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ゼロパーティデータとは?ファーストパーティデータとの違い、収集・活用例

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目次[非表示]

  1. はじめに
    1. この記事を読んで分かること、できるようになること
  2. ゼロパーティデータとは
  3. ゼロパーティデータとファーストパーティデータの違いなど
    1. ファーストパーティデータとは
    2. セカンドパーティデータとは
    3. サードパーティデータとは
    4. ゼロパーティデータとは(おさらい)
  4. 注目されるようになった背景
    1. 世界の動き
    2. 日本の動き
    3. クッキー規制によりできなくなること
    4. 参考図(2つ)
    5. 2.改正電気通信事業法のクッキー規制
  5. ゼロパーティデータの収集方法
    1. セルフアンケートで集める
    2. ヒアリングで集める
    3. SNSの活用で集める
  6. 収集のポイント
    1. ポイント①顧客の手間や負担を軽減する
    2. ポイント②データ収集の目的や結果の提示を予告する
    3. ポイント③社内での目的の明確化
  7. ゼロパーティデータのメリットとデメリット
    1. メリット
    2. デメリット
    3. 各キャンペーンの概要と収集されたデータ
    4. デジタルキャンペーンの成果
  8. 国内外のゼロパーティデータ収集キャンペーン事例
    1. JTB(日本):「クイズに答えて旅に出よう」キャンペーン
    2. ニュージーランド航空(NZ)
    3. Les Millsグループ (NZ)
  9. ゼロパーティデータにまつわる、よくある質問
    1. Q:ゼロパーティデータの代表的な収集方法は3つありましたが、他にはどのような方法がありますか。
    2. Q:商品開発などでは、ゼロパーティデータとは別に、定量調査等を行う必要がありますか。
    3. Q:ゼロパーティデータの収集事例では、チーターデジタルのようなマーケティングテクノロジーベンダーとのコラボレーションが目立っていますが、自社のみでも行えますか。
  10. 無料ダウンロード『ゼロパーティデータ マニュアル』
  11. おわりに(まとめ)

はじめに

ゼロパーティデータについて、基本情報、データ収集のポイントなどを、事例を交えながら分かりやすく解説していきます。

この記事を読んで分かること、できるようになること

●ゼロパーティデータの意味、注目されている理由、収集方法を正しく理解できる。
●ファーストパーティデータ・セカンドパーティデータ・サードパーティデータとの違いが分かる。
●ゼロパーティデータの具体的な事例を知ることができる。
●ゼロパーティデータの資料を無料でダウンロードできる。

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ゼロパーティデータとは

ゼロパーティデータとは、消費者が自らの意思で、企業に活用されることを了承して提供するデータのことです。2018年に米国の調査会社「フォレスター社」が提唱したゼロパーティデータから、企業は個人の趣味・嗜好データを収集でき、サードパーティクッキーの代替として注目を集めています

ゼロパーティデータとファーストパーティデータの違いなど

ゼロパーティデータと似た名前のデータはたくさんあります。ここでは他のデータとの違いを比較しながら解説していきます。

ファーストパーティデータとは

企業が顧客の許可を得て直接収集・追跡したデータ。
Webサービス上のクリック操作や、顧客の登録情報(氏名や住所など)が含まれる。

セカンドパーティデータとは

企業が自社では収集することが難しいデータを、パートナー企業などから収集したデータ。
例えば、ポイントサービスを提供しているパートナー企業による、詳細な会員情報などが、該当する。

サードパーティデータとは

自社やパートナー企業が保有していない、第三者機関が収集したデータ。
国や政府機関が公表しているオープンデータ、リサーチ会社が提供している情報や、企業情報も含まれる。

ゼロパーティデータとは(おさらい)

顧客が自発的に共有してくれるデータ。
顧客からのアンケート回答や、サービスにプロフィールを登録してもらうことで得られるデータ。
他のデータと比較すると、ゼロパーティデータの正確性と信頼性の高さが理解できるでしょう。

注目されるようになった背景

世界の動き

ゼロパーティデータが注目されるようになった最大の背景は、2017年にAppleが、サードパーティクッキーの利用制限を開始したことです。

翌2018年にはEU(ヨーロッパ連合)がGDPR(General Data Protection Regulation:一般データ保護規制)の適用を開始、クッキーを個人データ(個人情報データベースなどにおいて特定の個人を検索可能とするデータ)に指定し、その収集には同意が必要になると定めました。これは、クッキー単体が個人情報に指定されたということになります。

