されているか
    • わかりやすい文章で書かれているか
    • 調査結果のグラフなどの選び方は適切か
    • 巻末に調査票など必要な資料が掲載されているか

    ネットリサーチの徹底チェックリスト(無料ダウンロード)

    こちらで解説した、ネットリサーチの各フェーズごとのチェック項目についてまとめた資料は、下記よりダウンロードすることができます(無料)
    下記よりダウンロードして、参考にしていただければ幸いです。

    おわりに

    ここまで、分かりやすいチェックリスト形式にて、ネットリサーチのやるべきことを説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。ポイントさえおさえれば難しいことはなく、誰もが実施可能です。ネットリサーチを今よりももっと上手に使いこなせるよう、ぜひご活用ください!

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