また同年、米国のカリフォルニア州でもGDPRと同等の法律であるCCPA(California Consumer Privacy Act:カリフォルニア州消費者プライバシー法)が成立し、全米に広がる動きを見せています。

その後、主要なブラウザの一つである「Firefox」がサードパーティクッキーを自動的にブロックする機能を搭載、Microsoftの最新ブラウザである「Edge」がクッキーの管理・削除機能を搭載するなど、プラットフォーマーによる自主規制も始まりました。

そして、世界最大のシェアを持つブラウザ「Chrome」の開発元であるGoogleも、2024年からサードパーティクッキー利用の段階的廃止の計画を発表しました。

日本の動き

世界での規制の動きを受けて、日本でも2022年に個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)が改正され、クッキーを提供先で個人データと紐づけられる場合のみ、同意による収集が必要となりました。
ただしクッキー単体は個人情報にあたらないとしており、欧米と比べ緩いものでした。

しかし、2023年6月に施行された改正電気通信事業法では、クッキーを通じてWebサイト利用者の情報を外部に送信する場合、一定の情報提供が義務付けられました。

外部に送信とは、Webサイトに埋め込んだプログラムによって、利用者の閲覧履歴や使用しているパソコンなどの情報を、外部に送信・収集するといったことが該当します。
なお規制対象には、第三者のWebサーバーに送信する場合だけではなく、Webサイトを提供する事業者が保有している別のWebサーバーに送信する場合も含まれます

情報提供とは、外部に送信することについて通知や公表することを意味します。

つまり、国内でも欧米と同水準に規制が強化されたということです。

クッキー規制によりできなくなること

前述の規制によりできなくなることは下記の通りです。

  • 広告の接触回数を、サイト横断・トータルで把握する。
  • 自社サイト訪問前の広告接触と貢献度を分析する。
  • サイトを横断してユーザーの行動履歴を収集し、ユーザー属性を推計する。
  • 一度、サイトにアクセスしたユーザーを追跡し、再度、広告を配信する。

参考図(2つ)

1.世界と日本でのクッキー規制の動向


2.改正電気通信事業法のクッキー規制

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ゼロパーティデータの収集方法

ゼロパーティデータの代表的な収集方法は、セルフアンケートヒアリングSNSの活用の3つです。1つずつ詳しく説明していきます。

セルフアンケートで集める

ユーザーに、「簡単なアンケートにお答えいただければ、お客様に適した商品やサービスをご案内できます」などのメッセージを送信し、顧客の情報を収集する方法。
Web上でのアンケートや、郵送調査などをおこないます。

ヒアリングで集める

オペレーターが電話などでヒアリングし、顧客から同意を得た上で、回答内容を顧客管理システムに取り込む方法。

例えば、サービスの中でよく利用する機能や、解約する場合の解約理由や理想の価格帯など、目的に合わせた質問をして回答してもらいます。

SNSの活用で集める

ユーザーに、自身のSNSで自社の商品やサービスに関する情報を発信してもらう方法。
それによってユーザーの利用シーンや使用した感想を把握でき、SNSによる拡散も期待できます。

収集のポイント

ゼロパーティデータの収集には、顧客の手間や負担の軽減データ収集の目的や結果の提示社内での目的の明確化という3つのポイントがあります。

ポイント①顧客の手間や負担を軽減する

質問の回答時間や回答数を考慮し、顧客の負担を最小限に抑えること。そのためには、カスタマージャーニーの設計が望ましいです。

カスタマージャーニーとは、顧客がサービスを受けるプロセスを時系列に図式化したものです。顧客が質問に対して正確・スムーズに回答できるような仕組みを作るために有効です。

ポイント②データ収集の目的や結果の提示を予告する

顧客の不安や不信感を解消し、前向きな回答を得るため、あらかじめデータ収集の目的の提示や、結果の発表を予告することが重要です。

新商品開発や、サービス向上のためにアンケートを実施している場合は、その目的を提示することや、自社HPや会員サイトでデータの結果を発表することで、ユーザーを安心させることができます。

ポイント③社内での目的の明確化

データ収集の目的は、「顧客の声を聴く」だけではなく、収集したデータのビジネス活用です。

既存商品の弱いところを改善したいのか、新商品の開発に役立てたいのか、目的によって聞くべき人や内容、分析方法が変わってきます。

また、目的が「顧客満足の向上」だけでは、施策が曖昧になる可能性が高いです。

ゼロパーティデータのメリットとデメリット

ゼロパーティデータには、「顧客自身が提供した『顧客しか知り得ない情報』を収集できる」というメリットと、「コストがかかる」などのデメリットがあります。
また、収集されたデータには、統計的な代表性はありません

メリット

  • 顧客に的確にアプローチできる。
  • 顧客への理解を深められる。
  • 顧客のロイヤルティを高めることができる。

デメリット

  • 収集する際にユーザーへの対価を用意する必要がある。
  • データ収集のコストがかかる。
  • ユーザーの同意を得る手続きの手間がかかる。
  • 既存の顧客や、広告主からのアプローチに応じてくれたユーザーに関する分析しかできない。
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注目されたゼロパーティデータの収集事例、「ラコステ」デジタルキャンペーン

こちらは日本国内で注目された事例です。2021年、チーターデジタル株式会社と株式会社ラコステ ジャパンは、2つのゼロパーティデータ収集施策、を実施しました。
実施したデジタルキャンペーンは、「チャレンジしたい長袖ポロシャツカラー」「2020年秋冬新作アウターコレクション」です。

各キャンペーンの概要と収集されたデータ

キャンペーン「チャレンジしたい長袖ポロシャツカラー」の概要

ラコステの豊富な長袖ポロシャツカラーから、次回チャレンジしたい色を一つ選んで投票してもらうと同時に、ポロシャツを提案する際に必要となるゼロパーティデータを質問形式で収集。抽選で5名に最も投票数の多かった色のポロシャツをプレゼント

収集したゼロパーティデータは、以下の通りでした。

  • ポロシャツの着用シーン。
  • 好きなポロシャツの色。
  • チャレンジしたいポロシャツの色。
  • ポロシャツ以外の購入検討アイテム。

キャンペーン「2020年秋冬新作アウターコレクション」の概要

VIPメンバーに向けてアウターファッションの診断を行い、診断過程でゼロパーティデータの収集を実施。キャンペーンフォーム画面の最後では、診断結果に基づいた2020年の秋冬新作アウターを表示し商品提案を行う。

収集したゼロパーティデータは、以下の通りでした。

  • アウターを選ぶ際の好み、こだわり。
  • 好きなファッションスタイル。

デジタルキャンペーンの成果

2つのデジタルキャンペーンにより、ラコステ ジャパンがそれまで実施していたアンケート形式よりも高いキャンペーン参加率が達成されました

今までは店舗での接客でしか得られなかった、顧客それぞれの趣味嗜好や購買意向のデータを、Webのキャンペーンで収集することができました。

あたかもリアルに店頭で接客したかのようなキャンペーン商品の提供が、Web上であっても容易にできるようになったという成果です。

従来のアンケート調査のようなブランド視点による消費者調査とは異なり、「ラコステ」のブランドイメージを体現させる、インタラクティブなブランド体験を顧客に提供できたことも、大きな収穫でした。

国内外のゼロパーティデータ収集キャンペーン事例

他にも国内外の企業がゼロパーティデータ収集キャンペーンを実施してきました。3つご紹介します。

JTB(日本):「クイズに答えて旅に出よう」キャンペーン

コロナ禍の中、47都道府県別のトリビアクイズを用意し、顧客に楽しんでもらいながら、旅行へのニーズを収集。10日間で4万件以上のエントリーを獲得した

ニュージーランド航空(NZ)

「You Say Yay」という施策を実施。新規の見込み顧客にクイズへ回答してもらうことで、食べたい食事や訪れたいランドマークなどについて情報を収集した。

顧客に対しては、ニュージーランド航空の豊富なバリエーションの就航先を見込み案内できた上に、新たに500万ドルの航空券予約の獲得にも成功した。

Les Millsグループ (NZ)

世界100か国でグループフィットネスプログラムを展開するLes Millsは、コロナ禍のステイホーム期間中に、クイズキャンペーンを実施。

キャンペーン参加者は、トレーニングメニューや生活習慣などに関する質問に答えることで、パーソナライズされたトレーニングアドバイスを得られ、さらに抽選でヘッドフォンやスピーカーなど、Les Millsのトレーニングプログラムを自宅で再現するために必要なツールを獲得できた。

2019年と2020年の比較では、ソーシャル広告費用が30%削減された上に、新規連絡先情報の獲得は80%にまで増加した。

ゼロパーティデータにまつわる、よくある質問

Q:ゼロパーティデータの代表的な収集方法は3つありましたが、他にはどのような方法がありますか。

賞品付きのクイズも良く使われています。また、無料セミナーの案内や、無料のホワイトペーパーのダウンロード、イベントなど、ゼロパーティデータの収集方法は多岐に渡っています。

Q:商品開発などでは、ゼロパーティデータとは別に、定量調査等を行う必要がありますか。

はい、必要になります。但し、既存顧客の満足度を高めたり、不満点を解消するために有用なデータは、ゼロパーティデータでも問題ありません。 

Q:ゼロパーティデータの収集事例では、チーターデジタルのようなマーケティングテクノロジーベンダーとのコラボレーションが目立っていますが、自社のみでも行えますか。

ゼロパーティデータという概念自体、2018年に誕生した新しい概念であり、ラコステ ジャパンの他、ニュージーランド航空とLes Millsグループというニュージーランドの2社の事例も、チーターデジタルとタッグを組んだ成功事例です。
チーターデジタルについて | Marigold Engage+ (チーターデジタル cheetahdigital.com https://www.cheetahdigital.com/jp/about-us/

日本の千趣会のようにEC分野での実績を蓄積してきた企業は、既にゼロパーティデータ収集のノウハウを有しています。

さらに、データ収集の方法は特に複雑ではないので、今後、メーカーや流通の事業会社が独自で展開していくことが予測されます。

無料ダウンロード『ゼロパーティデータ マニュアル

本記事で解説した内容をまとめた資料「ゼロパーティデータ マニュアル~クッキー規制対策をきっかけに広がる期待~」は、下記よりダウンロードすることができます(無料)。

おわりに(まとめ)

最後に、ここまで解説してきた内容をまとめました。今一度の確認に活用してください。

ゼロパーティデータとは、消費者が自らの意思で、企業に活用されることを了承して提供するデータのことで、サードパーティクッキーの代替として注目を集めています。

現在、ゼロパーティデータが注目されている背景は、世界的な潮流である個人情報保護のためのクッキー規制です。なお、正確性と信頼性の高さがゼロパーティデータの特徴です。

ゼロパーティデータの代表的な収集方法は、セルフアンケートヒアリングSNSの活用の3つですが、他にも、無料セミナー申し込みやホワイトペーパーのダウンロードなど、様々な方法があります。

その際にポイントとなるのは、顧客の手間や負担の軽減データ収集の目的や結果の提示を予告すること社内での目的の明確化の3つです。

メリットは、顧客への的確なアプローチにより、顧客理解を深め、顧客のロイヤルティを高められることです。

デメリットはコストの高さ(顧客へのインセンティブとシステム運用)と、顧客からの同意を得る手間がかかること収集データの代表性がないことです。

最も話題となっていた「ラコステ」のデジタルキャンペーンでは、高いキャンペーン参加率という成果が達成されました
世界でも日本でも、まだクッキー規制動向に対する様子見もあり、2018年を元年とするゼロパーティデータの収集事例が大きく増えていくのはこれからでしょう。

【参考文献・ウェブサイト】

『新しいデジタルマーケティングの本』(野村総合研究所 広瀬安彦著、技術評論社、2024年1月)/『(株)千趣会「ゼロパーティデータとは?収集する方法とポイント、活用事例を紹介」』(https://www.senshukai.co.jp/btob/timeline/detail/000170.html)/チーターデジタル(株)「コロナ禍にフィットネスクラブが実践したゼロパーティデータ戦略」(https://www.cheetahdigital.com/jp/blog/jp-les-mills-cheetah-experiences-campaignlocalized/)/「Cookieの仕組みと種類|Cookie規制の影響と対策についても解説」(https://www.cheetahdigital.com/jp/blog/how-cookies-work-and-types-of-cookies/)

柏田宮亜
柏田宮亜
この記事はアイブリッジ 柏田宮亜が編集・構成を担当しました(編集者 / コンテンツディレクター)。2020年6月よりセルフ型アンケートツール『Freeasy』に関わり、記事の編集・構成を担当。読者の目線に立って、わかりやすく、役立つ情報を届けられるよう心がけています。

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